【おちょやん】セリフ書き出し第17週81話|昭和19年1月、岡安が暖簾を下ろし、福助に赤紙召集令状

朝ドラ【おちょやん】第17週81話、昭和16年(1941)12月8日の真珠湾攻撃から、その三年後の昭和19年(1944)1月まで時代が流れ、道頓堀の賑わいは影を潜め、劇場閉鎖の噂も飛ぶご時世に。

そして、富岡楽器店では四十路手前の福助にも赤紙召集令状が届き、岡安は60年の歴史に幕を閉じる覚悟を決めたシズ。

今週来週と戦中戦後の暗い展開になりますが、生きていればなんとかなるの精神で見守りたいと思う2021年の3月、年度末です。

【おちょやん】第17週81話セリフ書き出し

昭和16年(1941)
12月8日

ラジオ「日本の今朝3時5分 ホノルルに初の空襲を開始しました」。

昭和16年の暮れに始まったアメリカとの戦争は 初めは大勝利で日本中が沸きました。…がそのあと 戦況は大きく変わり 道頓堀の賑わいは次第に影を潜めていきました。そして…昭和18年。敵性国家アメリカの音楽ジャズはその演奏 販売が全て禁止。メニューや看板の英語も全て排除されました。昭和18年5月21日の大本営発表において 連合艦隊司令長官 山本五十六大将の戦死。同30日 アッツ島守備隊の玉砕が伝えられました。

ラジオ「ついに ことごとく玉砕しました」。

右向け右!

それでも多くの人は「撃ちてし止まん」何があろうと 勝利の日まで頑張ろうという気持ちで戦争に向き合うていたんです。

昭和19年(1944)
1月

●えびす座

今 評判の鶴亀家庭劇 どないですか。

寛治:今日の入りも相変わらずです。

徳利:千秋楽でもあかんわ。子供の遊び場やで あれ。

千代:たとえ1人でも10人でも お子さんでもお客さんはお客さんだす。皆さん 存分に楽しませたげましょ。

おう!

●鶴亀家庭劇・稽古場

徳利:結局 全部合わしても いつもの半分も入れへんかったやないか。ほんまにあのおっさん 何もやってくれへんやないか ほんま。ちょっとぐらい 宣伝してくれてもええのに。怖い顔!

千代:ごひいきさんから頂いたんだす。

徳利:おおきに! 助かるわ~。

天晴:まあ 何か手ぇ打たなあかんけど こないなご時世や。みんな 芝居見る気ぃになんか なれへんのやろ。

千之助:ご時世のせいだけやあれへんわい。芝居がおもろないからのう。

香里:ほんま ず~っと愛国もんばっかしやもんなあ。

百久利:お国ために戦うてくれてはる兵隊さんや銃後の人らを 芝居で励ますのが俺らの使命やろが。

香里:お客さん来えへんのに 励ますもクソもあったもんやないやろ。近いねん!

百久利:何やと!

千代:はいはい そこまで。次はもっと面白い芝居にしたら よろしねん。

ルリ子:次があればね。若手の役者がみんな出征してしまって 続けられなくなった一座もあるそうよ。

小山田:猫じゃ猫じゃと おっしゃいますが…。さあ 入りまひょか。

千之助:何やそれ。晩飯かい。

小山田:これはな カイロの代わりなのじゃ。

千之助:キイ~ッ!

小山田:コラコラ。

百久利:ハハハ!

千代:うちは安泰だすな。

天晴:ほんまやなあ。

寛治:僕も目ぇ悪いさかい なかなか召集されへん。

百久利:情けないやっちゃな。気合いが足りんのや 気合いが。

千代:百久利さんかて 前に召集された時 戦地行く前に体壊してしもて あっちゅう間に戻ってきはりまへんだした?

寛治:あら…。

百久利:あれはたまたまま間が悪うてやな。

千之助:お前は あほみたいに酒飲むからじゃ。

百久利:アハハ…(小声で)そら あんたのせいや。

千代:まあ みんな似たり寄ったり あほな生き方してますさかいな。うちらにでけんのは ちょっとでもええお芝居作って 世の中を元気にすることだす。それが何よりお国のためにもなる。そうだすな 座長。

一平:まあな…。

徳利:ほな やろうで。

千代:何だすね さっきの気のない返事は。もっとビシッと締めてもらわな あきまへん。 
一平:今から俺が何聞いても「ええで」言うてくれな。

千代:はっ?

一平:こないな土岐やのに 芝居やっててええねやろか。

千代:何で そないなこと…。

寛治:ええで。ええんですて。

一平:せやな。ええねやんな。

千代:うん。

一平:うん。よっしゃ。

●えびす座

熊田:はあ? 劇場閉鎖て 誰がそないなこと…。

万太郎:東京の役者ですわ。そないな噂があるて。ほんまでっか?

鶴蔵:ただの噂や。そないなことにならんためにも いい芝居作ってやな お国の役に立つような…。

万太郎:今日も若いのが一人 出征してきよる。ええ役者になるはずやったのに…。やってられまへんわ。

鶴蔵:それでも やってもらわな困る。

●岡安・帳場

宗助:ようけあんなあ。

シズ:お母ちゃんの代からやさかい 60年分だす。

みつえ:ただいま。

宗助:お帰り。どないしたんや そない怖い顔して。

みつえ:うちの人 来てへん?

宗助:来てへんで。

みつえ:あの あかんたれ。

シズ:何や またケンカかいな。

●天海家

福助:はい これお土産な。

寛治:お~!栗ようかんや。

一平:よう こないなもん 手に入ったな。

福助:ちょっと値ぇは張ったけどな。うち おかげさんで軍歌のレコードでもうかってるさかい。遠慮せんと食べて。

寛治:ほな お言葉に甘えて…。

千代:ちょっと待ち。何たくらんでますのや。言うてみ。

福助:た…たくらむて何や。

千代:あんたが突然 こないなことすんのはけったいや。何か下心あんのと違いますのか?
福助:なんちゅう悲しいこと言うてくれんねんな。もうええわ。

千代:誰もいらんとは言うてまへんで。何か相談事でもあんのと違うかて 聞いてるだけだす。

一平:どうせまた みつえとケンカでもしたんやろ。

福助:ちゃうわ。…って 食べてるやんか! お前も!

千代:ほな 何やの。はっきり言い。

●岡安・帳場

みつえ:あんな…。

シズ:堪忍やで。これ 今日中に終わらしてしまいとうてな。

みつえ:富士子さんたち どないしたん?

シズ:みんな 用があって 出払うてますのや。

みつえ:そやの 珍しいこと。

宗助:それにしても福助君 どこ行ったんやろな。

みつえ:あんな お父ちゃん お母ちゃん…。

●天海家

寛治:よっしゃ!

千代:なかなかやるやんか。

寛治:久々に面白いやろ こないなんも。

一平:俺 これ終わったら抜けんで。台本書かなあかんし。

千代:うちもやらなあかんこと ようけあるさかい。あんた 暇やねやったら帰って一福とでも遊びいな。

福助:あ~あかんわ。あいつ 結局 トランペットいっこも吹いてくれへん。まあ どっちにしてももうジャズは教えられへんしな。

寛治:軍歌吹いたらええのとちゃうますか?あっ。

福助:あれな 好きやないねん。なあ 覚える? 子供の頃 俺 よう みつえにトランペット放り投げられとったやろ。

千代:あれは あんたが悪いねんで。岡安 のうなるとか言うさかい。

福助:その みつえと一緒になるやなんて…あの時は思いもせえへんかったわ。アハハハハ…また失敗してしもた。

寛治:鈍臭いなあ 福助さん。

福助:こんなんやったら 戦場行っても すぐやられてしまうな。

千代:あんた もうおっさんやんか。召集なんかされへんて。

福助:来てん 赤紙。

●岡安・帳場

みつえ:あの人 前にいてた楽団で兵隊さんの慰問に行く時も自分は軍歌なんか吹きたない言うて抜けたりしてたさかい…。 目ぇつれられたんやと思う。今日は ちゃんと2人で一福に話しよ言うてたのに 怖なって逃げ出したんやわ。情けない。あないな人 召集しても何の役に立てへんのに。

●天海家

福助:ほんで お前ら 栗ようかん食べたな。フフ…食べたわな。フフ…ほな 僕の言うことも聞いてもらうで。

福助:みつえと一福のこと よろしゅう頼んます。僕のいてへん間 どうか2人のこと…。

●福富楽器店前

みつえ:ただいま。

菊:お帰り。何や あんたも一緒かいな。福助 帰ってますで。

みつえ:そうだすか。あのあほ。

♪~(レコード)

菊:えらい涼しなったわな。

シズ:そうだすな。

菊:今月も軍歌のレコード よう売れてな。

シズ:そら よろしな。

菊:うちがやっていけてんのは戦争のおかげだす。せやさかい 文句言われしまへん。あんたも わてのこと心配して来てくれたんやったら余計な気遣いはいらんこっちゃ。帰り。

シズ:そないなことやあれしまへん。姐さんにだけは一応お知らせしとかな思て。岡安 閉めることにしましたんや。

菊:ほうか。

(つづく)

●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。
●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。

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