【エール】セリフ書き出し20週97話|酒と博打に明け暮れる久志との再会

朝ドラ【エール】20週97話、酒と博打に明け暮れる生活をしていた久志と再会した裕一。以前の彼に戻ってほしいと願い、足しげく久志の住むあばら家に通うが、博打仲間から威嚇される始末。

そんな荒くれ男を演じたのが、この三人。

中村役:佐野元哉さん、犬井役:津田健次郎さん、関役:中松俊哉さん。


一方、高等学校野球大会の公募歌詞最終選考会に出席した裕一は「栄冠は君に輝く」の内容を褒め称えた結果、この歌詞に決定。

甲子園球場のマウンドに立った裕一は、ものの数分で「栄冠は君に輝く」の曲を作ってしまい、歌い手は久志がいいと。

荒んでいる久志は裕一に「君の顔見ると気分が沈むんだよ」の酷い言葉。残り3日でこの崩れた人間関係を持ち直すのは急過ぎる感じで、やはり土曜日も本放送がいいかなと思ってしまってごめんなさい。

【エール】20週97話セリフ書き出し

●御手洗清太郎・占いの館

御手洗:何それ。つまり受かったら帝国劇場の舞台に立てるってわけ?

音:狭き門ですが…。

御手洗:そりゃあ 応募する人も多いだろうし簡単にはいかないでしょうけど…。占ってあげる。

音:いいです! 遠慮しておきます。

御手洗:ホワイ?

音:悪いカードが出たら怖いですし。

御手洗:そんな弱気なこと言って…。まあ でも気持ちは分かるわ。私もコンロブスのオーディション受けた時は毎日ドキドキしたわ。そういえば…あいつ どうしてるの?

音:あいつ?

御手洗:プリンス久志。

音:福島に帰られてから連絡が来なくて。

御手洗:彼のことだから またひょっこり現れるんじゃない?「みんな お待たせ」なんて言って。

音:ハハッ! そうだといいですね。

●コロンブスレコード・調整室

杉山:お疲れさまでした。次の録音の日程はまた改めてご連絡します。それでは失礼します。
裕一:よろしくお願いします。

鉄男:あの人 ディレクターになったのか。

裕一:うん。廿日市さんのご指名だよ。

鉄男:そうか…。いや~レコードもラジオも順調そうで何よりだ。

裕一:あっ 大将だって忙しいでしょう。あっ! この前「港の恋唄」聴いたよ。明るい歌なんだけど 大将の詞がまた切ないんだよね~。

鉄男:いや~よかったよ。

(裕一の鼻歌)

裕一:うん?

鉄男:元の裕一がようやく帰ってきた。

裕一:あっ…。

(せきばらい)

裕一:本当に…心配かけたね。

鉄男:また一緒に曲作ろうな。

裕一:うん。

(ドアが開く音)

藤丸:どうも~。

裕一:えっ!?

鉄男:藤丸さん!

裕一:あ~!

藤丸:お二人がこちらにいるって聞いたもんだから。

鉄男:久しぶりだな~。

裕一:えっ 元気だった? 座って座って座って。

藤丸:ありがとう。お二人ともご活躍ね。

鉄男:藤丸さんだって 歌手続けてんだろ?

裕一:うん!

藤丸:ええ。キャバレーで歌ったり時々 レコード出させてもらったり。まあなんとかやっているわ。

裕一:藤丸さんの歌 いいもんね~。

鉄男:ああ!

藤丸:あら。

(笑い声)

鉄男:あっ その手 どうしたの?

裕一:うん?

藤丸:ああ…。お二人ともこのあと 少し時間ある?

●闇市・久志が住む掘立小屋

<<(電車の走行音)

久志:あ~。

藤丸:また飲んでんの?

鉄男:えっ?

久志:どちらさん?

裕一:えっ? いや…。

鉄男:久志…。

裕一:久志?

鉄男:おめえ…。

久志:プッ…ハハハハハ 冗談だよ。ハハハ…。

鉄男:おい… ふざけんなよ。

久志:ごめんごめん。いや 久しぶりの再会だからさ 何か驚かせようと思ってさ。これだけでも十分驚いたか? ハハハ…。

裕一:いやいや…ねえねえ 福島の実家に…あの…手紙送ったんだよ?でも宛先不明で戻って…。

久志:せっかく来たんだ。つきあってよ。

藤丸:やめなさいよ!

鉄男:どして こんなとこにいんだ?

久志:おい…ちょっと そこの屋台からちょっと コップ借りてきてよ。早く。

裕一:ねえ…ねえ いつからここにいるの?

久志:どうでもいいじゃない そんなことは。

藤丸:あんた いいかげんにしなさいよ!

久志:はあ…君も君だよ。何でこの人たち連れてくんだよ。本当 いつも余計なことばっかすんね。

●古山家・居間

藤丸:半年ぐらい前 闇市でばったり出会ったの。最初は誰だか分からなかった。

音:久志さん 何があったんです?

藤丸:農地改革で福島の土地もお屋敷も取られてしまったみたいで。持ってた土地を二束三文で買いたたかれて小作人も離れて収入もなくなって お父さんも…亡くなられたって。あの人 戦争中は福島で慰問に回ったりしてたみたいだけど お父さんが亡くなってからは歌もやめたみたい。こっちに来てからは…酒と博打でどうしようもない暮らしをしてるもんだから時々 食事を差し入れたりしていたの。

(回想)

藤丸:私の働いてるじゃバレーでボーイ募集してる。やってみたら?

久志:そんな必要ない。そもそもさ 君は何の権利があって僕にあれこれ言うの?世話してくれなんて頼んだ覚えないよ。

藤丸:とにかく食べて!

久志:要らないって!

藤丸:熱っ!

(回想閉じ)

藤丸:私一人じゃもう どうにもできなくて。

鉄男:話してくれてありがとう。

裕一:大変だったね。明日にでも久志と話してみるから。

音:藤丸さんも しんどい時はいつでも話して。

藤丸:ありがとうございます。

●闇市・久志が住む掘立小屋

久志:おっ ロンだ。ヘヘッ。ほら出た。役満だ。

んん…!

中村:大三元か~。

犬井:地獄だな…。

<<お前 最近調子いいからな…。

<<勝ちっ放しじゃねえか。

<<マージャンなんて勝ったり負けたりだから。

裕一:すいません。あっ…久志。

久志:今 大事なこと。邪魔しないで。

裕一:お…終わってからでいいからさ 少しだけ時間…。

犬井:何だ こら。

久志:君と話す気ないから。帰って。

<<裕一:ごめん。お願いだから少しだけ話せないかな?

久志:もう しつこいな。もう帰ってくれよ!

中村:帰れ こら。

関:何だ この野郎!

(戸をたたく音)

裕一:久志。

久志:よっ! よっしゃ~! おい どうするんだよ どうするんだよ これ! アハハハ!

●古山家・居間

<<ただいま~。

音:お帰りなさい。今日はどうでした? 少しは話せた?

裕一:う~ん…もう どうすればいいんだろう。

音:時間をかけるしかないのかもね。

裕一:うん…そうだね。

音:ゆっくりいきましょう。明日 大阪でしょ? すぐお夕飯用意するね。

裕一:うん…ありがとう。

音:よいしょ。

●大阪・朝一新聞社会議室

大倉:こちら 作曲家の古山裕一先生です。

斎藤:お目にかかれて光栄です!「紺碧の空」大好きなんです!

裕一:えっ!

斎藤:僕ね 早稲田なんですよ。

裕一:あっ そうなんですね!

富田:「大阪タイガースの歌」も先生の作品ですよね?♪「六甲おろしに颯爽と」

(高等学校野球大会 公募歌詞最終選考会)

斎藤:う~ん…。いや どれも力作で迷いますな!

富田:この「球児の夏よ」なんか プロの作詞家顔負けですよ。

大倉:古山先生はいかがですか?

裕一:そうですね…どれもすばらしいと思いますが 僕は…この「栄冠は君に輝く」がとても好きです。

斎藤:おお…いい題名ですよね。明るさと希望がみなぎってる。

裕一:歌詞の内容にも心打たれました。一見 勝った人に向けた歌に聞こえますが よく読むと負けた人への温かいまなざしも感じるというか…。

大倉:なるほど!

裕一:勝ち負けではなく 精いっぱい頑張ってる人たち全てに向けた温かい歌に僕は感じます。

富田:ああ…。

●喫茶「バンプー」

恵:「栄冠は君に輝く」。へえ~! 

音:私もこれ すごくいい歌詞だと思うんです。

恵:野球を楽しめる時代がやっと帰ってきたんだね。

保:この詞に裕一君のメロディーがついて甲子園で流れるのか。楽しみだな。

●甲子園球場

球場関係者:どうぞ ごゆっくり。

裕一:ありがとうございます。

(マウンドに立つ裕一)

●古山家・中庭

音:♪「いさぎよし」「ほほえむ希望」「ああ 栄冠は君に輝く」すごくいい。

裕一:あ~よかった~。

音:早く聴きたい…。これ どなたが歌うの?

裕一:う~ん…久志はどうかな? もう一回 前向くためにはさ 何かきっかけが必要だと思う。やっぱ あいつは…音楽じゃないかなって。

●闇市・久志が住む掘立小屋

(戸を叩く音)

裕一:久志 いるかな? 久志!

<<(足音)

久志:安眠の邪魔。

裕一:久志 君に歌ってほしい曲がある。高等学校野球大会の歌。君の声にぴったりだと思うんだ。一度でいいからさ この譜面見てもらえないかな?

(ため息)

久志:本当 分かんない人だね 君は。もうさ 関わってこないでくんねえかな。君の顔見ると気分が沈むんだよ。

(ため息)

久志:もう 昔とは違うんだよ。

裕一:久志…。

(つづく)

●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。