朝ドラ【おちょやん】第18週90話、旅一座として日本中を回ることを決めた天海天海家庭劇の面々。
その出発の前に、塞ぎ込んだみつえに笑顔を取り戻してあげたいという千代の願いが実現し、福富楽器店の焼跡で青空公演を無料で行うことに。
演目は、みつえと福助が結婚するきっかけとなった「マットン婆さん」。配役に合わせて内容を手直しした結果、一福がマットン婆さんの息子として登場するが…。
一福がトランペットを上手く吹いてしまってツッコミどころがなくなるアクシデント。それを見てたみつえが「フッ…フフフッ…ハハハハ! ハハハ! むちゃくちゃやんか」と涙の笑顔。
かくして、生きる気力を取り戻したみつえは一福とともにすいとん売りに励み、千代たちは全国を回る旅に出発。
来週は数年後に千代たちが道頓堀に戻ってきたところから話がスタートし、あの寛治も満州から無事に戻るという展開で【おちょやん】もいよいよ残り1か月でラストスパートです!
【おちょやん】第18週90話セリフ書き出し
●天海家・二階の書斎
一平:ほな 演目は「マットン婆さん」でええな。
千代:みつえと福助が一緒になった時の芝居だす。
一平:うん。配役に合わして手直しするわ。福助や百久利は…許してくれるやろか。
千代:当たり前やんか。あんた いつからそんな聖人君子になりなはった?言うときますけどなあ あんたは芝居のこと以外 どないしようもない人間だすで。せやさかい 間違えて当然や。あんただけが間違うたんやあれへん。みんな間違うたんだす。間違うたままで立ち止まったらあかんのだす。ちょっとでも正しに変わるようにしんどうでも前に進まなあかん、それこそが喜劇やろ。
(一福の息を吹き込む音)
●福富楽器店・焼跡地
いよいよ 千代ちゃんたちの久しぶりのお芝居の日がやって来ました。
天晴:さあさあ 皆さん お立ち寄りを! 生まれ変わった天海天海家庭劇のお芝居が始まりまっせ~!
徳利:よいしょ~! さあさあ これ見な 一生の損でっせ!どうぞ皆さん 腹抱えて笑うてやっておくれやす~!
漆原:今日だけ特別 見やすい場所は早い者勝ちや。
天晴:さあさあ 皆さん!
千代:どうぞ どうぞ 座っとくなはれ。
●天海家・みつえの部屋
(戸が開く音)
シズ:行きますで。支度し。
みつえ:うちはええ。お芝居なんか見とうない。
シズ:見とうなかっても見ますね。笑いとなかっても笑いますね。
みつえ:そないなことしても何も救われへん。
シズ:あんたが救われるために行くんやあれしまへん。千代たちを あんたが救いますのや。
みつえ:ん?
●福富楽器店・焼跡地
香里:みつえちゃん 来えへんか…。
一平:そろそろ時間や。始めんで。
<みつえ 絶対笑わしたるさかいな>
千代:よっしゃ。気合い入れていきまひょ。
♪
徳利:頼んます お父さん もうお金貸してください。商売に失敗してしもて 今度こそどないもなれへんしまへんのや。
天晴:この家見たら分かるやろ。屋根も傷んで青空見えてしもてるがな。なあ。
(笑い声)
天晴:この家にそんな大金あるはずないやろ。自業自得じゃ。
千代:そもそもマットンを雇うお金はあんのに 実の子である うちらに出すお金はあれへんて おかしいやろ。あないな役立たず さっさとクビにしたらええんや。
一平:なんちゅうこと言うねん!僕らを育ててくれた恩人やで。
徳利:ハッ! ええ年して おやじと夫婦になりたいて…。財産目当てなんと違うんかい?
千之助:正一郎さん。
客:よっ 千之助!
(拍手)
千之助:わてが財産目当てとは あんまりでございます。はっきり言うときます。わては親旦さんの 体目当てです。
(笑い声)
天晴:この結婚 やめさしてもらうわ。
一平:お父さん!
天晴:冗談や 冗談。
一平:もうええ。お金やったらある。持っていきいな。
徳利:おお…!
千代:えらい大金やんか!
徳利:こんだけあったら どうには急場はしのげるわ。おおきに 三郎。さすがは わての弟や!
一平:お礼言うのは 僕やあれへん。そのお金わな マットンが大事にためたもんなんやで。
千代:マットンが!?
徳利:マットンが!?
千之助:マットンが!?
徳利:いや あんたのことやがな。
(笑い声)
天晴:マットンが!?
一平:あんたは知っとるやろ。
千之助:それがマットンがコツコツ コツコツためたお金です。けどな わてはうれしおます。あんさんらには こないちいちゃい頃から た~んと無理言われてきましたけどな 無理言われたら言われるほど マットン 頼りにしてくれてはるんやなあて うれしゅうて うれしゅうて…。どう逆立ちしたかてな あんさんらのほんまのお母ちゃんにはなりゃしませんけど ほんまのお母ちゃんの代わりに無理聞いてあげるんが マットンの生きる喜びです。
(拍手)
宗助:千之助!
徳利:そやったんかい。 おおきに マットン。
一平:マットンちゃいますやろ。
徳利:せやな…。おおきに…。お母…。
一福:お母ちゃん!
客:誰っ!?
千之助:わての息子だす。
千代:息子があったん!?
徳利:いや あんた 一体いくつで産んだんや!?
千之助:106。
徳利:今 いくつやねんな。
千之助:この子はね 音楽の勉強さすために東京の学校行かしてたんです。
一平:それは さぞ音楽の才能がありますのやな。
千之助:そらもう 評判で評判で。この子がひとまず 楽器を吹けば 寝た子も起きる…。
千代:「泣く子も黙る」やろ それ!
千之助:泣く子も黙るで 泣く子も黙るですな。さあ あんさんの上手なトランペット 皆さんに聴いてもらいなはれ。
徳利:楽しみやな。
天晴:ほんまやな。
千之助:お願いします。ありがとうございます。じゃあ 頑張ってね。うまいです。
天晴:そら 楽しみやで。
(回想)
一福:僕が芝居に?
千代:そや。
一福:見てたやろ。僕 トランペット吹かれへんねんで。
千之助:あほやな。それでええんじゃい。わしが「吹かれへんのかい!」言うたら みんな笑いよるわい。
千代:きっと お母ちゃんも笑てくれるで。
(回想閉じ)
千之助<よっしゃ いつでもツッコんだる>
(トランペットの音)
千之助:鳴った!
徳利:鳴ったがな 鳴ったな…。
天晴:鳴った…。
千代:鳴ったやん…。すごいな 一福! ようやった!
千之助:(小声で)おい 何 喜んでんねん。
♪
みつえ:フッ…フフフッ…ハハハハ! ハハハ! むちゃくちゃやんか。
千代:やっと笑てくれた。
みつえ:千代…堪忍…。
千代:フフフ…。
(宗助のせいばらい)
宗助:千代 芝居 芝居…。
一平:満里子姉さん さっきから何してますのや!
天晴:満里子!
千代:堪忍。何や知らんけど よう うれしなって…。ああ もう可愛らしい弟がでけて うれしいなあ。
一平:よかったな お母ちゃん。
千代:お母ちゃん。
徳利:お母ちゃん。
千之助:マットンて呼んでください…。もう恥ずかしい~。
天晴:旦さんやあれへんやろ。
一福:あんさん。
千之助:わてのセリフや それ。
(笑い声)
<何や…うちら一生懸命やったのに 結局 みつえを笑わしたんは福助と一福いうことや。かなわんなあ>
鶴蔵:戦後一番乗りの芝居 とられてもうたな。ハハハ。今すぐ使える劇場押さえ。
熊田:えっ…。
鶴蔵:1か月後には幕開けるで。
熊田:けど 小屋はなんとかなるとしても役者がそない すぐには…。
万太郎:うちらには いつでもいけまっせ。
熊田:ほんまですか?
万太郎:今やらな 何のための喜劇や。
鶴蔵:熊田 遠慮はいらん 盛大にやれ。我ら鶴亀がこの道頓堀でもういっぺん 芝居の灯をともすんや。
●天海家・玄関先
一平:ほな 留守の間よろしゅうお願いします。
千代:お願いします。
宗助:気ぃ付けてな。
千代:旦さん ご寮人さん おおきに。みつえにもよろしゅう伝えとくれやす。
香里:何や みつえちゃん どないしたん?
千代:忙しい言うて 見送りもしてくれへん。
●福富楽器店・焼跡地
みつえ:皆さ~ん! ええ小麦粉に ええお出汁ですいとん作ったで~。
♪~(トランペット)
一福:すいとん うまいで。食べてってや。
みつえ:食べてみて~。おにいさん おにいさん おにいさん すいとん食べて。
●天海家・玄関先
千代:うちらも負けてられへんわ。
シズ:一路平安をお祈り申し上げます。
千代:おおきに。
一平:おおきに。ほな 行ってまいります。
千代:行ってまいります。
宗助:行っといで。
天晴:よっしゃ 行きましょか。
(切り火を切る音)
徳利:ほな 皆さん 天海天海家庭劇 行ってまいります!
千代:行ってまいります。
♪
千代:今日もええお天気や。
(つづく)
●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。
●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
NHK連続テレビ小説・第103作【おちょやん】のネタバレあらすじと各回の全セリフ、そしてキャスト紹介を最終回まで書き続けています。朝ドラ【おちょやん】は女優・浪花千栄子さんをモデルに、その生涯を再構成してフィクションとして作られたド[…]