【おちょやん】セリフ書き出し第14週66話|昭和7年(1932)2代目天海天海の襲名興行から3年の年月が流れました

朝ドラ【おちょやん】第14週66話、2代目天海天海の襲名興行から3年の年月が流れて昭和7年(1932)。

岡安のお家さん・ハナさんは千代と一平の祝言を見届けてすぐに道頓堀一筋70年の生涯に幕を閉じていた。

そして世界の喜劇王チャールズ・チャップリンが道頓堀に来るとのことで、鶴亀の大山社長が考えた世界の喜劇王と日本一の喜劇王の顔合わせ。

まずは、日本一の喜劇王を決めるために、鶴亀家庭劇と須賀廼家万太郎一座との客の入りで競う一騎打ちを命じられた一平たちだったが、千之助の目の色が変わって明日に続くです。

【おちょやん】第14週66話セリフ書き出し

一平:私事で恐悦至極に存じますが 今日この場をお借りして 私たちの結婚をご報告申し上げます。

え~!

(どよめき)

一平:私たち2人も家庭劇一同も まだまだ未熟なところばかりでございます。共に精進を重ねこれから更なる高みを目指して喜劇道にまい進する所存。

ちゅうことで 2代目天海天海の襲名興行から3年の年月が流れました。

昭和7年(1932)

●天海家

夫婦となった千代ちゃんと一平君は…。

千代:朝やで 起きてや。

一つ屋根の下 仲むつまじい暮らしを送っております。

千代:起きて。

と言いたいんやけど…。

千代:この飲んだくれども! ええかんげんに起き言うてるやろ!はよ起きとくなはれ。この あほんだら! ええかげんに起きさらせ! 何持ってんの ほら。はよ起きて! もう起きて!

(OP)

漆原:やっぱり二日酔いには 千代ちゃんが作る みそ汁に限るわ。

千代:あんさんら ほんまに毎晩毎晩 よう飽きへんこっちゃなあ。何をそない話することがありますのや。

百久利:そら いろいろあるわ。ええ役者になりたいとか。

徳利:家庭劇 有名にするにはどないしたらええかとか。

千代:うちの耳には どこそこの女優さんがきれいやったとかいう話しか聞こえてけえへんけど。

徳利:あれ そないな話したか?

百久利:してへん してへん。小豆田さん ちゃん。

小山田:いかにも わしは小豆田じゃ。

天晴:ちゃう 豆小田さんや。

千代:もうええ もうええ。うちは旅館でも居酒屋でもあれへん。とっとと帰って。行った行った。

天晴:ああ おはようさんだす。

千代:今日は千秋楽やさかい みんな遅れんようにな。徳利さん セリフ トチらんように…。

こんな日が週に3日 いや4日 いや千代ちゃんの日課になっておりました。

●天海家・二階の書斎

<千代:入んで。

千代:一平 あんたもぼちぼち起きたら。

一平:もうちょっと寝かしてくれ。

千代:今日は芝居の前に 岡安寄る言うてたやろ。

一平:せやった。

千代:はよ起きて用意して。朝ごはん出来てるさかい。起きて。はよ起きてや。

●天海家・茶の間

千代:冷めんで。あいつ また寝てるな。

●天海家・二階の書斎

千代:あんた いつまで…。何してんの?

一平:ええ話 思いついたさかい 忘れんうちに書いとかな。

千代:朝ごはん冷めるやん。

一平:先食べといて。

千代:岡安は?

一平:俺の分も お家さんに よろしゅう言うといて。

●岡安・仏間

宗助:お義母さん 月命日に千代が来てくれましたで。

千代ちゃんと一平君の祝言を見届けて すぐ ハナさんは道頓堀一筋70年の生涯に幕を引きました。

宗助:このところ 家庭劇 評判ええやんか。2代目もよう気張ってはんな。

千代:知りません あんなやつ。

宗助:何や また もめてんのかいな?

千代:もめてまへん。やらなあかんこと ぎょうさんあって もめてる間ぁも あれしまへん。

宗助:まあ 喧嘩するほど仲がええいうしな。

千代:せやさかい 喧嘩なんかしてしまへんて。

シズ:離縁し。

宗助:いきなり何やねんな。

シズ:ボンやんは 昔っから 芝居のこと考え出したら ほかのことみんなほったらかしやさかいな。その分 あんたが苦労してますのやろ? こないなんのは目に見えてた。まだ 子もいてへんこっちゃし 離縁するなら今のうちだす。そしたらボンやんも ちょっとは目が覚めますやろ。

宗助:落ち着きて。そないなこと 今更言うたかて…。なあ 千代。

千代:よう分かってはりますわ。そないだすのや。あの人いうたら もう毎晩お酒飲みに行って 飲み足りん言うては家に劇団員呼んで 芝居のこと好きなだけしゃべって 満足したら自分は台本書く言うてさっさと書斎に籠ってしもて あと全部 うちに押しつけますのやで。うちは劇団員の食事の世話から寝間の用意までやって気ぃ付いたら夜中だす!いつセリフ覚えんねんな! なんど言うたら芝居のため芝居のためて あんたがええ台本書けんのは誰のおかげやっちゅうねん!

シズ:フッ…。

(笑い声)

シズ:ちょっとは気ぃ晴れたか?

千代:おおきに。おかげさんに すっきりしました。

宗助:みつえも ようここ来て さんざん泣き言やら文句言うて帰っていきますのや。

シズ:千代 あんたにとってもここは実家みたいなもんだす。我慢せんと いつでも弱音吐きに来たらよろし。ほんで またしっかりボンのこと支えてあげなはれ。それが あんたの選んだ道や。

千代:はい。

宗助:何や そういうことかいな。もう脅かさんといて。ほんまに別れさすつもりか思たわ。ハハハハハハハハ! ハハハハハハハハ!

シズ:男はんにはな 女の苦労なんか分かれしまへんのや。はなから期待したらあかん。

千代:ほんまだすなあ。

●福富楽器店

みつえ:ちょっと待ちって。それやったら まるでうちが ちょこちょこ 泣き言言いに帰ってるみたいやんか。

千代:ちゃうの?

みつえ:お父ちゃんとお母ちゃんが一福の顔見たい言うさかい 連れていったってんねやん。なあ 一福。

この子はみつえちゃんと福助君の子 一福君です。可愛らしいなあ。誰に似たんや?

菊:やあ おいでやす。

千代:こんにちは。

菊:なあなあ この子 だんだん わてに似てきたと思えへん?さっきもな お客さんにうり二つや言われてな。

千代:そうだすなあ。

福松:一福。おじいたんとおばあちゃんとお散歩行こ。フルーツ・パーラー 連れてったるで。

一福:うん。

みつえ:「うん」ちゃう。おおきにやろ。

一福:おおきに。

福松:うわ~!

菊:ええ子やなあ。なあ 一福。菊おばあちゃんと シズおばあちゃん どっちが好き?

一福:菊ちゃん。

菊:いや~!

福松:ハハハハ。

菊:ええ子やなあ。おもちゃ買うたげよなあ。

福松:さあさあ さあさあ 行こうか。行こう行こういこう…。

椿:行っといでやす。

菊:あと頼むわな。

椿:へえ。

福松:何食べようかなあ。

みつえ:岡安行った時は シズちゃん言うねんで。

千代:将来有望やな。

みつえ:あんたんとこは どないやの?

千代:どないて?

みつえ:子供 作れへんの?

千代:そら いつかはと思てんねけど…。今は毎晩のように誰かかんか押しかけてきて それどころやあれへん。やっと家庭劇も調子上向いてきたとこやしな。今 休むことなんかでけへん。座長の妻として うちがいろいろ面倒見なあかんこともあんねん。

みつえ:そないなこと言うてたら あっちゅう間に年取ってしまうで。ほんまにそれでええんか?あんた 劇団と結婚したんちゃうんやで。

(トランペットの音)

(ため息)

(トランペットの音)

福助:ただいま。

みつえ:今 大事な話してんねん。邪魔せんといて。

福助:冷たっ。亭主が楽団の仕事から帰ってきたんやで。もうちょっと優ししてえな。

千代:楽団?

みつえ:知り合いの三文バンドに おこぼれで仕事貰ただけやないの。いっちょ前の顔せんといて。

福助:それも これまでの話や。これ見てみ。

千代:チャップリン? チャップリン!? あのチャップリンが!?

みつえ:名前は聞いたことあんなあ。

福助:お前 何言うてんねん。チャップリンいうたら 世界の喜劇王やんか。

はい 皆さん またお会いしました。チャールズ・チャップリンは当時 日本ではその独特の風貌から変凹君という名で紹介されました。変凹君ですよ。酔っ払いのような独特な歩き方から アルコール先生なんて愛称もありました。面白いですね。笑って泣けてロマンがあふれる世界の喜劇王です。ということで 初来日ですよ。もう新聞がえらい騒いだ騒いだ騒いだ。ファンが首を長うして待っておりました。首が伸びた伸びた伸びた。僕もチョビひげにしようかな。あっ 顔見えへんのやった。さよなら さよなら。さよなら。

福助:日本の喜劇見に 道頓堀に来るっちゅう噂や。そこでやな 僕の演奏聴いてもろて 映画音楽の専属楽団員として雇てもらうねんや。

みつえ:そない うまいこといくはずあれへんやろ。大体 そない簡単に会えるはずもあれへんわ。なあ。

千代:あのチャップリンはんが 面白いて言うてくれはたら 家庭劇の名前も日本中 いやひょっとしたら世界中の人たちに知ってもらえんのかも。

みつえ:いや せやさかい…そない うまいこといくはずあれへんやろて!

●鶴亀株式会社・社長室

鶴蔵:世界の喜劇王と日本の喜劇王 顔を合わせたら さぞや面白いこっちゃろうなあ。ただし それには条件があるわ。

●鶴亀株式会社・稽古場

その夜 千秋楽の幕引き後に 家庭劇の劇団員たちが集められました。

熊田:今日も小鳥のような歌声 最高やったで。

香里:おおきに。

熊田:あの別れの場面は泣けたわ~。

ルリ子:ありがと。

熊田:えっと…。

徳利:はいはい。

熊田:お疲れさん。

徳利:おい!何かあるやろ!

熊田:みんな ほんまにお疲れさん。今回の興行も評判よかったで。ようやってくれた。…と 大山社長からのお言葉や。

一平:次もご期待に応えられるよう気張らしてもらいます。

熊田:おっ その前に もう新聞で読んだかも分かれへんけど あのチャップリンが来日すんのは知ってはるな。

小山田:知らいでかいな。何本 あの方の映画 見たことか。で そのチャップリンがこの道頓堀に来ますのんかいな?

熊田:ああ 来る。

小山田:ああ なんと夢のようや。まさか実物に会えるとはな~。

熊田:まだ会えるとは決まってへん。大山社長は一番面白い劇団を見てもらうとおっしゃってます。その候補がこの鶴亀家庭劇と須賀廼家万太郎一座でな。次の公演で客の数が多かった方の芝居をチャップリンに見てもらう。万太郎一座との一騎打ちや。それから もう一つ 大山社長からの言葉が。派手な兄弟喧嘩を存分に楽しませてもらう…と。

(回想)

(皿が割れる音)

千之助:次~!

(皿が割れる音)

万太郎:まるで戦争や~!

(皿が割れる音)

(回想閉じ)

小山田:チャップリン殿こそ まさにわが心の師よ。これまで どれほどあの方の映画を見てきたか知れぬ。

徳利:その割には 最初 喜劇バカにしてたわなあ。

小山田:うぬぼれるでない。あの方の喜劇に比べたら 我らのやってることなど 子供の遊びも同然じゃ。

徳利:何やと!?

千之助:どうでもええわい。チャップリンやらチンチクリンやら 知ったこっちゃあるかい。あいつだけじゃ…須賀廼家万太郎には負けるわけにはいけへんのじゃ。

一平:せやな。まずは どないしたら万太郎一座に勝てるか考えましょ。

天晴:やっぱり 肝心なんは どないな芝居をするかやな。

一平:それやったら 前に書きためた ええネタあります。

千之助:あかん ほんなもん。 台本はわしが書く。お前のしみったれた話ではあいつには勝たれへん。

漆原:千さん とりあえす見てから…。

千之助:主役もわしがやる。あいつの首取んのは このわしじゃ。

回想・万太郎:ハハハハハハハ! それで大爆笑 間違いなしや! ハハハハハハハ!

千之助:お前ら 足引っ張るんやないで。

(つづく)

●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。
●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。

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