朝ドラ【おちょやん】第14週67話、熊田の「次の公演で客の数が多かった方の芝居をチャップリンに見てもらう。万太郎一座との一騎打ちや」で始まった次の公演での客数対決。
万太郎に対しては目の色が変わる千之助は、自分の書いた台本を皆に見せるが、めちゃくちゃすぎて全く面白くないと千代の感想。
そして、一平はじめ劇団員全員が千之助の台本に背を向け、小山田は万太郎一座にスパイに入り、明日に続くです。
【おちょやん】第14週67話セリフ書き出し
鶴蔵:世界の喜劇王と日本の喜劇王 顔を合わせたら さぞや面白いこっちゃろうな。
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熊田:次の公演で客の数が多かった方の芝居をチャップリンに見てもらう。万太郎一座との一騎打ちや。
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千之助:あいつの首取んのは このわしじゃ。お前ら 足引っ張るんやないで。
●鶴亀株式会社・稽古場
香里:そない粋がらんでも うちらかてええ線いってたんやし 今までどおりにやっても勝てんのちゃう?
千之助:3年やっても まともな芝居できんやつが 知ったふうな口たたくな。
千代:まあまあ 今 言い争ってる場合と違いますやろ。
香里:聞き捨てなれへんわ。うちを見に来るお客さん どんだけいてる思てくれてんの。出待ちかて ぎょうさんいてるし プロマイド売って えらいこの劇団にも貢献してやってるやないの。
千代:そうだすなあ 香里はすごい。ほんま助かってますて。
千之助:めでたいやったな。
香里:はあ?
千之助:みんな お前の見た目に金払とるだけじゃ。お前の芝居見に来てるお客さんなんぞ だ~れもいてるかい。ちょっと老けた途端 すぐに飽きられてお払い箱じゃ。
千代:千さん そら なんぼなんでも…。
千之助:これやから 女優っちゅうやつは好かんのじゃ。
ルリ子:どういうことかしら?
千之助:お前も勘違いするんやないで。お前らが ちやほやされてんのはな 珍しだけじゃ。まあ確かに うちのお客さんが増えたんは お前らが見せ物になってくれたおかげやけどな。おおきに。せやけど万太郎んとこには 女の役者なんぞ一人もおらん。それでも不動の人気や。本物の芝居を見せてるっていうことじゃ。ほたら うつも本物の芝居せな勝てるかい。ちゃらちゃらしたお前らの出る幕やないわ。小屋の前で客引きでもしとってくれ。
ルリ子:何ですって…。
一平:女優使うんは 俺が決めた家庭劇のやり方や。それを変えるつもりはあれへん。
千之助:万太郎に勝ちたないんかい。あいつのことを誰よりもよう知ってるのは このわしじゃ。わしの言うとおりにしとったらええんじゃ。
小山田:ついていくで。チャップリン殿に会うためや。
千之助:よっしゃ。ほな わしが台本書き上げるまで お前は向こうの出方 探っといてくれ。
小山田:しかと承知した。ヘヘヘヘ。チャップリン殿 待っててやと。ハハハハハ。
百久利:俺も行きます。
♪
千代:どないすんねんな?
一平:今回ばっかりは 千さんの勝手 許すことはでけへん。台本かて 俺の書いたもんで勝負したい。
徳利:何や 自信あるみたいやな。
一平:走り書きはあるさかい 今からうち来て読んで 意見聞かしてください。
徳利:お~そら ええがな。そうしよ。
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千代:香里 ルリ子さんも待っとくれやす。
ルリ子:女は邪魔のようだから しばらく休ませてもらうわ。
香里:うちも考えさしてもらうわ。
千代:千之助さん ずっと前から 須賀廼家万太郎のこと 恨んではるみたいで。何や よう分からへんけど 昔 いろいろあったみたいでな せやさかい つい熱うなって あないなこと言いはったんやと思います。許したげて。
ルリ子:よくそんなこと言えるわね。あなたも女優でしょ。あなたも見下されたよ。
香里:自分だけは特別や思てんねやろ。
千代:何が?
香里:座長の妻 あの2代目 天海の奥さんやもんなあ。ええなあ。うちらがお払い箱になっても あんたは安泰や。うまいこと取り入ったなあ。羨ましいわ。
千代:いつ うちが取り入ったて?
香里:あんた ほんまに座長のこと好きなんか? そないなふうには見えへんけど。
ルリ子:おやめなさい。嫉妬はみっともなくてよ。
香里:嫉妬? 何で うちが嫉妬なんか…。
ルリ子:悔しいけど 千之助さんが言ったこと 半分は正しいわ。 あなたは外見ばかり気にして 中身がちっとも伴わない。そんなだから女優の地位が下がるのよ。
千代:ルリ子さん。
香里:それこそ うちに嫉妬してんのとちゃうか? 見た目やろと何やろと 人気が出てお客さん呼べたらそれでええやないの。
千代:香里!
ルリ子:ほっておきなさい。
千代:せやけど…。
ルリ子:あなたも女優としての誇りがあるなら 劇団の男どもに こびを売るような態度がやめたら?
千代:こび?
●天海家
徳利:千代ちゃん。
千代:はい。
徳利:ビール もう一本ええか?
千代:ただいま。
<これか…>
千代:自分でついで。ほんで これからは自分で取りに行くこと。
徳利:どないしてんな。
千代:うちは あんさんらにこびなんか売ってまへん。
天晴:当たり前やんか。誰もそないなこと思てへんで。
漆原:いつも押しかえて 千代ちゃんには悪いなあ思てんねんで。堪忍な。
千代:そないなこと言われたら…。もう やっぱりうちがつがしてもらいます。
根っからの世話好き 損な性格やなあ 千代ちゃん。
千代:ほんで どないだすのや?
天晴:う~ん どれも悪ないねんけどな…。
漆原:せやな 悪ない。悪ないんやけど…。
徳利:相手は あの万太郎やさかいなあ。
一平:物足りんっちゅうことですか。
天晴:まあ とにかく 千さんの台本も読んで それからまた相談しよ。
一平:相談できたらいいんやけどな。
千代:何で千之助さは 万太郎のこと あないになりはんねやろ。昔 2人は一緒にやってはったんだすわな?
天晴:そうや 須賀廼家兄弟としてな。
千代:須賀廼家兄弟?
天晴:うん。
売れへん歌舞伎役者としてくすぶってた万太郎と千之助が一座を組んで 初めて喜劇いうもんを作ったといわれています。悪戦苦闘の末 須賀廼家兄弟として えらい人気が出て 当時の演劇界を席けんしたっちゅうんは伝説となっておりました。
千代:そないに苦楽を共にした2人が 何でたもとを分かちはったんだす?
天晴:そら 聞くも涙 語るも涙やで。千さんな 田舎におる弟と妹のために 爪に火ぃともすようにして ためたお金を万太郎に全部とられてしもたんや。一緒に芝居やろ言うてだまされてな。
徳利:あら? 俺の聞いた話とちゃうな。万太郎に許婚寝取られてもたて。ちゃいますの?
漆原:そうやないて。役者やったお父さんの一座を 万太郎に乗っ取られて お父さん首くくって死んでしまいはったんや。
徳利:ええ?
漆原:千さんは 復讐のために役者になった。いっぺんは万太郎一座に入り込んだやけど すぐにバレてしもて 追い出された。万太郎はお父さんの敵や。
一平:千さんのお父さん まだ生きてはるて言うてましたよ。
漆原:えっ? そうなの?
徳利:田舎に弟とか妹がいるいう話も聞いたことあてへんけどな。
漆原:それ言うたら 許婚なんかおらんやろ。
千代:要するに 誰も知らんいうことだすな。
天晴:役者としての力は2人とも互角。
徳利:せやけどな 万太郎のすごいとこは それだけやないで。劇団のために必要ないと判断したら 容赦のう役者を切り捨てる。そないして万太郎一座をあこまで大きしてきたんや。
千代:万太郎はあの千之助さんを 必要あれへんて切ったということだすか。
●居酒屋「水月」
女将:おいでやす。
千之助:毎度。
女将:どうぞ。
千之助:邪魔くさいのう。店変えるで。
百久利:はい。
万太郎:ツレないのう。一杯ぐらい一緒にどや。前祝いや。うちが お前らを負かす時のな。
千之助:何じゃと コラ!
百久利:あきませんて 千さん 落ち着いて! 落ち着いて!
千之助:勝つんは わしらじゃ。あの時の恨み 利子つけて返したるわ!
万太郎:そら 楽しみやな。けど もう20年かそこら前の話や。利子も高なってんで。はよ返してもらわな わて 死んでまうがな。アハハハハハハ ハハハハハハハハ! ハハハハハハハ!
●鶴亀株式会社・稽古場
その3日後 千之助さんが早速 台本を書き上げてきました。
天晴:千さん これ…。
千之助:おう 傑作やろ。
<いっこも面白ない。むちゃくちゃすぎて 何の話か よう分かれへん>
百久利:あ…この真っ白なとこは…。
千之助:そこは お客さんの反応見て 毎回 その場で話膨らませるんや。それくらいのことせな 万太郎には対抗でけん。
百久利:せやけど 何もないっちゅうんは…。
千之助:でけへんのやったら出んな。
千代:女の役は どないしますのや。香里もルリ子さんも 来えへんかも分かれへんのに。
千之助:漆原じゃ。おいお前 女形に戻れ。
漆原:はあ?
一平:千さん そら あんまりや!
千之助:女優なんぞ使えへん言うたやろ。あいつど同じ土俵で勝負せな 意味あれへんのじゃ。
一平:これは家庭劇でやるような芝居やあれへん。こないな台本 絶対に認められません。
千之助:ほたら お前の書いたもんで勝てんのか? お前の台本で万太郎一座よりも お客さん呼べのかってそう聞いとんじゃあ!
一平:あんたの台本よりマシや。こないな台本では 万太郎一座に勝つどころか 家庭劇の評判 地に落とすだけや。そないなことも分かれへんようになってる千さんとは一緒にはできません!
千之助:よし じゃあ ほな お前も辞め! わしが2役でも3役でもやったるわ。まあ そっちの方がおもろいかも分かれへんしな。
天晴:こんなもん むちゃくちゃですわ! 千さん ちょっと冷静になりましょうや。
千之助:分かった分かった。文句あんねやったらお前らも辞めてまえ!
徳利:そら あんまりやで。千さん…なんぼ 千さんでも 聞き捨てなりまへんな。
千之助:役のないもんは さっさと出てってくれ。
百久利:天晴にいさん。
(戸が開く音)
百久利:徳利…。
●万太郎一座・稽古場
小山田:そういうつもりではないというのじゃ。
一二九:ええから はよ入れ お前。座れ!
小山田:ちょっと何をするのじゃ。手荒なことするな。落ち着こう。
●岡安・玄関先
千代:あ…。
かめ:千代。どないしたんや?
節子:ああ 千代。ちょうど今な あんたらの稽古場 行ってたんやけどな 誰もしてへんし どないしよ思たわ。
千代:何かあったんだすか?
節子:ほら あんたんとこの…。
●万太郎一座・稽古場
小山田:この小山田 覚悟はできておる。煮るなり焼くなり 好きにせい!
一二九:何かっこつけとんねん おっさん。
千代:すんまへん。ごめんやす。小山田さん どないしはったんだす!
小山田:千代殿 わしはここで華々しく散ったとみんなに伝えてくれ。悔やまれるのは せめて一目 チャップリン殿に会いたかった!
千代:何があったんだす?
一二九:何や お前。
千代:鶴亀家庭劇の竹井千代だす。
一二九:お前が2代目 天海の嫁か。いや このおっさんがな 俺らが次やろうとしてる演目の台本 盗もとしたんやで。
千代:えっ…。
小山田:盗んでなどおらぬ!見ただけや。
一二九:おんなじことやないかい! おっさん ネタ盗もとしたんやろが!
(回想)
小山田:ついていくで。チャップリン殿に会うためや。
千之助:ほな わしが台本書き上げるまで お前は向こうの出方 探っといてくれ。
(回想閉じ)
千代:千さんの言葉 うのみにしはったんだすな。
一二九:千之助やと?
千代:あっ あっ いやいやいやいや…。
一二九:こんな姑息なまねしてやで どない落とし前つけてくれんねんな 家庭劇はん。
千代:いやいやいや…この人 もう年やし ものすご物覚え悪おますのや。セリフもまるで覚えられへん。
小山田:わしを年寄り扱いするな!何やったら「平家物語」を最初からそらんじてみせよう。
千代:えっ?
小山田:祇園精舎の…。
千代:ちょちょちょちょちょちょ…小山田さん!
万太郎:えらい賑やかやなあ。
(つづく)
●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。
●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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