【エール】セリフ書き出し20週98話|福島で戦犯扱いされた久志の父親・弥一

朝ドラ【エール】20週98話、久志の父親・弥一の葬儀での回想シーン。男の弔問客:気の毒にな…心労がたたったんだべ。久志君のことでも何だかんだ言われで。戦争の歌なんか歌って あんたとこのせがれは戦犯みてえなもんだよって随分 悪口言わっちだったんだわ。

女の弔問客A:久志君も歌手なんてやんねえで こっちでお父ちゃんの後継いでたら こだことにはなんねかったんじゃねえかな。

女の弔問客B:んだからよ。一人息子だからって好き勝手させっから。

男の弔問客:ほだな…。

戦後、久志が自暴自棄になった原因は、弔問客の言葉に集約されている模様。

男の弔問客は「たんじだいご」さんで福島出身の方。女の弔問客Aは、岩瀬晶子さんで栃木出身の方。

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そして女の弔問客Bはやはり福島・相馬出身の佐藤誠純(さとう ますみ)さんでした。

【エール】20週98話セリフ書き出し

●闇市・久志が住む掘立小屋

裕一:久志 君に歌ってほしい曲がある。高等学校野球大会の歌。一度でいいからこの譜面 見てもらえないかな?久志!

久志:本当 分かんない人だね 君は。もうさ 関わってこないでくんねえかな。君の顔見ると 気分が沈むんだよ。

(ため息)

久志:もう昔とは違うんだよ。

裕一:久志…。

●喫茶「バンプー」

保:そっか…久志君 かたくなになっちゃってるんだ。

恵:う~ん そういう時は一旦 距離を置いた方がいいのかも。

裕一:そうなんですかね~?

保:うん…少し そっとしといたら? フフッ 大丈夫、君たちの仲はそんな簡単に壊れたりしないって。

●ベルトーマス羽生の家

♪~(音の歌声)

羽生:うん! いいじゃない。だいぶ 声が伸びるようになってきたわよ。いい調子。ベーネ。

音:ベーネ?

羽生:ウェル ダンヌ。ブランクが長いと取り戻すのに時間がかかるけど この調子でオーディションまでしっかり練習していきましょ。

音:シー!

●古山家・玄関前

渉:自分の話ばかりしてしまって ごめんね。

華:いえ…たくさんお話聞けて楽しかったです。

渉:そっか。ならよかった。

華:今日は送って下さってありがとうございました。

渉:じゃあ また。

華:あの…。次の試合 頑張って下さい。

渉:うん。次はホームラン打つ予定。

華:わっ! ただいま。

音:お帰りなさい。ねえ…今の…どなた?

華:何でもないから。

音:どなた?

華:はあ…隣の学校の人。

音:どこで知り合ったの?

華:友達の友達…もういいでしょ。

音:素敵な方じゃない。ホームランって言ってたわよね?

華:お父さんには言わないでよ! めんどくさいから。

裕一:あれ? 2人とも今帰り?

音:あっ お帰りなさい。

裕一:ただいま。

音:そう。今 ちょうど華と会って…。

裕一:どうしたの? うん?

(戸の開閉音)

裕一:何?

音:何でもない。

裕一:うん?

(戸の開閉音)

●闇市・久志が住む掘立小屋

(戸が開く音)

鉄男:入っぞ。

久志:また うるさいのが来た。

鉄男:とりあえず…何でもいいから働け。

久志:どうして?

鉄男:こんな自堕落な暮らししてて 情けなくねえのか?

久志:フッ…相変わらず固えな。僕はこの生活 結構気に入ってんだけど。遊んで暮らすのも悪くないよ。

鉄男:いいかげんにしろよ。

久志:はあ…どうしてみんな 他人のおせっかいばかり焼きたがるんだろうね?さっきも裕一が来たよ。野球大会の歌を歌えって。

鉄男:えっ?

久志:すぐにお引き取り願ったよ。しかし彼もなかなかやるよね。戦争中は戦時歌謡 戦争が終われば平和の歌。フッ…時代の波に乗るのがうまいよ。

鉄男:おめえ…それ 本気で言ってんのか? 裕一が…どれだけ苦しんできたと思ってる。自分だけが不幸だと思ったら大間違いだぞ。誰もが大変だったんだよ。みんなそれ 必死に乗り越えようとしてんだよ!

久志:言いたことはそれだけ?

鉄男:ああ?

(ため息)

久志:終わったんだったら帰ってくれる?

鉄男:ふざけんなよ! おい久志! おめえ どうした!? おい! 聞いてんのか おめえ!

犬井:おいおい…何やってんだ こら!

鉄男:おい! いつからそんな腐った男になった!?

犬井:おいおい…。

鉄男:おい!

犬井:おい…。いてっ! 何すんだ この野郎!

鉄男:おめえ…いつまでも ひねくれてんじゃねえぞ! ハァハァ…。おい!

犬井:おうおう…。

鉄男:何とか言えよ。くそっ!

(福島の父親の葬儀の回想)

弔問客:戦争の歌なんか歌って あんたんとこの せがれは戦犯みてえなもんだよって…。戦犯みてえなもんだよって…。

久志:あ~。ハァ… ハァ。

●古山家・寝室

<<(鳥の鳴き声)

<<(戸をたたく音)

音:うん?

<<(戸をたたく音)

裕一:んっ…んん…。

●古山家・玄関

(戸をたたく音)

裕一:はい。誰だろう? こんな早くに。はい。

藤丸:ハァハァ…。

音:藤丸さん!

裕一:どうして…えっ?

藤丸:あの…久志さん 来てませんか?

裕一:来てないよ。どうしたの?

藤丸:いなくなったんです。

裕一:えっ!?

藤丸:差し入れを持っていったら…倒れ込んでいて…。

(回想)

(せきこみ)

藤丸:ちょっと! 何!?

(せきこみ)

犬井:お酒…すぐやめないと死ぬぞ。

久志:構わないよ。この世に特に未練もないし。

(回想閉じ)

藤丸:ちょっと目を離した隙に 姿消して…。まさかあの人 変なこと考えてるんじゃ…。
裕一:捜してくる。

音:鉄男さんも呼びましょうか?

裕一:頼む。藤丸さん 大丈夫だからね。

(戸を開く音)

●闇市

裕一:久志…久志!

裕一:久志! 久志…。

裕一:いた?

鉄男:いや…。俺 もう一回 あっち見てくるわ。

●闇市・久志が住む掘立小屋

藤丸:何だか もう…疲れちゃった。彼に関わってても すり減るばっかり。でも見捨てることができない。バカよね。私があの人のこと 駄目にしちゃったのかな?

音:そんなことない。藤丸さんがいなかったら 久志さん今頃どうなってたか。ほかにどこか 久志さんが行きそうな所 心当たりありませんか?

藤丸:こっちの友達とは縁を切ってるし…お母さんも随分前に亡くなって もう福島に帰ることはない…。あっ!

●闇市

裕一:すいません…。すいません!

関:何だよ うるせえな~。

裕一:すいません あの久志 見ませんでしたか?

関:ああ?

裕一:あの ほら…いつも一緒にマージャンしてる…。

関:朝方 駅の方で見たな。

裕一:駅?

関:うん。

裕一:駅…。

音:やっぱり…。

裕一:うん?

藤丸:あの人 福島に行ったのかも。

裕一:福島?

藤丸:この前 酔っ払いながら言ってたの。もうすぐお父さん亡くなって1年だって。

(汽笛)

●福島市内

裕一:あっ…すいません。あの この辺りに昔 議員してた佐藤さんのお宅 あったと思うんですけど…。

通りすがりの人:あ~…佐藤さんげなら 随分前に引っ越していきましたよ。

裕一:どの辺りか ご存知ですか?

●福島・久志の実家

(戸をたたく音)

(戸を閉める音)

久志:どうして ここが?

裕一:昔 久志が住んでた家のご近所さんに聞いた。今日がお父さんの命日だってこと。

久志:ご近所さんね…。あの人たち 父さんの一周忌だっていうのに 誰一人来やしない。はあ…人間って怖いよな。父さんは自分の利益なんて二の次で いつも人のこと一番に考える人だったのに…。僕が東京で音楽やりたいって言った時も頑張れって送り出してくれた。だから…デビューも喜んでくれてるものだと思ってたから…。

(父・弥一の葬儀の時の回想)

男の弔問客:気の毒にな…心労がたたったんだべ。久志君のことでも何だかんだ言われで。戦争の歌なんか歌って あんたとこのせがれは戦犯みてえなもんだよって随分 悪口言わっちだったんだわ。

女の弔問客A:久志君も歌手なんてやんねえで こっちでお父ちゃんの後継いでたら こだことにはなんねかったんじゃねえかな。

女の弔問客B:んだからよ。一人息子だからって好き勝手させっから。

男の弔問客:ほだな…。

(回想閉じ)

久志:僕が選んだ道が 父さん 苦しめた。分からなくなったんだ。どうやって生きていったらいいか。

●闇市・久志が住む掘立小屋

(戸が開く音)

(つづく)

●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。