【おちょやん】セリフ書き出し第2週9話|テルヲの夜逃げと岡安をクビになる千代

朝ドラ【おちょやん】第2週9話、一平の父、初代天海天海が33歳の若さでこの世を去り、道頓堀界わいの興行を取り仕切る鶴亀株式会社創始者の大山鶴蔵が喪主となって盛大な劇場葬が執り行われた。

そして、天海天海の名を残すようにとの鶴の一声で、一平は2代目天海になることを要請されるのだったが…。

一方、千代は辰夫から父テルヲが夜逃げしたことを知らされ激しいショックを受け、しかもシズの使いで粗相をしでかし「クビだす。わての前から消えはなれ!」と言われてしまい、雷鳴がとどろく道頓堀の街を彷徨い、どこにいくのかお千代ちゃんで明日に続くです。

【おちょやん】第2週9話セリフ書き出し

千代:天海さん?天海さん?天海さん? どねしてんな!

辰夫:テルヲらな 夜逃げしくさったんや。

大正5年 暮れ。一平の父 初代天海天海は33歳の若さでこの世を去りました。

●道頓堀・街中

宗助:ボン…気落ちしてんのちゃうやろか。

鶴亀座

一平:さんざん俺のこと振り回しといて あっけのう このざまや。

ハナ:一番無念なんは お父ちゃんだす。あんたのことも芝居のことも これからやったさかいな。

葬儀の喪主を努めるこの男 ここ道頓堀のほとんどの興行を取り仕切る道頓堀の主 鶴亀株式会社創始者 大山鶴蔵です。彼の意向でこの劇場葬が執り行われることになりました。

(鉦の音)

(ざわめき)

(鉦の音)

ハナ:あれが あんたのお父ちゃんが越えようとした男 須賀廼家万太郎さんだす。

万太郎:ハッハッハッハッハッハッハッ…。

(笑い声)

彼の名は須賀廼家万太郎。この後30年 日本の喜劇界に君臨し続けることになる喜劇の帝王です。

(笑い声)

大山:何よりの手向けやなあ 万太郎はん。

万太郎:社長はんこそ こない盛大な劇場葬を催してくれはったら さぞかし故人も喜んでますやろ。ついでに鶴亀の名もまた一層 世に広まる。ほんに人の世は 笑えん喜劇と笑える悲劇のよじれ合いや。

大山:よじれんのは 腹だけにしたいもんやなあ。ハハハハハハハ。

万太郎:おまはんも運のない男やなあ。いつでも うっとこに戻ってきてもよろしおまっせ。

この男 須賀廼家千之助さんは もともと万太郎一座におりましたが その後 天海と組み 天海一座を支えた役者の一人です。

●岡安

シズ:よろしいな 鰻谷の大野屋さんにお渡しするのやで。

千代:へえ。

シズ:何してますのや。はよ行きなはれ。

千代:へえ。

(回想)

辰夫:千代ちゃん ほんまに何も知らんのけ?テルヲらな 夜逃げしくさったんや。借金膨れ上がったとかで ヤクザ者みたいなんが毎日取り立てに来よってな。なんとか どこにおるかだけでも分かれぃんか思て来たんやけど。

千代:何や それ…。うち 何のために…。

(回想閉じ)

●道頓堀・橋の上

一平:うっ…う~っ!う~っ!

千代:死ぬんけ?

一平:あ~っ!

(荒い息遣い)

一平:あほ。何で俺が死ななあかんねん。

千代:お父ちゃんの後 追うのとちゃうんけ?

一平:あんなやつの後なんか死んでも追いたないわ。あっ…死んだら追うことになってまうな。おやじ よう言うてたんや。道頓堀は船でお客さんを運んできてくれるありがたい川やて。絶対に石なんか投げ込んだりしたらあかんて。せやさかいな この石 投げこんだんねん。おやじにもう何も言われへん。ざまあみいや。うりゃあ~!あかん!重い!

(荒い息遣い)

一平:お前もちょっと手伝え。はよ。はよ。う~っ! せ~の!

(掛け声)

(笑い声)

一平:やったった!どや おやじ!悔しいやろ!おやじが大嫌いで飲めへんかった牛乳もしこたま飲んだった。それから…。

千代:あんたのお父ちゃん ほんまはあんたのこと 気ぃもんでたで。

一平:嘘や。

千代:嘘やあれぃん。あんたに謝っとった。

一平:そんなこと信じない。

千代:ほんまやて。うちな あんたが羨ましい。

一平:どこがや!俺 あいつのせぇでお母ちゃん いてへんのやで。あいつのせぇで学校にも行かれへんかった。友達もでけへんかった。みんな あおつのせぇや…。そやのに 何で悲しいねん…。

(泣き声)

千代:何やねん それ! 何やねん! ええやんか! 最後にお父ちゃんに気ぃもんでもらえただけで うち あんたが羨ましい…。羨ましい…。

(泣き声)

●岡安・二階の客間

天晴:天海天海の名ぁをお前に継がしたい。それが鶴亀の社長はんの意向や。背けば この道頓堀で芝居を続けんのは無理や。

千之助:ふっ…。

(回想)

熊田:天海天海の名をついえさしてはならない。

徳利:つまり ボンに2代目継がせえっちゅうことですか。

天晴:あのボンボンには無理でっせ。

要二郎:せやなあ。天海はんのこと嫌てはったし 芝居もいやいややってたさかいなあ。

熊田:社長の鶴の一声は絶対です。

(回想閉じ)

天晴:頼む 一平。わしらと一緒に芝居 続けてくれへんか。

一平:そないなこと言われても…。

天晴:頼む。このとおりや。

一平:後継ぐやなんて…俺には無理や。

千之助:どいつもこいつも ほんま邪魔くさいのう。

天晴:どこ行くんです?

千之助:どこって お前 稽古やな。

天晴:あの芝居 まだ続ける気ですか?

千之助:当たり前や。

一平:おやじの役は どないすんの?

千之助:わしがやるんや。

天晴:千さんの役は?

千之助:それもわしや。

一平:むちゃくちゃや!

千之助:むちゃくちゃてかい…。そうか。でもな…お前のお父ちゃんは もっとむちゃくちゃやったわい。せやさかい 見せつけたんねん。おい あんたがおらんようになっても やれるんやで!…ってよ。

●岡安

シズ:クビだす。

千代ちゃん…シズさんに頼まれた届け物 えらい遅なって 相手さんを怒らしてしもたんやそうです。

シズ:このキセルはな 大野屋の旦那さんが長いこと ひいきにしてきはった役者さんに贈ろ思て あちこち探し回ってはった珍しいもんだす。そやけど間に合えへんかった。その役者さんはな 廃業して今日 遠い田舎に帰りはった。もうどこにいてはんのかもよう分かれへんのやそうだす。大野屋さんはな その役者さんとの別れに悔い残してしまいはったんや。その悔いはな ほげた達者なあんたでもごまかしきれへんもんだす!分かったらさっさと荷物まとめて わての前から消えはなれ!

(翌朝)

かめ:おはようさん。

千代:おはようさんでございます。お湯 沸かしときました。

かめ:そら ご苦労はん。

千代:かめさん ちょっことの間やったけど お世話になりました。

かめ:何の世話もしてへんけど。

千代:あっ ほな うち行きます。

かめ:ちょちょちょ…行くって まだ口入屋 来てへんのに。

千代:自分の家くらい 一人で帰れます。そない言うといてください。ほな さいなら。ああ ちゃう…ごめんやす。

口入れ屋:出ていった?一人で?

シズ:悪いけど 追いかけて家まで送り届けてくれるか。

口入れ屋:それがなあ ご寮人さん 聞いた話なんやけど…。

(雨音と雷鳴)

(つづく)

●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。

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