【エール】セリフ書き出し22週106話|昭和26年、信夫小学校の校歌を作る

朝ドラ【エール】22週106話、昭和26年、日本は復興期を迎えて人々の生活も豊かさを取り戻しつつある中、鉄男は木枯正人と共に作った「湯の町エレジー」が大ヒット。

そして、映画の主題歌の依頼を受けるのだったが、そのテーマが家族の絆ということで、自分の中にないものは書けないと筆が進まず、結局はその申し出を断ることに。

そのことを伝え聞いた裕一は、鉄男の中で家族に対する整理ができていないじゃないかと察し、たまたま依頼があった母校の校歌作りに鉄男を誘い、その完成を祝うお披露目会出席のために久しぶりに福島に里帰りする裕一と鉄男。

【エール】22週106話セリフ書き出し

昭和26年 日本は復興期を迎え 人々の生活も豊かさを取り戻しつつありました。古山家はというと…。

●古山家・台所

華:いい匂い。

音:でしょ?

華:うん。

音:今日はうまく焼けたのよ。あとは…トマトと…。

華:あ~採ってくるよ。

音:お願い。

●古山家・中庭

裕一:45678…。お~華 おはよう。

華:お…おはよう。

●古山家・居間

華:ねえ お父さん 何やってんの?

音:「福島県民体操」って曲を作るんだって。

華:体操 あれで合ってんの?

音:違うと思う…。

裕一:何の話? い…痛っ…。

音:鉄男さん来るの 今日ですよね?

裕一:そう。仕事帰りに寄るって。

音:お夕飯 どうします?

裕一:あ~…。

華:私 カツレツ食べたい。

裕一:あ~いいね。

音:カツレツね。

(電話の着信音)

裕一:はい もしもし?

池田:あ~古山か? 

裕一:あ~池田さん。

池田:「さくらんぼ大将」の件で思いついたことがあってな 六郎太がけんかするシーンの音楽なんだけど…。

みんな 充実した毎日を送っているようです。
 
(OP)

鉄男:音さん これ うまい!

音:よかった。たくさん食べて下さいね。

鉄男:うん。

裕一:どうしたの?華。食べないの?

音:今日 解剖実習だったみたいで。

鉄男:へえ~。看護学校でもうそんなこともやってんだ。

裕一:大変だね。そっか。

鉄男:でも偉いな。夢に向かって毎日努力してる。

華:そんな大したもんじゃないよ。

鉄男:立派な夢だよ。どうして看護婦 目指そうと思ったんだ?

裕一:人の役に立つ仕事に就きたいって思ったんだって。看護婦さん 華にぴったりだよね。優しいしさ よ~く気が付くしさ。前にね 華にね看病してもらったの。もうその時ね 安心感がすごかったんだよ!

鉄男:おい!

裕一:うん?

鉄男:俺は華ちゃんに聞いてんだけど。

裕一:あ~そうかそうか…ごめん…。

華:う~ん 人のこと ほっとけないっていうか 幸せになる手伝いができたらなって。

鉄男:ふ~ん。そうか。きっといい看護婦さんになれる。応援してっぞ。

華:うん。頑張る。

鉄男:古山家はみんな頑張り屋だ。音さんも聖歌隊頑張ってるし。裕一はもう相変わらず仕事ばっかししてるしな。

華:お父さんは仕事の虫だから。

音:頼まれたら断れないんです。

鉄男:俺にはまねできねえ。んっ ラジオドラマ聞いてっぞ。

裕一:本当?

鉄男:「さくらんぼ大将」。

裕一:へえ~。

音:福島が舞台なのもいいですよね。

裕一:うれしいな。池田さんに伝えとく。

華:ねえ 鉄男おじさんってどんな子どもだったの?

裕一:いいやつだったよ。ただね 最初 ちょっとだけ怖かったの。

華:けんか強そうだよね。

裕一:強かったよ! しょっちゅう けんかしてたよね。3人まとめて こうボッコボコにしてさ 上級生に飛び蹴りしてたんだから!

(笑い声)

華:すごい!

鉄男:全部売られたけんかだ。自分からは仕掛けてねえ。

音:あら かっこいい。

鉄男:ありがとう。

華:そんな けんかばっかりしてさ 親に怒られなかった?

鉄男:さあ? どうだったかな?

華:鉄男おじさんって きょうだいは何人…。

裕一:ねえ このトマト おいしいね。これ うちの?

音:でしょ。甘いの。

裕一:あ~。

音:んっ…。

裕一:すごい甘いよ。

鉄男:んっ…甘い! ハハッ。

音:でしょ?

●コロンブスレコード・打合室

鉄男:映画の主題歌?

杉山:はい。映画会社が社運を賭けた勝負作だそうです。今回の依頼は監督からのじきじきのご指名です。

鉄男:ありがとうございます。どんな映画ですか?

杉山:下町の大家族を描いた人情喜劇で 主題歌は家族の絆をテーマにしてほしいとのことです。

鉄男:ちょっと…考えさせてもらってもいいですか?

●智彦のラーメン屋

鉄男:こんばんは。

智彦:あ~いらっしゃい!

ケン:いらっしゃい!

智彦:どうぞ。

池田:おっ よう!

鉄男:お~池田さん お久しぶりです。ラーメンお願いします。

智彦:はい。

池田:うん!やっぱうまいな ここのラーメンは。スープがいいよ。今夜もぐびぐび飲んじゃうぞ。

ケン:味が濃いと食べてて飽きが来るでしょ。うちはほかと違って塩気を抑えて…。

智彦:な~に 生意気言ってんだよ。

吟:ケン。

ケン:うわっ! 来た…。

吟:アハハ どうも いらっしゃい。

鉄男:お迎えですか?

吟:ええ。今日は早く帰ってくるんじゃなかったの?

ケン:忙しいんだよ。これから洗い物も仕込みもあるし。

吟:さあ 帰るわよ~。

ケン:え~?

吟:少しは勉強しなさいよ。落第したらどうするの?

ケン:ラーメン屋継ぐんだから勉強なんてどうだって…。

吟:何度も言ってるでしょう。これからの時代 学があって損することはないの。

鉄男:ケン。吟さんの言うことは聞いとけ。心配してくれる人がいんのはありがてえことだ。
ケン:分かってるよ。

吟:お騒がせしました。あなた 先に帰るわね。

智彦:おう。気をつけろよ。

ケン:母ちゃん これ洗濯して。

吟:えっ? 嫌だ おっきな染み! どうしよう…。

智彦:フフッ…養子に迎えたからにはちゃんと教育 受けさせなきゃって使命感に燃えてるみたいで。

池田:はっ? ケン坊 正式にお宅んちの子になったの?

智彦:ああ…まあ 暮らしは何も変わりませんけどね。

鉄男:ケン うれしいだろうな。

池田:ああ。ず~っと独りぼっちだったもんな。

智彦:はい。お待たせしました。

鉄男:どうも。頂きます。

(ラジオ)♪~

池田:おっ! 「湯の町エレジー」。村野鉄男と木枯正人のコンビは無敵だな~。最近どう? 仕事順調?

鉄男:あ~カもなく不可もなくですかね。

池田:またまた大先生がご謙遜を。これだっていまだに売れてるじゃない。

鉄男:いや 先生なんかじゃないです。まだまだ未熟者ですよ。

(ため息)

池田:何だ? どうした その小さなため息。どうした?

鉄男:あっ いや…。

池田:うん?

鉄男:裕一は何でも書くじゃないですか。しかも何やっても質が高い。けど俺は…自分の中にないもんは書けないっつうか…。「暁に祈る」の時もそれで悩んだし。家族の絆をテーマに書いてほしいって言われたんですけど 絆どころか うちはまともな家族じゃなかったんでどう書けばいいんだか。

池田:あ~そうか…お宅も俺と同類か。

鉄男:えっ?

池田:う~ん…古山が何でも書けんのは どんな題材にも自然と感情を寄せていけるからだと思うんだよ。何でも受け入れて愛せる素直さは…まあ もちろんもともとの性格もあるだろうけども 愛情に恵まれて育った人間ならではって気もすんだよな。逆に言うとそこが欠けてる人間は自分の愛し方すらよく分かんないっつうかさ まあ…あ~ 難儀なもんだ。ここ 置いとくよ。

智彦:はい。

池田:でもさ…我々には想像力ってもんがあんだろ? 膨らませるのも しぼませるのも てめえ次第だ。

●コロンブスレコード・打合室

裕一:えっ!? 例の映画の主題歌ですよね? 鉄男 断ったんですか?

杉山:大丈夫でしょうか?

裕一:うん?

杉山:村野さん 最近少し行き詰ってるようなので。

裕一:…。

杉山:何ですか?

裕一:いや…め…珍しいなと思って。

杉山:はあ?

裕一:いや 杉山さんが作家の心配するって あ…あんまり見たことがなかったんで。

(せきばらい)

杉山:所属作家の管理も業務の一環ですから。

裕一:はい…。でも何で断ったんだろう? すごくいい話ですよね。

杉山:もっと この題材にふさわしい作詞家に頼んでほしいと言われました。

●古山家・寝室

音:鉄男さんって 家族で夜逃げしたって言ってたよね?

裕一:うん…。再会した時にはね もう新聞記者になってて 間のこと よく分かんないんだ。家族もどうなったのか…。

音:そっか…。きっといろいろあったんでしょうね。

裕一:うん…何にも言わないけどね。大将の中で整理がついてればいいんだけどな…。

●JAZZ喫茶「バンプー」

恵:は~い どうぞ。

鉄男:どうも。んっ! うん…うまい。香りもいい。

保:気付いてくれた? 今日のはちゃんとした豆でいれてんだよ。

恵:コーヒー豆も随分手に入りやすくなったの。

鉄男:ふ~ん。バンブーのコーヒーはやっぱ これじゃねえと。なあ 裕一?

裕一:うん? うん?

鉄男:どした?

裕一:いや…。大将さ…杉山さんから聞いたんだけど 映画の主題歌の話 断ったんだって。
鉄男:ああ。ここんとこずっと忙しかったし 少しペースを落としてもいいかと思ってな。

恵:のんびりする時間も大切よね。

保:そうそう。メリハリ大事。

鉄男:ですよね。

裕一:あの もしさ…時間があるなら 一つ相談したいことがあるんだけど。

●古山家・書斎

裕一:はい。

鉄男:うん?福島信夫小学校…。

裕一:そう 僕らの母校。校長先生からね 校歌作ってほしいって頼まれたの。もしよかったらさ 大将 歌詞書いてくれない? 好きなように書いてくれて構わないって。大将が一緒に作ってくれたら藤堂先生も喜ぶと思う。

鉄男:分かった。やらしてもらうよ。

裕一:よかった。でね…ここ。校歌が完成したら学校でお披露目会するから是非来てほしいって。大将 一緒に福島行こう。

鉄男:…だな。そろそろ藤堂先生の墓参りにも行きてえし。

裕一:よし 決まり!

●古山家・玄関

華:遅れるよ。

<<裕一:うん!

完成した校歌のお披露目会に出席するため 裕一と鉄男は福島に向かうことになりました。

音:じゃあ 気を付けて。お義母さんと浩二さんによろしくお伝え下さい。

裕一:うん! 行ってきます。

華と音:行ってらっしゃい。

●福島・信夫小学校

今回の里帰りが鉄男の人生にとって忘れられない旅になるとは この時は思ってもみませんでした。

(つづく)

●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。