朝ドラ【おちょやん】第2週8話、仕事の合間に鶴亀座で上演されていた劇「人形の家」を初めて見た千代。
舞台に立つ女優の高城百合子のセリフと、日本一のぺっぴんさんと言われるその容貌に見とれ…。
もっと見たいと駄々をこねる千代に、鶴亀座の熊田が「人形の家」の台本を千代にプレゼント。
そんなある日、初代天海天海が33歳の若さでこの世を去り、その葬儀で忙しい岡安を訪ねてきたのは、あの河内の村の小林辰夫。
家族の安否を尋ねる千代に対して、辰夫が意外な言葉を発して明日に続くです。
「千代ちゃん ほんまに何も知らんのけ? テルヲらな 夜逃げしくさったんや」。
【おちょやん】第2週8話セリフ書き出し
●岡安・玄関先
千代:おはようざんでございます。
近所の人たち:おはようさん。おはようさん。おはようさん。
●えびず座
喜劇天海天海一座がやって来て道頓堀えびす座は賑わいの花を咲かしておりました。
一平:このような みずぼらしいおばあ様は嫌でございます。
千之助:こっちも嫌じゃ!
(笑い声)
要二郎:友之進様 時が参ったようでございます。
天海:菊松…達者でな。
千之助:市松…市松…市松!
天海:やっぱり嫌や!
(笑い声)
天海:わし もっと生きてたいんや!
一平:父上~! はよう成仏してください。
(拍手と笑い声)
一平:なんまいだ なんまいだ なんまいだ なんまいだ なんまいだ なんまいだ…。
●岡安
天海:何や お前 もっとしゃきっとせんかい。すんまへん 誰かいてはりませんか?
<<シズ:へえ。
シズ:どないしはりました?
天海:女将 すまんけど 一平に布団ひいたってくれへんか。
シズ:具合 悪おますのか。
一平:寒気する…晩は無理や。
天海:ほんま情けないやっちゃのう。親が亡うなっても舞台に穴はあけへん。それが役者っちゅうもんじゃ。だあっ!
●岡安・二階の客間
父 天海と一平は道頓堀で芝居を打つ時はここ岡安で寝泊まりすることが常となっておりました。
ハナ:ここに置いときますさかい。
一平:おおきに。
(せきこみ)
ハナ:ボンやん。何だすね あの芝居は。
一平:みんな笑てたやないか。
ハナ:あれは笑わしてたんと違います。笑われてましたんや。今の方がよっぽどええお芝居してはる。フフ…。
<<千代:ごめんやす。
ハナ:ほどほどにな。
♪
一平:あ~!喉カラカラやったわ。
千代:元気そやな。
一平:当たり前や 仮病やし。
千代:仮病!?
一平:しっ!
千代:何で仮病なんか。
一平:俺は好きであいつの子に生まれたんやない。せやのに 2代目な何やと勝手に決められて けったいなカツラかぶらされたり 顔白う塗られたりして人前に出されんねんで。しかもな おやじは芝居の時以外はず~っとお酒飲んで あとは女女女!もうほんま しょうも…。
千代:しょうもないな!
一平:なれなれしいな 自分。
千代:年 なんぼ?
一平:9つ。
千代:おんなじや。あれ 学校は?
一平:行ってへんわ そんなもん。
千代:それもおんなじや。うちら もう親友やな。
一平:勝手に決めんな。俺はこう見えても天海天海の息子やで。
千代:そら おかしいわ。お父ちゃんのこと嫌いやのに お父ちゃんの子供やて自慢すんのけ?
一平:そらそやけど…。
<<みつえ:一平!
みつえ:頼まれた本 買うてきたんで。
(せきこみ)
一平:おおきに。
(せきこみ)
みつえ;あとは うちがやるさかい ええで。フフフフ。
千代:そね おもろいんけ?
一平:読むか?
千代:読めん。
みつえ:あんた 字ぃ読まれへんの?
千代:別に字ぃなんか読めんかて 今までいっぺんも困ったことあれぃんし。
みつえ:あっ そう…。
(笑い声)
●鶴亀座
千代:何やねん あいつら…。字ぃ読めることが そね偉いんか。すんません…ちゃう ごめんやす。鶴亀座いうんは…。あ…すんません ごめんやす。
♪
千代:お玉さん おまんじゅうです。
玉:ご苦労はん。
千代:ほな うちはこれで。
玉:千代ちゃん。千代ちゃん。芝居小屋入んの初めてやろ。ちょっとだけお芝居 のぞいてみる?
♪
百合子:私には神聖な義務がほかにあります。
夫役:そんなものがあるものか。どんな義務というのだ。
百合子:私自身に対する義務ですよ。
夫役:何よりか 第一にお前は妻であり母である。
百合子:そんなことはもう信じません。何より第一に私は人間です。ちょうど あなたと同じ人間です。少なくとも これからそうなろうとしてるところです。無論 世間の人は大抵 あなたに同意するでしょう。書物の中にもそう書いてあるでしょう。
大宮の旦さん:今 日本で一番勢いのある女優さん 高城百合子や。べっぴんさんやろ。
百合子:満足してはいられません。自分で何でも考えて 明らかにしておかなくちゃなりません。
千代:女優…。
♪
千代:あと一目でええさけ。
玉:あかんて。もう行かな ご寮人さん怒られるで。
千代:もっぺん!
玉:あかん!あかん!
熊田:何騒いでる。
玉:すんまへん 熊田さん。この子 お芝居初めてで…。もう帰りますんで。千代ちゃん 行こ。
熊田:そない この芝居 気に入ったんか?
千代:何や分かれへんのやけど…。もっと見てたい。
熊田:この芝居の台本や。この辺りの芝居を取り仕切ってる鶴亀の熊田いうもんや。しっかり働いて…あとはお客さんとしておいで。
千代:へえ!
玉:おおきに!
千代:あ~!ああ~っ!
玉:今度は何やの?
●岡安・二階の客間
一平:絶対嫌や。何でわざわざ そないな台本 読まなあかんねん。
千代:ほうけ…。ほな しゃあない。仮病使てまで芝居したないんやさけな!
一平:あ~分かった分かった!
●岡安・住み込み部屋
一平:できたで。ほら あいうえお の言い方くらい知ってるやろ。これと併せたら読み方分かるわ。あいうえおの「あ」や。
千代:「さ」…。
一平:俺には分からんなあ。芝居のどこがええねん。
千代:何や分かれぃんけど キラキラしてきれいで ひょっとしたら本物のかぐや姫ちゃうかて思たんや。
♪
千代:お母ちゃん…。おおきに。よっしゃ。
●道頓堀・街中
さてさて そんなある日 千代ちゃんは一平君のお父さん 天海さんのお迎えをするよう言われました。
天海:ああ…うっ…ハハ…。
千代:天海さん ちょっこと飲み過ぎと違いますか。
天海:あほぬかせ 酔うてへんわい。芝居ハネたら みんなこないなんねん。おちょやん あんたもよう覚えとき。
千代:酒臭っ!
<千代の心の声:何やねん このおっちゃん お父ちゃんみたいやな>
天海:ああ そや 満員御礼のご祝儀や。おちょやんにもやろ。
千代:うちに?ええの?
天海:一平のこと 親友や言うてくれたそやな。そのお礼や。あいつは わしのせいでお母ちゃんも友達もおれへん。さみしい思いしてんのや この先も頼むで。いらんのやったら ええねん。
千代:いるっ! すんません。おおきに!
天海:あ~何や もう眠たいわ。ハハハハハ。
千代:天海さん? 天海さん? 天海さん? おっちゃん? どねしてんな!
大正5年暮れ 一平の父 初代天海天海は33歳の若さでこの世を去りました。
●岡安・台所
かめ:千代! おちょやん!
<<千代:へえ!
かめ:お座敷の掃除 済んだんか?じきにみんな戻ってくんで。
千代:終わってます。
かめ:ほんなら さっさとお膳並べ。
千代:終わってます。
かめ:ほんなら お清めのお塩を…。
千代:用意してあります。
かめ:ほんなら…。
千代:お座布 並べますね。
かめ:そやな 頼むわ。
千代:へえ!
かめ:雷でも落ちんのとちゃうか。
天海さんのお葬式で岡安が慌ただしい頃 ある人が千代ちゃんを訪ねてきました。
千代:小林のおっちゃん。
辰夫:お~千代ちゃん。
千代ちゃんのふるさと 河内の小林さんです。
千代:うち あんまり時間あれへんねん。今日はどねしたん?
辰夫:いやな 村でこさえた竹籠 問屋に卸しに来たさけ ちょっこと顔見てこ思て。
千代:うれしい。おおきに。
辰夫:いや~千代ちゃん 元気そうでよかったわ。えらい落ち込んでる思てたさけ。
千代:もう毎日忙しゅうて しょげてる間なんかあれぃん。
辰夫:ほうか。
千代:せやけど ヨシヲがあの家であんじょう暮らせんのやったら うち しんどうでもええ。あの女も自分の子が生まれたら ちょっことはお母ちゃんらしなるやろ。みんな元気け?
辰夫:千代ちゃん ほんまに何も知らんのけ? テルヲらな 夜逃げしくさったんや。
(つづく)
●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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