【エール】セリフ書き出し15週75話|昭和15年「暁に祈る」が公開され大ヒット。

朝ドラ【エール】15週75話、昭和15年「暁に祈る」が公開され大ヒット。ついに福島三羽ガラスが世に出たが、その恩師である藤堂清晴先生は妻子を残して出征。

陸軍馬政課の武田少佐が「出征をしたら生きては帰らないという覚悟を感じさせる」と評した「暁に祈る」の歌詞がこちら。

ああ あの顔であの声で
手柄頼むと 妻や子が
ちぎれる程に 振った旗
遠い雲間に また浮ぶ

ああ 堂々の輸送船
さらば祖国よ 栄あれ
遥かに拝む 宮城の
空に誓った この決意

ああ 傷ついたこの馬と
飲まず食わずの 日も三日
奉げた生命 これまでと
月の光で 走り書き

ああ あの山もこの川も
赤い忠義の 血がにじむ
故国まで届け 暁に
あげる興亜の この凱歌

【エール】15週75話のセリフ書き出し

藤堂:俺のことを思って書いてみてくれないか? 実は…出征することになったんだ。

鉄男:えっ?

藤堂:歌って心の支えになるだろ? もし村野と古山が作った曲と共に行けたらこんなに心強いことはない。

●福島・古山家・二階の裕一の部屋

裕一:うっ! んん~! あれ? 大将 おはよう。早いね。う~ん 邪魔! んん…。

鉄男:なあ 裕一…。

裕一:うん? 何?

鉄男:俺… もう一回 書いでもいいか?

裕一:えっ? えっ?

●古山家・居間

(裕一から智彦への電話)

裕一:あっ お義兄さんですか? あの村野鉄男が新しい詞を書いてくれました。是非 武田さんに見て頂きたいんですけど。はい…はい 分かりました。ありがとうございます。よろしくお願いします。失礼します。

音:次は採用されるといいね。

裕一:よし…。いや…三羽ガラスでやるって決めたからね 絶対にかなえたい。

音:うん。

裕一:よし! よしよし よしよし よしよし!

●陸軍馬政課

(ノック)

智彦:入ります!

<<武田:入れ。

智彦:お待たせしました。

裕一:この度は再度の機会を頂き本当にありがとうございます。最初に申し上げます。今回の詞も武田さんの期待にはお応えできてないかもしれません。馬という言葉も一度しか出てきません。

武田:じゃあ なぜ来たんです?

鉄男:今回の歌詞は恩師にささげるつもりで書きました。先生はもうすぐ戦地に行かれます。奥さんと小さな息子さん残してお国のために旅立ちます。私はこれまで…戦いに行く人の心というものを想像したことがありませんでした。ですが 今回は少しでもその心に近づきたいと願いながら 祈りながらこの歌詞を書きました。

武田:はあ…。これでいきましょう。

裕一:大将…。

鉄男:ありがとうございます!

久志:♪「あ~あ あの顔で あの声で」「手柄頼むと妻や子が」

●福島・藤堂家の門前

久志:♪「ちぎれる程に 振った旗」「遠い雲間に」「また浮ぶ」

藤堂:行ってまいります!

ばんざ~い!

一同:ばんざ~い!

ばんざ~い! ばんざ~い!

久志:♪「あ~あ あの山も この川も」「赤い忠義の血がにじむ」「故国まで届け 暁に」「あげる興亜のこの凱歌」

●古山家・書斎

裕一:先生…。どうかお無事で。

♪「あ~あ あの顔で」

昭和15年「暁に祈る」が公開され大ヒット。ついに福島三羽ガラスが世に出たのです!

●喫茶店「バンブー」

保:いらっしゃい。

鉄男:どうも。ごめん 打ち合わせ長引いた。

裕一:ううん 全然。

恵:新曲の打ち合わせ? 3人ともすっかり売れっ子ね。

鉄男:おでん屋もそろそろ しまいかな。

裕一:寂しくなるな~。

保:あっ そういえば「暁に祈る」の映画 見てきたよ。

裕一:あっ 本当ですか?

保:それとさ…気のせいかもしれないけどもしかして久志君…。

裕一:あっ…。

映画「暁に祈る」の一場面:♪「ちぎれる程に 振った」

保:やっぱり…。

恵:フフフフ。でも本当にいい曲よね。私 あの歌詞好きよ。鉄男さん 苦労した甲斐があったわね。

鉄男:ありがとうございます。

保:今や 兵隊の見送りといえば「暁」だもんな。出征には欠かせない一曲だ。

回想・武田少佐:やや感傷的ではありますが…出征をしたら生きては帰らないという覚悟を感じさせる。国民の戦意を高揚させるすばらしい歌詞だと思います。

鉄男:これ 歌詞。

裕一:うん!

●関内家・和室

克子:お願いします。

晴恵:はい。

お願い。

克子:お願いします。

晴恵:はい お願いいたします。

薫:はい。

克子:お願いいたします。

吟:お願いいたします。

晴恵:ねえ 関内さん「暁に祈る」って妹さんのご主人が作曲されたんですって?

吟:ああ…はい。

薫:すごい!

晴恵:「露営の歌」も作ってるんですってよ!古山裕一さん。

薫:へえ~すごい!

克子:「露営の歌」も「暁に祈る」も 忠君愛国の精神にあふれたすばらしい曲です! 義弟さんはご立派だわ~。

薫:婦人会の曲も作ってもらったらどうでしょう?

晴恵:婦人会の曲? いいですね! ねえ? 関内さん。

吟:あっ…お茶 いれてきますね。

克子:関内さん? はい。続けますよ。

はい!

お願いします。

●豊橋・関内馬具店

岩城:うわ! ここはこうちゅうて言うとるだら!

五郎:はい!

光子:でも…随分手慣れてきたわよね?

梅:最初に比べればね。

光子:うん!

五郎:あの…ここはこれで大丈夫ですよね?

岩城:はあ?

五郎:あっ…いや…。

岩城:これで合っとる。

五郎:よかった。

光子:岩城さん 五郎ちゃんのこと 気に入っとるみたい。随分仕事も早うなったし 仕上がりだって丁寧だし。もうそろそろいいんじゃない?

梅:いかん! 甘やかすのは本人のためにならんから。

光子:お~怖っ。フフッ。

梅:まだやっとったの?

五郎:うん。とにかく体にたたき込みてえんだ。目つぶってでも できるようにならねえと。
梅:そんなにできとったら岩城さん超えちゃいそう。ちょっと やってみりん。

五郎:えっ?

梅:目 つむって。

(五郎のほっぺにキス)

梅:頑張りんね。

●古山家・書斎

(一年後)

丸井:丸井と申します。

裕一:はい。

丸井:この度はニュース歌謡という企画のご相談に伺いました。

裕一:ニュース歌謡ですか?

丸井:はい。戦果の盛り上がりを歌で伝えるラジオ番組です。国民の士気が上がるような曲を是非! 先生の得意分野ですよね?

裕一:い…いや…得意かどうかは。

丸井:またまたご謙遜を! 愛国歌謡といえば古山裕一でしょう。

裕一:いえいえ 僕はもうただ 頂いた仕事を精いっぱい頑張るだけです。

丸井:いやいや…もう先生以外考えられません。お願いします。

裕一:拝見します。

子どもたち:♪「雪のふる夜はたのしいペチカ」「ペチカ燃えろよ お話しましょ」「むかしむかしよ 燃えろよペチカ」

音:発表会?

弘哉:はい。目標があった方がやる気も増すと思うんです。

音:ああ…確かに。やろうか 発表会!

子どもたち:やった~!

(笑い声)

弘哉:先生も歌ってくれませんか?

音:えっ? 私が?

弘哉:はい。

音:発表会で?

弘哉:はい。

シズ子:先生の歌 聴きたい!

佐智子:私も聴きたい!

澄子:私も聴きたい!

節子:聴きたい!

音:え~?

華:お母さん やろうよ。

音:え~?

え~? 先生の歌 聴きたい!

先生の歌 聴きたい!

聴きたい!

聴きたいよね?

音:え~?

やってほしい~!

●古山家・居間

裕一:へえ~やったらいいじゃん。生徒たちも絶対に喜ぶよ。

音:でも声が出るかどうか。

華:お母さんの歌 聴きたい!

裕一:うん。お父さんもお母さんの歌 聴きたいな。

音:え~? 頑張るか!

裕一:おおっ!

華:やった! お母さんの歌 楽しみ!

裕一:楽しみだね~。華 お母さんの歌ね すばらしいんだよ。

華:お父さん 聴いたことあるの?

裕一:そりゃ もちろんあるよ! お父さんだもん! 羨ましいでしょ。

華:ずるい~。

裕一:ずるくない。

華:華も早く聴きたい!

裕一:聴きたいね。早く。楽しみだ。楽しみだ。

華:早く。早く。

昭和16年12月 太平洋戦争が開戦したのはこの数日後のことでした。

裕一:楽しみだね お母さんの歌。

(つづく)

●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。