朝ドラ【おちょやん】第14週69話、万太郎一座との対決を前に逃げ出す千之助。しかしその途中で万太郎と出くわし、とっさに身を隠す千之助。それが妙に腹立たしく感じた千之助は一平の家に行き…。
頼む 力貸してくれ。万太郎に勝ちたいんや。ほんまのところは…怖いんや。負けてな 見下されんのが怖いんや。わしが万太郎に勝ちたいんは万太郎が憎いからやあらへん。あの人に…万太郎にいさんに認めてもらいたいからや。もうあの人の前でこそこそ隠れるようなまね したない。わしは須賀廼家万太郎っちゅう役者が大好きやったんや。頼む。どうか力貸したってくれ。頼む!
こうして一平と千之助、2人の初めての共同作品「丘の一本杉」が出来上がり、明日開演です。
【おちょやん】第14週69話セリフ書き出し
●千之助の定宿
千代:あ~!千之助さん 千之助さん 千之助さん!
千之助:痛いな! 何じゃ!
千代:何で うちら 万太郎一座に勝たれへんのだす?
千之助:どないしたんや いきなり。
千代:万太郎さんに言われましたんや。お前らには絶対に勝たれへん。
千之助:何やと。
千代:昔のこともみんな聞きました。信じてたもんに裏切られた時のつらさは うちかて分かってるつもりだす。教えとくなはれ。何でうちらは万太郎一座に勝たれへんのだす?
(OP)
千代:いや ちゃうな。どないしたら 万太郎一座に勝てるようになります? うち 絶対に負けたない!万太郎一座に勝つ方法 教えとくなはれ。何だす その荷物。逃げ出しはりますのか?
千之助:これが勝たれへん理由じゃ。自分でもな 分かってんねや。万太郎が絡むと冷静ではいてられへんようなってまう…。わしでは勝たれへん。
千代:せやさかい 逃げ出しはりますのか!
千之助:負けると分かってて勝負するあほ どこにおんねん!
千代:待っとくなはれ!
千之助:離せ コラ!
千代:千之助さん…千之助さん! 何で役者辞めはれへんかたんだす? 万太郎さんに裏切られて何もかんも嫌になりはりましたんやろ?せやのに 何で役者続けてはんのだす?
千之助:ああっ!
千代:うち よう分かれしまへんねん。前はヨシヲ見つけて一緒に生きていくためやて思てたけど もうそれもかなえへん夢だす。一平と結婚してもしかしたら役者なんて辞めた方が楽やて思う時もあるけど 辞められへん。千之助さんに女優なんかいらんて何べんバカにされても辞められへんのだす。何でやろ…何でや思います?
千之助:知るか ボケ! 何でお前に人生相談されなあかんねん。自分のことは自分が一番よう分かっとるやろ。
千代:ああ~っ!
●道頓堀・街中
火の用心しとくなはれ。
(柝の音)
●天海家・二階の書斎
一平:何で止めへんかったんや。
千代:せやけど あの人にもいろいろ事情があったんやし…。
一平:事情ぐらい 誰にでもあるわ。
千代:そらそやけど…。千之助抜きで万太郎に勝てんねやろか…。
一平:やるしかあれへんやろ。
●鶴亀株式会社・社長室
鶴蔵:で どないや 家庭劇の調子は。
熊田:みんな気負ってしもて あんまりうまいこといってないみたいです。
鶴蔵:ふ~ん ほうか。ハハハハハ。
熊田:はなから家庭劇が万太郎一座に勝つことなんぞありえへんて そない思てはるんですか?
鶴蔵:当たり前やろが。家庭劇にはな ある程度 競り合うて 盛り上げてもろたらそれで十分や。喜劇王 須賀廼家万太郎の名に傷つけることがあったら あかんこっちゃさかいなあ。いや それにな たまにはこないなことでもないと万太郎の切れ味が鈍るっちゅうもんや。ハハハハ。
熊田:家庭劇は当て馬ということですか?
●道頓堀・街中
<<(笑い声)
芸子:今日は何食べに行きはります?
万太郎:そやなあ…卵焼き。
芸子:嫌やわ。もっとおいしいもんがよろしおますのに。
万太郎:そういえなば 昔 頭で卵割ったやつがおってなあ。
芸子:頭で? けったいなお人やこと。
(笑い声)
回想・千代:千之助さん!何で役者辞めはれへんかったんだす?
●天海家
千代:粗茶だすけど。
一平:出ていきはったんとちゃいますの?
千之助:おう そない思てんけどな 途中で万太郎のやつに生き会うて わし とっさに隠れてしもたんや。 それが何や 妙に腹立たしゅうてな。
一平:何を言いはりたいんですか?
千之助:そや…あれ何や。頼む 力貸してくれ。万太郎に勝ちたいんや。ほんまのところは…怖いんや。負けてな 見下されんのが怖いんや。わしが万太郎に勝ちたいんは万太郎が憎いからやあらへん。あの人に…万太郎にいさんに認めてもらいたいからや。もうあの人の前でこそこそ隠れるようなまね したない。わしは須賀廼家万太郎っちゅう役者が大好きやったんや。頼む。どうか力貸したってくれ。頼む!
一平:当たり前やないですか。俺らはおんなじ家庭劇や。俺が力を貸すんやない。2人して力合わせますのや。
千之助:おおきに! すまん…。おおきに。
一平:まずは台本作りからや。
千之助:ああ。
一平:どないな話にするか…どりあえず書斎行きましょうか。
千之助:ああ せやな。
●天海家・二階の書斎
千之助:これも使われへんな。
一平:ちゃんと読みました?
千之助:読んだよ。
一平:これはいけんのとちゃいます?
千之助:あほかい。向こうは万太郎十八番やぞ。こんなもん弱いわい。
一平:何や さっきは力貸してくれて 泣きついたくせに。
千之助:それとこれとは別やろ。誰に言うてんねんな。
一平:さっき下で泣いとった あんたや。
千之助:お前 それ言うか。
一平:ああ 言うわ。さっきのまんま そのまんま 台本にしたるわ。
千之助:最低やな。
一平:なあ 千代 さっきの一言一句 間違えんで書けるわ。
千之助:なんとかせえ お前の旦那。
千代:お握り。
♪
一平:どないです?
千之助:全くじゃ。
一平:こないな時 いつも思うんです。おやじやったら どないしてたやろうて。
千之助:あ~あいつが生きとったらか…。まあ 間違いのう この道頓堀でよ 万太郎一座と人気を二分するおっきな劇団になってたやろな。ちゃうがな お前。別にお前があかん言うてんのやあれへんがな。怒んな 邪魔くさい。
一平:そやのうて…それや。
千之助:何言うてんのや。
一平:おやじのこと書いてみたら どないやろ。
千之助:親子でありながら師弟関係でもある父と息子っちゅうことか。悪ないな。悪ない これ。おやじは頑固者や「じゃかましいわ コラ」言うて。
一平:子は「勝手にやらしてくれ」。
千之助:おう お前と一緒やな。ほんで もめとるわけや。「出ていけ コラ」言うて…。
こうして一平君と千之助さんは 昼夜を忘れて書斎に籠もり台本作りに取り組みました。そしてついに…。一平君と千之助さん 2人の初めての共同作品がこの世に生まれました。
●鶴亀株式会社・稽古場
天晴:こら いけるで ボン。
徳利:万太郎十八番やろうが 十九番やろうが これやったら絶対勝てんで! なあ。
天晴:これ いけるって。
百久利:ほんまに千さんと座長が2人で書きはったんですか?
一平:そうや。
百久利:俺 何や うれしい。
小山田:こういう終わり方は初めてちゃうか?
天晴:親子のな…。
千代:連れてきましたで。
千之助:おう…。久しぶりやな。ああ…。これな どないしても女優の芝居が必要な台本が出来たんや。せやから まあ 2人 出したるわい。出したるわいっちゅうか もう…出てくれへんかな思て…。このとおりや。
ルリ子:冗談じゃないわ。…って思ったけど 千代に台本見せてもらった。
香里:もう こないな台本見せられたらやりたなってまうやろ。
ルリ子:しょうがないわね。今回だけは許してあげる。
千之助:おおきに、おおきに。
一平:よっしゃ ほな 決まりや!
百久利:おう!
千之助:せやな。
<だんない。千之助さんの後ろには うちらがいてる>
(つづく)
●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。
●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
NHK連続テレビ小説・第103作【おちょやん】のネタバレあらすじと各回の全セリフ、そしてキャスト紹介を最終回まで書き続けています。朝ドラ【おちょやん】は女優・浪花千栄子さんをモデルに、その生涯を再構成してフィクションとして作られたド[…]