【エール】セリフ書き出し17週83話|練習生・風間寛大(杉田雷麟)の言葉が決め手

朝ドラ【エール】17週83話、予科練の映画「決戦の大空へ」の主題歌である「若鷲の歌」は2曲出来上がり、その選択は土浦航空隊の練習生に託されることに。

結果、彼らが選んだのは短調で作られた曲。それを誘導した濱名中佐の長いセリフが重々しく、やはり戦争はやってはいけないという教訓です。

以下、は土浦航空隊の方々です。

濱名中佐:谷田歩


予科練練習生・風間寛大:杉田雷麟(らいる)
予科練班長:宮森右京

予科練教官:高山陽平

【エール】17週83話のセリフ書き出し

●予科練土浦航空隊・宿舎

予科練になって来た裕一は新たな曲を書くため 練習生たちの生活を見学させてもらいました。

班長:練習生たちは海の上での生活と同じように吊り床で寝ています。先生たちの吊り床は低くしておきました。試しに寝てみて下さい。

三隅:じゃあ 先生も。

裕一:おっと…。

(笑い声)

班長:こら!

裕一:いてて…。

班長:大丈夫ですか?

裕一:あっ ハハ…これ…む…難しいですね。

班長:最初はそんなもんです。

裕一:あっ そうですか。すいません。

三隅:先生…その~「何か」は見つかりましたか?

裕一:すいません…もう一日だけ待ってもらえませんか?

三隅:あと一日ですよ。曲の発表はあさってにしますね。

裕一:ありがとうございます。絶対に完成させますね。

三隅:では…せっかくですから 2曲聴いてもらって教官が選ぶというのはどうでしょう?

裕一:それ いいですね。

三隅:歌手と伴奏を呼びましょう。

裕一:さすがです 三隅さん。

三隅:へへへ…もう乗りかかった船ですから。

裕一:ただ…。

三隅:また?

裕一:せっかくなら 練習生の皆さんにも選んでほしいんです。彼らの曲だから。

三隅:それは…ちょっと難しいかもしれま…。

裕一:どうか…交渉をお願いします。

三隅:はい。

♪~(ラッパ)

班長:総員 起こ~し!

(立ち上がる音)

班長:総員 吊り床収め~!

裕一:あっ…えっ…?

班長:整列! 番号!

練習生:1! 2! 3! 4! 5! 6!

班長:古山先生に敬礼!

裕一は予科練の生活を体験することにしました。

班長:力が入っとら~ん!腰を入れろ 腰を!回れ!回れ回れ~もたもたするな~!回れ! 先生? 先生 先生 先生 先生…!

裕一:はい?

班長:「回れ」です。

裕一:あっ…はい。回ります 回ります…よいしょ…。

飛行兵に憧れて国のために命懸けで戦う覚悟を決めた練習生たちは 激しい訓練を耐え抜いていました。体力錬成運動 軍事教練 機械や通信 英語の教育など訓練は多岐にわたりました。訓練の合間にはつかの間の自由な時間もありました。ふだんの彼らはまだ幼さが残る少年でした。

練習生:強い! ああ…。

練習生:えいっ! えいっ!

練習生:こんにちは。

裕一:こんにちは。

練習生:こんにちは!

裕一:あっ こんにちは。どうしたの?こんにちは。

風間:あっはい! こんにちは。

裕一:ど…どうかした? あっ…ごめんなさい。座って下さい。すいません。今ね 頑張ってさ 曲作ってるんだけど 全然思い浮かばなくてさ。よかったらでいいんだけど あのてん話 聞かせてもらえないかな?朝から晩まで みっちりだもんね。僕なんか体力ないから すぐへばっちゃう。

風間:体力的なものは すぐに慣れます。

裕一:うん?じゃあ…何?

楽曲披露当日

<<1212!

<<そ~れ!

三隅:おはようござい…ます…。

<<1234!1234!

三隅:先生!? 先生 まさか…書けなかったんじゃ?

裕一:おはようございます。

(あくび)

三隅:うん? ああっ!あっ…。よかった! はあ…無駄になるかと思った。では遅くまで頑張られたのですね。お疲れさまです。

裕一:いえいえ…ある練習生の話聞いたら 喉の骨がこうポイッと取れて 5分くらいで書けました。

三隅:アハハ…才能って嫌い。

裕一:どう思います? その曲。

三隅:へっ? そ…そうですね…。

この人 全く楽譜は読めません。

三隅:1曲目とは…正反対のところが面白い!

裕一:伝わりましたか~!よかった~!

偶然でした。こういうツイてる人もいます。

裕一:短調だけど悲しくない旋律に苦労したんですよ。

三隅:なるほど。

裕一:勇気の源にある愛を表現できたんじゃないかなと思います。

三隅:全く同感です!

裕一:それで練習生の方の件はどうなりました?

三隅:手抜かりはありません。教官では反対されると思い その上の副長の濱名中佐に直談判しました。この人 話が分かる方でして…。

裕一:何から何まで 本当にすみません。

三隅:ただ 先生…。

裕一:はい。

三隅:皆さんが選んだ曲が「若鷲の歌」になるんですから 思い入れがあるからって「こっち!」はなしですよ。いいですね?

裕一:はい。

「若鷲の歌」を教官たちの前で披露しました。1曲目は高揚感のある明るい曲。2曲目は裕一が予科練に来てから作った短調の曲でした。

(拍手)

三隅:え~今のが2曲目 短調のものでした。では 挙手をお願いします。1曲目がよいと思われた方。あっ…まあ 分かりやすいですからね。

濱名中佐:待て。せっかくだ。練習生の意見も聞いてみないか?「若鷲の歌」は彼らの歌であり彼らが歌うんだから。ねえ?三隅さん。

三隅:ええ!

教官:濱名中佐 お言葉ですが 映画の主題歌とはいえ 予科練の歌です。指導する我々が決めた方がよいかと。

濱名中佐:まあ そう固いこと言うな。私は聞いてみたい。別に皆を集める必要はない。なっ いいだろう?

教官:あっ…。

練習生にも2曲 披露しました。

濱名中佐:では 決を採る。1曲目がいいと思う者。2曲目がいいと思う者。よし 決まったな! 

教官:し…しかし…。

濱名中佐:何だ?

教官:いえ…。

濱名中佐:せっかくだ。古山裕一先生のために皆で歌おう。

一同:はい!

♪「若い血潮の予科練の」「七つボタンは桜に錨」

(回想)

風間寛大:つらさはいろいろあります。家族と離れた寂しさ 訓練についていけない時の惨めさ 集団生活になじめない孤独 私のせいで班員がしごかれてる時のふがいなさ…。中でも一番つらかったのが洗濯です。寒さで指先が切れ 痛くて痛くて…。それを母は僕のためにずっとしてくれていた。予科練に入るまで服がきれいなのは当たり前だと思っていた自分が情けなくて。親に報いるためにも私は立派な飛行兵になり皇国の御為に戦います!

(回想閉じ)

●古山家・書斎

音:わあ…羊羹なんてぜいたく!

鉄男:取材先でもらったから お裾分けに。

華:うわ~! ありがとう 鉄男おじさん! お母さん 今すぐ食べていい?

音:お父さんの分も残しておくのよ。

華:うん 分かってる。

音:ありがとうございます。

鉄男:いえ…。音さん…ちょっといい? 大本営の発表と現実は違う。日本は負け続けてる。
音:そんなに悪いんですか?

鉄男:同盟国のドイツも旗色が悪い。

音:そう…。

鉄男:取材中のうわさ話なんだけど 激戦地への慰問 裕一が候補に挙がってるらしい。頼まれたら期待に応えようとしちまう性格だから 要請来たら行くんじゃねえかと思って。優しさって…時に命取りになっから。

●予科練土浦航空隊・宿舎

濱名中佐:古山先生。

裕一:あっ 中佐。本当にありがとうございました。

濱名中佐:実は2曲目の方が圧倒的に好きだったもので。私利私欲も入ってます。

裕一:もしかして音楽をされていたんですか?

濱名中佐:いえ…ただ懐かしくなって。ここの初期の練習生が卒業する時に私は「愛染かつら」の…。♪「花も嵐も踏み越えて」「行くが男の生きる道」あの一節を歌い「若いお前たちには花のようなまだ見果てぬ夢があるだろう。また行く手には恐怖をそそる嵐もあるだろう。だがそれを勇敢に踏み越えて進むのが日本男児の道だ」と言葉を贈りました。その中に爆弾小僧とあだ名された田丸という暴れん坊がいたんです。

裕一:すごいあだ名ですね。

濱名中佐:フフフ…。勇猛果敢なやつでした。炎で燃え上がる飛行機を田丸は操縦し続け 敵艦に体当たりして大きな戦果を上げました。きっと田丸はあの歌を心に刻んで立派に戦ったんです。先生…歌には人の心を奮い立たせる力があります。何百万人の心を一つにする力があります。どうかこれからも命を賭して生きる若者のためによろしくお願いします。

裕一:はい!

(つづく)

●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。