【エール】セリフ書き出し18週90話|弘哉の死とトキコの涙に憔悴する裕一

朝ドラ【エール】18週90話、日本の敗戦を知った音は華を連れて東京に戻ると、そこには憔悴しきった裕一の姿が。

予科練に入った弘哉の死を母親のトキコから知らされ、良心の呵責に苛まれる裕一。この日以来、裕一は曲を書かなくなり…。

豊橋では空襲で焼け出された関内家の前で茫然と立ち尽くす光子の姿。口にした歌は讃美歌496番。

一方、時代は少しずつ動き始め、NHK会館では劇作家の池田二郎が戦災孤児のドラマを売り込んでいた。

ということで、新しいキャストです。

劇作家&演出家・池田二郎役 北村有起哉さん
ご存知、「わろてんか」の団真師匠で、この時の妻役だった中村ゆりさんも来週、看護師役で登場する予定です。

NHK局員・初田 功役 持田将史さん
「半沢直樹」にも出演していました。

NHK局員・重森 正役 板垣瑞生さん


「精霊の守り人」で皇太子チャグム役を演じていましたが、こんなに大人になったんですね!

【エール】18週90話のセリフ書き出し

●福島・古山家・居間

玉音放送「然れども朕は時運の趨く所 堪え難きを堪え…」。

華:日本は…負けたの?

玉音放送「太平を開かんと欲す。朕は茲に国体を護持し得て 忠良なる爾臣民の赤誠に信倚…」。

●福島・古山家・まさの寝室

浩二:母さん…戦争が終わったよ。

まさ:よかった! アハハ…。

●古山家・居間

玉音放送「大道を謝り 信義を世界に失うが如きは 朕 最も之を戒む。宜しく挙国一家子孫 相伝え…」。

●豊橋・病院

五郎:梅…梅!

梅:五郎ちゃん…。

五郎:ああ…。僕がバカだった…。大事なのは…君だったのに…。

光子:あっ…。岩城さん 心臓が悪かったの。ずっと…つらいの隠して働いてくれとったんだね。

五郎:岩城さん…。すいません! 自分のことばっかりで…。申し訳ありません!

●福島・古山家

音:浩二さん。

浩二:あっ…もう帰っちまうのか。

音:長い間ありがとうございました。

華:ありがとうございました。

浩二:いや~こちらこそだ。ああ…。それにしても…ねっ。家族で暮らすっていいな。

音:フフフ。

華:早くお嫁さんもらわないとね。

浩二:見てて。3年以内には見つけっから。

音:本当かな~?

浩二:絶対。絶対だから。ハハハ…。

華:男は自信と優しさ。

浩二:ほ~華ちゃん 一人前のこと言うね。何? 好きな人でもいんの? ハハハハハ…。

●古山家・居間

(黒こげのハーモニカを取り出して)

トキコ:これだけ…帰ってきました…。

(すすり泣き)

光子:♪「うるわしの白百合」「ささやきぬ昔を」

●豊橋・焼け落ちた関内家

光子:讃美歌496番

♪「イエス 君の墓より」

♪「いでましし昔を」

♪「うるわしの白百合」

♪「ささやきぬ昔を」

♪「百合の花 ゆりの花」

♪「ささやきぬ昔を」

♪「春に会う花百合」

♪「夢路より めさめて」

♪「かぎりなき生命に」

♪「咲きいずる姿よ」

♪「うるわしの白百合」

♪「ささやきぬ昔を」

♪「百合の花 ゆりの花」

♪「ささやきぬ昔を」

●古山家・玄関

音:ハア…ハア…。ただいま。あっ…よいしょ。ハァハァ…。暑っ…。

●古山家・廊下

音:裕一さん? どうしたんです?

裕一:華…。弘哉君が亡くなった。僕のせいだ…。僕のせい…。

音:あなたのせいじゃない。あなたは自分の役目を果たしただけです。

裕一:役目? 音楽で…人を戦争に駆り立てることが僕の役目か? 若い人の命を奪うことが僕の役目なのか? 音…。僕が音楽が憎い。

(泣き声)

華:お母さん…お母さん…。弘哉君に会いたい…弘哉君に会いたい! ねえ お母さん! ねえ お母さん! お母さん 弘哉君に会いたいよ! 弘哉君に会いたい!

(階段を上る音)

<<華:弘哉君…ああ~! あっ ああ~!

<<(華の泣き声)

この日以来 裕一は曲を書かなくなりました。

●NHK・技術部

初田:戦争孤児の話か…。今 国民は戦争を忘れたい。ラジオには娯楽を求めてる。

池田:えっ!?

初田:それにCIEも認めないと思いますよ。

CIE 民間情報教育局は敗戦国 日本の教育 メディア 宗教 芸術など広範囲にわたる諸改革を指導・監督したGHQの部局の一つでした。

池田:いやいや いやいや…。あなた 闇市に行ったことありますか?

初田:そりゃあ何度も。

池田:あの子たちのまなざしに何かを感じますよね?

初田:まあ それは…。

池田:なら 分かってくれるはずだ! ああ…きっとこのドラマは彼らに希望を与えます!いや~よかった…。ねっ やりましょう。

初田:分かりました。あなたの文章はすばらしい。

池田:自信あります!

初田:才能もある。

池田:承知してます!

初田:そこでまず あなたの才能を上に知ってもらうためにも 別のドラマ やりましょう。ねっ? その上でこれ 考えるって条件でどうです?

池田:うそじゃないよな?

初田:NHKですよ。うそはつきません。

池田:ああ…NHKだもんね! よし 書いてくる!

初田:お願いしま~す。重森~。

重森:はい。

初田:これ しまっといて。

重森:あの…あんな口約束して大丈夫なんですか? うちらもCIEの言いなりなのに。

初田:今の時代 先のことなんか誰にも分かんないよ。

占領下の日本では 配給制度がまひ状態にあり 特に復員兵が多く戻ってくる都心では食料や物資が圧倒的に不足していました。そんな深刻な状況で生まれたのが闇市でした。軍の横流し品や地方の農産物を違法に商売する人であふれ返りました。

●東京・闇市

池田:おやじ 一杯。

店主:はいよ!

この男 池田二郎。劇作家であり演出家。後に裕一と数々の名ドラマ名舞台を作り上げていく男である。

池田:ほら…。もう少し待ってろ。元気にさせてやっからな。おいおい…盗む相手が悪い。
ケン:離せ!

池田:名前は?

ケン:離せ!

池田:名前言ったら!

ケン:離せ 離せ!

池田:名前言ったら離してやるよ!

ケン:ケンだ ケン。

池田:おい ケン! もう少し待ってろ! お前たちの話 作ってやるからな。

(つづく)

●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。