【エール】セリフ書き出し18週86話|慰問先はビルマでインパール作戦真っただ中

朝ドラ【エール】18週86話、裕一が派遣された慰問先は、インド北東部のインパールを攻略する作戦が始まっていたビルマ(現在のミャンマー)。

この時、裕一と共に慰問団に加わっていたのが洋画家の中井潤一(小松和重)と作家の水野伸平(大内厚雄)。

迎えたビルマでは軍の磯村中佐(平野貴大)と、ラングーンの現地記者・大倉憲三(片桐仁)が待っていたが…。


前線に行って戻ってきた中井曰く「前線は地獄です。険しい山 濁流の大河 悪疫 食料不足。戦う以前に命を保つことさえ難しい。前線部隊への武器や弾薬 食料の補給も全く追いついていない。それなのに進撃命令を出す司令官。全て無謀で無駄な死…まさに犬死にです。古山さん…日本は負けます。命を尊重しない戦いに未来はありません」。

藤堂先生は大尉としてビルマ前線にいることが判明し、今週半ばで涙涙の展開になることでしょう。

そして、この史上最悪の作戦と言われた「インパール作戦」を乗り越えて、奇跡的に生還したのが「ひよっこ」の宗男であったことを思い出して峯田和伸さんです。

【エール】18週86話のセリフ書き出し

僕の曲作りは人との触れ合いの中で生まれてきました。だから 一度は戦場をこの目で見たい。お国のために命を懸けて戦う人を現地で応援したいのです。必ず生きて帰ります。戦争が終わったら もう一度夢の続きを始めましょう。

●ビルマ・兵営

裕一の慰問崎はビルマ、現在のミャンマーでした。同行者は作家の水野伸平と洋画家の中井潤一。

磯村中佐:ようこそ。暑くて不快かもしれませんが不便がありましたら何なりとおっしゃってください。

当時、ビルマを占領していた日本軍はインド北東部のインパールを攻略する作戦を開始していました。

水野:内地では3週間でインパールを陥落させると聞いていましたが もう期限を過ぎています。戦況はいかがなんでしょうか?

磯村中佐:まあ そう焦らずに。皆さんはしばらくラングーンで休養してて下さい。

水野:あっ 磯村中佐殿!

中井:古山さん どうします?

裕一:えっ?

中井:あいつはここでじっとしてられる人間じゃない。今頃 戦地に行きたいと頼んでいるはずです。

裕一:中井さんはどうされますか?

中井:僕は水野と行きます。あいつのことが好きなんで。

裕一の日記「ラングーンの町は思いの外 静かであった」。

磯村中佐:奇襲攻撃を仕掛け 後方をかく乱しております。

「午後から学校へ慰問に出かけた」。

「現地の子どもたちは驚くほど日本語がうまく 私の歌を上手に歌ってくれた」。

「土曜日の夜は現地の記者連中も集まり すき焼きをした」。

水野:ド~ン! ドンドンドンドン…。

「水野さんはお酒が回ると変な浄瑠璃を語り 皆を笑わせた」。

水野:デン! …どこまで言った?

中井:ため池 ため池…。

水野:あ~…。

「1か月後 ようやく水野さんと中井さんは前線に行くことが許された」。

「別れ際に水野さんから詞を託された」。

「雨期に入った。来る日も来る日も雨である」。

「洗濯屋に出した衣類はカビが生えて出す前より汚い」。

(物音)

裕一:わっ わっ! あっ あああ…。待て! あっ あっ…。

「サソリはほうきで外に出した」。

裕一:お~そうそう…。

「水野さんと中井さんも帰ってこない。心配だ」。

「ビルマに来て2か月があった」。

(足音)

「まだ戦地に行く命令が来ない。それほど戦況が悪いのであろうか」。

「このままでは日本をたった意味がなくなってしまう」。

(ノック)

裕一:はい。

<<大倉です。夜分遅く失礼します。よろしいですか?

裕一:あ~もちろんです。どうぞ。

大倉:失礼します。いや…すごい雨ですね。失礼します。

裕一:これ…あの…。よかったらどうぞ使って下さい。何か戦況の変化でもありました?

大倉:あ~いや そうではないんですか…。先生は福島の出ですよね?

裕一:はい。

大倉:藤堂清晴さんってご存じですか?

裕一:し…小学校の恩師です。

大倉:そうですか~。

裕一:はい。

大倉:藤堂さん…いえ藤堂大尉はビルマにおられます。

裕一:ビルマに?

大倉:ええ。私も人づてに聞いただけですので詳しいことは分からないのですが よく先生の話をされているようです。深いご縁があったようですね。

裕一:いや…と…とっても!

大倉:では 藤堂大尉の配属先を調べておきますね。

裕一:ありがとうございます。

大倉:おやすみなさい…あっ これ。

裕一:ありがとうございます。おやすみなさい。

大倉:おやすみなさい。

●関内馬具店

光子:ご苦労さま。

五郎:ありがとうございます。

光子:あら? 五郎ちゃん 一人で全部任されとるの?

五郎:はい! 昨日から。

光子:頼もしいわ。岩城さんの指導のおかげね。

岩城:いや…こいつのひたむきさです。

光子:フフッ そうね。まあとにかく こんな世の中だけど仕事があるのはありがたいわ。
岩城:五郎…馬具は人と馬の命を守るもんだで。忘れるな。

五郎:何度も言われてますから分かってます。厠へ行ってきます。

岩城:今までは一人前になりたいって思いで突き進んどったもんが 合格して立ち止まってしまって…。戦争に協力しとるんじゃないかって気持ちがあふれてくるようです。

光子:心配だわ…。

(汽笛)

音と華はまさの病状が悪化したとの知らせもあり 福島に疎開することにしました。

●福島・古山家・まさの部屋

まさ:ごめんね。せっかく来てくれたのに寝てばっかりで。

音:いえ ゆっくりされて下さい。

まさ:華 もっと顔見せて。

●福島・古山家・裕一の部屋

音:んっ…。はあ…。

(蓄音機の前)

浩二:兄貴の才能を開花させるきっかけだから。

音:ごめんなさい 勝手に。

浩二:いや…フフッ。いっつもじっと座って難しい音楽聴いてた。

音:そっか…。

浩二:もともと俺の誕生祝だったんだけどね。

音:フフフ…。分からないもんですよね 人生って。

浩二:兄ちゃん 心配? 兄ちゃんは軍にとって大事な人だ。そんな危険なとこ 行かせられっこねえよ。なっ?

音:そうですね。

浩二:ああ。

●福島・古山家・まさの部屋の前

浩二:華ちゃん いい子だね。

音:おてんばだけど 優しい子です。

浩二:俺も早く結婚しねえと。このままじゃ喜多一も権藤家も潰れちまあ。母さん倒れてから急に焦ってきた。

音:どんな方がいいんですか?いい人がいたら紹介しますよ。

浩二:あっ…原節子みてえな?

(カラスの鳴き声)

浩二:ごはん作るわ。

音:あっ…私やります 浩二さん。

●ミャンマー・兵営

(雨音)

裕一:あっ…お帰りなさい。

中井:これを…。

裕一:失礼します。

中井:前線は地獄です。険しい山 濁流の大河 悪疫 食料不足。戦う以前に命を保つことさえ難しい。前線部隊への武器や弾薬 食料の補給も全く追いついていない。それなのに進撃命令を出す司令官。全て無謀で無駄な死…まさに犬死にです。

裕一:あの…日本が勝てる見込みは? ってか…あの…水野さん どうされたんですか?

中井:更に先に向かいました。この実情を伝えるのが作家の使命だと。

(雷鳴)

中井:一杯の水がないだけで死んでゆく者がいます。そんなこと許されていいのでしょうか? 古山さん…日本は負けます。命を尊重しない戦いに未来はありません。

(雨音)

(つづく)

●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。