朝ドラ【エール】24週118話、昭和38年、古山家に仲間が集まり大騒ぎ。ここで人と人とのつながりの大切さを再認識した裕一は、最後のピースを手に入れてオリンピックの曲を書き上げた。
昭和39年、東京オリンピック開催。裕一が作曲したオリンピック・マーチが世界中に流れる。福島の古山家ではまさの遺影を清めながら浩二とまき子が、双子の娘とともにテレビで開会式を見ていた。
昭和49年、池田が仕事中に倒れて急死。
昭和54年、音が乳がんを患い長い闘病生活を送っていた。孫の裕太は大学卒業間近で 孫娘の杏は高校生。
【エール】24週118話セリフ書き出し
●古山家・居間
♪~(テレビ)
電気屋:うん…正常ですね。
音:わ~!アハハ!
電気屋:ありがとうございました。
音:ありがとうございました。ご苦労様でした。
<<裕一:ただいま~。
音:届きましたよ。
裕一:来た~!おお~!
音:これでオリンピックはばっちり。
裕一:う~ん 色つき すごいね!
音:曲は…どうですか?
裕一:うん?あ~…まだかな。ほかの仕事もあるしね。
音:1年後 開幕ですよ。締め切り それよりだいぶ前でしょう。大丈夫?
裕一:うん 大丈夫。任せて。ちゃんとここにあるから。
(テレビ)♪三波春夫「かぞえりゃ五つ」
●JAZZ喫茶「バンプー」
音:大ヒットおめでとうございます。
木枯:あ~いや…三波さんのおかげかな。三波さん シベリアで捕虜になってたから曲に懸ける思いがすさまじかったんだよ。
音:期待に応えていらっしゃってさすがですね。
回想・酒井:日本政府を代表して参りました。先生に東京オリンピックのオープニング曲を書いて頂きたい。
音:少し不安で。裕一さんが日本中の期待に応えられるかどうか。
木枯:古山はどんな様子?
音:「大丈夫だ。任せておけ。ここにはあるんだ」って。
木枯:じゃ あるんだよ。
音:あるなら どうして書かないのかしら。
(せきばらい)
木枯:僕たちの仕事ってさ 出したら消えちゃうの。多分 自分の中で楽しんでるんじゃないかな? 日本の音楽家の中でただ一人の栄誉だから。いい気分を終わらしちゃうの もったいないって。もしくは…最後のピースを探してるのかもね。
●古山家・書斎
裕一:♪「闘魂込めて」
鉄男:おおっ!
裕一:♪「大空へ」「球は飛ぶ飛ぶ 炎と燃えて」「ジャイアンツ ジャイアンツ ゆけゆけ それゆけ巨人軍」
鉄男:おお~っ! いいよこれ! 盛り上がるよ ハハッ。これで巨人は無敵になるな。
裕一:フフフ…。ファンが納得してくれんなら このまま球団に渡すよ。
鉄男:はあ~いや~。あっ オリンピックのこと聞いた。
裕一:ああ。
鉄男:よかったな。
裕一:ありがとう。
鉄男:誰よりも藤堂先生が喜んでるんだろうな。
裕一:うん…。先生ね…聴いてもらいたかったな。
鉄男:任しとけ! 当日は俺がラジオ持って墓参りすっから。
裕一:本当?
鉄男:うん。
裕一:ありがとう。
(ノック)
裕一:はい。
音:どうぞ。
裕一:えっ!? 木枯君!
鉄男:えっ?
木枯:久しぶり。
鉄男:巨匠! アハハハ!
●古山家・居間
音:どうぞ。
木枯:あっ ありがとうございます。鉄男君のおでん 懐かしいな~。
裕一:みんなで集まって愚痴ばっかり吐いてたね。
木枯:あの頃の裕一は本当に自信なかったけど 今や大先生だもんな。
裕一:いやいや…。
鉄男:いやいや…もう 木枯さんには比べ物になりませんよ。
裕一:何だよ! アハハ…。
鉄男:まあ 裕一には裕一のよさがある。おめえの歌ははやりもんじゃねえ。ずっと残る歌だ。
木枯:そう。俺のは売れる音楽。お前のは残る音楽だよ。
鉄男:木枯さんは売れて残ります。
裕一:大将…。
音:「丘を越えて」「酒は涙か溜息か」「東京ラプソディ」。
裕一:うん!
音「無法松の一生」。
裕一:うん!
音:ああ…。
鉄男:いや 音さん 俺と木枯さんの「湯の町エレジー」忘れちゃ困んな。
音:♪「伊豆の山々」
鉄男:よっ! アハハ。
木枯:音さんの声 合うね~。
鉄男:ああ! 合う合う!
(笑い声)
裕一:出会ってから何十年もたつけどさ みんなそれぞれ活躍してるなんて本当に奇跡だよ。
鉄男:ああ…。その俺たちの集大成がオリンピックだからな。裕一 頼むぞ。
裕一:うん! フフフフ…。あ~うれしいな。
鉄男:うん!
音:久志さんと藤丸さんも呼びましょうか?
裕一:あ~呼ぼう 呼ぼう!
●古山家・書斎
一同;♪「汽車の窓からハンケチ振れば」
裕一:ラン ランラ ランランランラン。
一同;♪「牧場の乙女が花束なげる」
裕一:ジャン ジャンジャ ランランランラン。
一同;♪「明るい青空 白樺林」
裕一:ジャンジャ ジャンジャン。
一同;♪「山越え谷越えはるばると」
ダンダ ダダダダ。
一同;♪「ララララ ララララララララ」「高原列車がラララララ行くよ」
♪
音:あっ…。
(くしゃみ)
音:ああ…。いたたた…はあ…。ああ…。
裕一:木枯君に相談したって?
音:心配だったんです。
裕一:何だって?
音:生む楽しみを先延ばしにしてるか 最後のピースが見つからないかって。
裕一:いや~さすがだね。どっちも正解。僕さ…日本で行われるからって日本古来の音楽取り入れたり復興を高らかに叫ぶマーチになんかしたくなかったんだ。こう…もっと普遍的な世界中の人々が心高鳴る音楽にしたかった。そうやって心に決めたら毎日 あふれんばかりの音が僕の中に降ってきたけど何かが足りなくてね…書き出せなかった。
音:その「何か」は見つかりました?
裕一:うん 見つかったよ。今さっき。
♪
音:この醜態?
裕一:いつ会っても出会った頃のように騒げる仲間がいる。これ以上の幸せってあるのかな?何よりも尊いのはさ 人と人とのつながりだと思うんだ。僕はそれを曲に込めたい。
オリンピック開会式当日
●古山家・玄関
(御手洗清太郎の荒い息遣い)
●国立競技場・控室
音:裕一さん もうそろそろ。
裕一:うん…うん。もうちょっと待って。こ…心の準備がね。うん…。
音:はい。
裕一:ごめんね。
音:はい。
裕一:ふう…。
大会関係者:失礼します。時間です。ご移動お願いします。
音:はい。裕一さん。
裕一:あの…少しだけ時間下さい。心を落ち着かせてきます。
その後の顛末は皆さんもご存じ。トイレに閉じ籠った裕一を音が連行。
音:裕一さん!
会場入り口まで連れていくも 駄々を込める裕一。音の説得にもふんぎりがつかないところに居合わせた長崎出身の警備員が熱い思いを伝えると…。
警備員:先生の晴れ舞台ですけん どうか…どうか会場で!
裕一:ありがとう。
♪~(オリンピックマーチ)
●古山家・居間
智彦:あ~映った 映った!
テレビ「開催国といたしましても…」
華:おじいちゃんだよ ほら。
●福島・古山家・居間
テレビ「スポーツマンシップを発揮し正々堂々と戦ってほしいと思います」
まき子:楽しみだね。
●福島・藤堂家の墓前
ラジオ「オリンピックは全世界の青年の胸に平和と希望と前進の火をともして…」
●国立競技場・控室
酒井:世界中の人々が感動し希望に胸膨らませる曲でした。
裕一:そうですか。いや~ほっとしました。
音:最高でした!
その後 15日間にわたって開かれた東京オリンピックは敗戦のどん底から復活した日本のシンボルとなりました。
オリンピック以降も裕一は池田とのコンビで数々の舞台音楽を手がけていきました。そんな日々が10年続いたある日。
●池田の執務室
秘書:先生!? 先生! えっ…?
(回想)
池田:そこしか演出してないんだけどね。あとはもう全部 森さんの力。
♪
池田:あ~次はな オペラ。
裕一:ああ…いつか やってみたかった。
池田:ああ…と思ってな その力を存分に発揮できる場所をこしらえてやるから。待ってろよ。フフフ。
裕一:はい!
●古山家・書斎
池田を失った裕一は 何度かほかの人との仕事に取り組みますが 情熱は戻ってこず第一線から退いていきました。
●静養先の家
池田の死後から5年の時が過ぎ 音は乳がんを患い長い闘病生活に入っていました。
音:この写真 好き。
(回想)
アキラ:よし…。
音:うん。
(セルフタイマーの音)
音:うん?
一同:ああ~!
(シャッター音)
(回想閉じ)
裕一:もうすぐ裕一は大学を卒業するし 杏は高校生になった。
音:早いですね…。んん…。
裕一:大丈夫? もうお客さん来るけど 断ろうか?
音:せっかく訪ねてきて下さったのに失礼です。
(ノック)
<<失礼します。
裕一:どうぞ。
広松:広松寛治と申します。お時間頂きありがとうございます。
(つづく)
●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。