【エール】セリフ書き出し19週91話|終戦から3ヶ月後、豊橋で岩城新平死去

朝ドラ【エール】19週91話、日本の敗戦から3ヶ月、裕一は曲を書くことが出来ず、劇作家の池田が一緒にラジオドラマをやろうと誘っても「音楽はもういいかな」とうつろな瞳。

一方、心臓が弱いところに梅をかばってケガをしたことで重体になった岩城を見舞うために豊橋に足を運んだ音。

そんな中で五郎は馬具に代わる皮製品を思いつき、野球のグローブ!と。

野球のグローブと言えば「はね駒」おりんちゃんの旦那・小野寺源造(渡辺謙)が明治時代にすでに手掛けていることを思い出した方は朝ドラ通です。

「おかみさん…長い間…ありがとうございます」、実際に声に出したのか、あるいは光子の心に届いた幻の声なのか、今頃、あの世で安隆とワイワイやっていることを願い、演じた吉原光夫さん、お疲れ様でした。

【エール】19週91話セリフ書き出し

●古山家・中庭

終戦から3か月。裕一は曲を作ることができずにいました。

音:裕一さん。しばらくの間 よろしくお願いします。

裕一:うん。行ってらっしゃい。

●喫茶「バンプー」

保:裕一君 そんなにまずいの?

鉄男:音さんから いない間 様子見てって言われたんですけど…。

(回想)

鉄男:おめえ…何してんだ。

(時計を組立中の裕一)

裕一:うん? ここに宇宙があるの。

鉄男:えっ…う…?

裕一:あっ…ああ 平気だよ。本当に。全然平気。

(回想閉じ)

恵:何かきっかけが必要ね。

鉄男:はい。心配です。

恵:鉄男君は作詞家に戻ったんでしょ?

鉄男:あ~いや…もう おでん屋やら新聞社やら 作詞家やら…もうその時に合わせて生きてて節操がねえっつうか…恥ずかしいです。

保:いやいや…たくましい。しなやかに揺れて倒れない。

恵:まさに…。

保と恵:バンブー!

鉄男:フッ…ハハハハ! いや~お二人といっと元気出ます!

(笑い声)

●NHK放送会館・打合せ室

初田:前向きで明るくていいじゃない。

池田:これ終わったら「鐘の鳴る丘」を。

初田:上と掛け合ってくる。あっ…続き 書いといてね~。

●豊橋・関内馬具店

光子:馬具はもう駄目かもね。戦争も終わったし もう馬に乗る時代じゃないだろうし。なんとかせんとこの土地も失う。

五郎:すいません。日雇いしかなくて。

光子:ううん。岩城さんのためにも ここ再建しないと。ねっ?

五郎:はい! とはいえ 何をすればいいのか 僕には…。

光子:何か…何かないかな~? ほかに皮を使う仕事。

五郎:僕 探してみます!

光子:えっ?

●古山家・書斎

華:どうぞ。

池田:これはこれは。かわいい娘さんですね。ねえ? おうちが華やかになる。お名前は?
華:華です。

池田:はな!? あらやだ。アハハハ…。えっ 植物の方の「花」? (鼻をつまみながら)まさか これじゃないよね? アハハハハ…。

裕一:華。ご用件は?

池田:あ~すいません。ついつい天才作曲家にお会いできてうれしくて。

裕一:ご用件を。

池田:ラジオドラマやりませんか? 私が書いたドラマに先生の音楽を添えてもらいたい。
裕一:申し訳ありませんが ほかを当たって下さい。

池田:先生がもう書かないとか書けないとかいう うわさは聞いてます。しかし ただのうわさなので私は来ました。私は先生の「愛国の花」が大好きです。初めて聴いた時 心が震えました。いつかこの人と仕事がしたいってずっと思っていました。この先にある物語のためにも先生が必要なんです。お願いします どうか!

●古山家・台所

華:フフッ いい話。やるの? えっ…やるよね?

裕一:うん…。音楽はもういいかな。

華:今のお父さん見たら 弘哉君どう思うかな? お父さんの曲 聴きたいってきっと思ってるよ。

裕一:うん…うん。

(ドアの開閉音)

●古山家・書斎

裕一:はあ…。

●豊橋の病室・六号室

音:岩城さん 音です。聞こえますか?

●豊橋の病室・廊下

医師:心臓の鼓動も弱く 不整脈が頻回に出ています。心臓はあと数日 もつかどうか…。心の準備をしておいて下さい。

(足音)

光子:あっ…お帰り。

音:全部…なくなってしまったんだね。

光子:命が助かっただけでもよかったわ。それに…私たちの思い出はここにある。

音:うん。

光子:うん。裕一と華は元気?

音:うん…2人とも大切な人を亡くしてしまって…。華はそれでも立ち直ろうとしとるけど 裕一さんは…。ずっと曲が書けんの。

光子:そう…。よほど つらい経験したのね…。

音:うん…。

光子:帰った方がいい。そばにいてあげたら?

音:岩城さん ほっとけん。私には何もできんし。

光子:華だって心細いわよ。うん? そばにいるだけでいいの。ねっ? フフッ。

音:ありがとう。

梅:お母さん お姉ちゃん これ見て。2人で革製品 出し合ってみたの。

(回想)

梅:う~ん商売敵が多そうだね~。

五郎:もっと何かあるはず…この辺まで出てきてんだけど…。出てこねえな~。先生に弟子入りしたきっかけは「紺碧の空」…。あっ! ああっ!

梅:うん?

五郎:野球だ! 野球のグローブだ!

(回想閉じ)

五郎:馬具の技術で選手がけがしない もっともっといいグローブ作ります!

光子:よし…岩城さんに報告しよう。ねっ? フフフ…。

●豊橋の病室・六号室

光子:岩城さん。五郎ちゃんが新しい商売を考えついてくれました。

●汽車の中

(汽笛)

●豊橋の病室・六号室

岩城:おかみさん…長い間…ありがとうございます。

光子:岩城さん? ありがとうございました。

●豊橋・関内馬具店

光子:見とって下さいね。必ず三人で立ち直ります。

●古山智彦・吟の家

吟が豊橋に帰らなかったのは 智彦の就職がいまだ決まらなかったからです。

●智彦の面接に行った会社

智彦:ありがとうございます!

担当者:うちは今 人手がいくらあっても困りませんから。

智彦:家からも近いし よかった。

担当者:ああ…職場はここじゃありません。蒲田の工場です。

智彦:工場?

担当者:ええ。くず鉄集めしてもらいます。

●面接の帰り道

(回想)

智彦:自分はこれでも長年 国に奉公してきた人間です。いきなり鉄くずを集めろと言われても…。

担当者:戦争は終わったんですよ。輝かしい経歴は何の価値もない。早くその辺に気付かないと。

智彦:こんな会社…こっちから願い下げだ!

担当者:あのさ…一杯のラーメンだって作るの大変なんだよ。あんた できる? うまいの作れる?

(回想閉じ)

智彦:フンッ。

●古山家・台所

<<お前 知らんのか?「露営の歌」とか「若鷲の歌」とかの作曲家の家だ。

<<焼けてないんだな。運がいい。

<<作詞した西條八十とかは引っ張られてんのに作曲家は無罪放免らしい。

<<はあ~戦争でたんまり稼いで何のおとがめもない。羨ましいわ。

<<何が「勝って来るぞと勇ましく」じゃ。

<<(笑い声)

<<本当 よう のうのうと生きてられんな。

(つづく)

●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。