朝ドラ【おちょやん】第19週「その名も、鶴亀新喜劇や」95話、鶴亀新喜劇の旗揚げ公演、「お家はんと直どん」の主役であるお家はんを千代にやれと言い放ち、それ以降、一切、稽古場に姿を見せなかった千之助。
そして鶴亀の大山社長が「道頓堀喜劇の新しい幕開けや」と大喜びするほどの成功を収めた公演後、千之助は一人、旅立つのだった。
今回 わし 何した? それでもお前らは見事にやったがな。ええ芝居やった。天海…お前のお父ちゃんにやっと義理果たせたわ。
今週は万太郎が亡くなり、千之助が引退ということで、いよいよ【おちょやん】もラストスパートです。
【おちょやん】セリフ書き出し第19週95話
鶴亀新喜劇 旗揚げ興行の初日はもうすぐです。そやけど…。
●鶴亀株式会社・稽古場A
千代:死ぬほどつらい恋やて よう言いなはるな。
稽古場に千之助さんの姿はありませんでした。
千代:これ…これ 直どん。
(回想)
一平:ほな 読み合わせや。
千之助:わしはやらん。千代…お前がせえ。お前が主役じゃ。
(回想閉じ)
●うどん屋「岡福」
千之助:何じゃ お前。
千代:何じゃやあれしまへん。あの「そういうあなたこそ 生娘の初恋を踏みにじったドタヌキのくせに」て 何であれ ドタヌキなんだす?
千之助:知らん知らん。一平に聞け あほ。
千代:せやけど あこは 千之助さんが書きはったとこやし。
千之助:知らんちゅうてんねん 邪魔くさいのう。お前 自分で考えろ あほ。おい お前…。
千代:ごお~!
千之助:変な音出とる お前 だんないか?
千代:タヌキやのうて ドタヌキ…。
千之助:そんなんな…そんなこと考えて わしも書いてない。変なおばはんに いたいけなじじいが殺されかけとる~。
みつえ:すんまへん 騒がしくて。
千之助:苦しいわい! 苦しいわい! 鼻と口 塞ぐな あほ!
千代:タヌキやなかったら 何が…。
●天海家
一平:お前 もうやめときって お前。
千代:ちょっことだけ ちょっことだけ ちょっこと…。
一平:あかんて。
千代:何でやねん。何でやろ…どないな芝居したらええのか 分かれへんようになってしみた…。絶対 失敗できへんのに…。この道頓堀をもっぺん 芝居の街にせなあかんのに…。
回想・鶴蔵:もういっぺん あのころの道頓堀を取り戻す ほんで次の時代につなげなあかんのんや。
千代:堪忍…。
一平:千代 お前 もうあかん。
千代:嫌や それ嫌や。ちょっと…。
寛治:ただいま~。
一平:やめとけ。ああ もう お前。もうええから。
千代:あっ お帰り。お帰り 寛治。
寛治:千代さん これ。千代さん宛てに届いたって 熊田さんが。はい。
一平:前とおんなじやな。
千代:どなたさんか分かれへんのやけど…。この人も生きてはったんやな。
一平:俺らのやることは今も昔も変われへん。見てくれる人に一生懸命 芝居するだけや。
●新えびす座・舞台
一平:若旦さんとご一緒やいうたかて 楽しいうれしいことばっかりやあれへんで。 どんだけ つらいことがあっても苦しいことがあっても 若旦さんにぐっとしがみついて おそば離れるんやない。分かりましたな。
灯子:はい。
一平:よろしゅうお頼み申します。
それでは ここでこの「お家はんと直どん」が どないなお話か 簡単に申し上げておきます。若い恋人同士の明夫と妙子は家柄の違いを超えて 結婚を望んでおりました。明夫の母 てるも初めはその結婚に賛成していましたが 妙子の父親が直吉と知った途端 猛反対します。実はてると直吉は かつて親の反対を押し切って駆け落ちを約束した仲だったのです。けど その約束は守られず お互いを恨みながら時がたちました。
寛治:お父さん 頼んます。
一平:ああ 分かってる。
その2人が40年ぶりに再会する場面です。
(拍手)
みつえ:よっ 千代!
(拍手)
千代:ごめんやす。
(笑い声)
千代:私は糸文の明夫の母ですけど。明夫 ここに来てしまへんか?
一平:若旦那は来ておまへんで。
千代:親として この結婚は反対です。
一平:あんたさんは 生娘の初恋を踏みにじるおつもりですか。
千代:そういうあなたこそ 生娘の初恋を踏みにじったドタヌキのくせに!
(拍手と笑い声)
一平:誰がドタヌキですねん。
千代:これ 直どん。
一平:直どんとは?
千代:なんぼ しわくちゃになったか知らんけど 私のことを忘れるやなんて…。
一平:てるさん! あんた おてさんさんかいな。ああ えらい年季が入ったなあ。
(笑い声)
千代:あんたに言われとうない!
一平:おてるは 原田さんとこへ嫁に行くと承知した。「お前 もうおてるのことは諦め」て。
千代:誰です 原ださんて。
一平:誰です?原田さん。
千代:私が聞いてますのや!
一平:わしが知るかいな。
千代:私は今日まであんたにだまされた 傷物にされたと恨んできました。けど…。
一平:けど?
千代:そない恥ずかしいこと言えますかいな!
(拍手)
一平:わしは あの時からずっと あんさんのことを思ってましたんやで。
千代:ずっと私のことを?
一平:ああ そうや。
千代:ほかの奥さん 貰て 娘さんまでいてるくせに!?
一平:それとこれとは話が別やがな。
千代:もう取り返しのつかへんことですけど あんたの気持ち分かって うれしいわ~直どん!
(拍手)
一平:お家はん はよ上がっとくなはれ。
千代:おおきに。
(笑い声)
千代:直どん。
一平:お家はん。
千代:もっと何とか言いようがおますやろ。
一平:ほな 昔に戻って 嬢さん。
千代:直どん。
一平:ん~嬢さん。
千代:直どん。
一平:嬢さん。
千代:ああ~もうええ年して恥ずかしい!
万歳:明夫~!明夫! お義母さん 何でここにいてはりますのや。
千代:ああ そら ちょっと…。
万歳:お母さん 2人はこないに思うてますのや。捜し出して一緒にさしてあげたら どないだす? このとおり 頭を下げてお願いします!
千代:許したげます。
寛治:お母さん! ありがろう!
千代:明夫!
寛治:ずっと隠れてましたんや。
千代:ほな さっきの話は?
灯子:すんません みんな聞いてしまいました。
千代:嫌だ もう恥ずかしい!
(拍手)
万歳:さっきの話て 何や?
千代:ああ もうよろし。よろし。明夫 妙子さん。これから まるで違う家のもん同士が一緒になっていきますのや。考えが食い違うこともようけありますやろ。せやけどな 昔に縛られて今を見失うたらあかん。なあ 直どん。
一平:ああ そうですな。あんたら若いもんが これからの世の中 引っ張っていくんや。頼んだで。
2人:はい。
(柝の音)
(拍手)
(拍手と柝の音)
みつえ:よっ! 千代!
(拍手と柝の音)
千兵衛:よかった! よかった!
♪
熊田:社長…。
鶴蔵:道頓堀喜劇の新しい幕開けや。
熊田:はい!
♪
一平:千さん。どこ行きはるんですか?
千之助:おう…。もうやることは皆 やったしのう。ここにおる意味 あらへんのじゃ。
千代:何言うてはります。千さん いてはれへんかったら うちらはどないしたらええんだす。
千之助:今回 わし 何した? それでもお前らは見事にやったがな。ええ芝居やった。天海…お前のお父ちゃんにやっと義理果たせたわ。
一平:今までほんまにありがとうございました。あなたから貰たもんは 何一つ無駄にしません。
千之助:元気での。
天晴:千さん…。千さん! 千さん どこ行くんですか! 千さん!
千之助:じゃかましわい!
千之助さん おおきに。
(つづく)
●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。
●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
NHK連続テレビ小説・第103作【おちょやん】のネタバレあらすじと各回の全セリフ、そしてキャスト紹介を最終回まで書き続けています。朝ドラ【おちょやん】は女優・浪花千栄子さんをモデルに、その生涯を再構成してフィクションとして作られたド[…]