朝ドラ【おちょやん】第13週65話、母親の夕が家を出た後、そんな母親の顔を忘れぬようにと、夕が残していった紅やおしろいを顔に塗りたくった一平。
その姿を見て大笑いした亡き天海は、無性に台本が書きたくなり、結局は役者を続けることになった。
その話をハナから聞いた千代は一平に伝え、ここでようやく2代目襲名を心に決める一平。そして襲名興行の初日の口上。
それと もう一つ。私が今日 この決意を固められたのは そこにおります竹井千代のおかげです。千代 こっちへ。私は彼女に心を救われました。私のために笑い 泣いてくれる人です。私事で恐悦至極に存じますが 今日この場をお借りして私たちの結婚をご報告申し上げます。
2代目天海天海の襲名と同時に、竹井千代との結婚を報告する一平だった。
【おちょやん】第13週65話セリフ書き出し
ハナ:ちょっと 昔話 してもええか。
(回想)
天海:飯なんか食うてられるか!
一平:お父ちゃん!
天海:先前から お前ここにおるやない…。何してんねん。
一平:お母ちゃんみたいになりたかったんや。お母ちゃんの顔 忘れんようにと思うて。
(笑い声)
天海:一平 何や その顔は。
ハナ:アホやなあ。ほんまに。
天海:こんなことしたらな お母ちゃんが叱るやないか。なあ。ハハハハ。
(回想閉じ)
●天王寺・一平の家
千代:天海さんは役者を辞めはれへんかった。何でか分かるか? あんた お母ちゃんが恋しいて お母ちゃんが残していきはった紅やおしろいを顔に塗りたくったことがあったんやて。
回想・天海:親の顔が見てみたいわ。どんなあほな面してんねん。ええ? わしか~!
千代:それ見て 天海さん大笑いしはって…。そしたらな 無性に台本が書きたなってんて。あんたへの思いを書いとかなあかん。芝居にせなあかんて。
(回想)
天海:もはや父はこの世のものではないのじゃ。わてら幽霊なんどすえ。
天晴:ええっ!
天海:事情を話す暇はない。こうやって 母上にも そなたにも会うことができて 何の思い残すことものう あの世に旅立つことができる。
一平:父上!
天海:菊松!
一平:お会いしとうございました。
(回想閉じ)
千代:あんたや。あんたがお父ちゃんに もっぺん一からほんまもんの喜劇いうもんを作りたいて思わせたんや。あんたが天海天海継ぐの 誰よりも喜んではんのは お父ちゃんと違うかな。あんたに役者続けてほしいて誰よりも願てはんのは お父ちゃんのはずや。
一平:何やねん…何やねん さっきから…。もう遅いねや…。もう会えへんねん…。お父ちゃんにもお母ちゃんにも…。もう二度と…。
千代:生きるってしんどいのう。しんどいのう…。けどな…あんたは一人やあれへん。うちがいてる。
先代がこの世を去ってから幾年月。この番組が始まってから ひいの ふうの みいの…。まっ いろいろありましたが ついにこの日がやってまいりました。
●えびす座・舞台
熊田:皆さん よろしゅうお願いいたします。
一同:お願いします。
(柝の音)
(拍手)
天晴:東西…。
一同:東西!
一平:本日はかくも大勢様のご来場を賜りましてまことにありがとうございます。この度 私 天海一平は天海天海の名跡を襲名させていただく運びと相成りました。
宗助:よっ 天海!
みつえ:日本一!
(拍手)
一平:この襲名をするにあたり 私は大きなものを失いました。ですが それ以上の大切なものに気付くことができました。先代である父の思いに…。父の法要の時のことでございます。供養をお願いしたお坊さんがその日に限って大事な鉦をお忘れになってしまいはりまして…。
千之助:フフフ…。
一平:肝心の鳴らすとこで お経が止まってしまいはりました。
(笑い声)
一平:我々 お墓の前で右往左往。その時 近くにいてた人力車の車夫が気を利かせて 車の呼び鈴をお坊さんに渡したんです。
千之助:ハハハハハハ!
一平:なんまいだ~なんまいだ~。シャン シャン シャン シャン シャン。まるで猫の鈴ですわ。その可愛らしい音色に今にも泣きそうになってはった参列者の皆さんも 思わずどっと笑いに包まれまして…。笑いと涙の瞬間は紙一枚や。これが喜劇やって 亡き父が最後の最後に私に教えてくれたような気がします。そんな父を私はずっと憎んでおりました。悔やんでも悔やみきれません。ほんまのことを申せば 私はこの襲名興行の千秋楽を迎えた後 役者を辞めるつもりでおりました。
(どよめき)
一平:ですが 先代もおんなじやったと知りました。先代 父も迷い苦しみながら それでも舞台に立ち続けていたんやと教えられました。そんな父の名を汚さぬよう決して ぬかるみになど落とさぬよう しっかりと抱き締め守り抜くことを皆さんにお約束いたします。
(拍手)
富士子:よっ 天海!
(拍手)
一平:それと もう一つ。私が今日 この決意を固められたのは そこにおります竹井千代のおかげです。千代 こっちへ。
徳利:おい 一平…。
千之助:ええ 座っとけ。
百久利:千さん…。
千之助:ええから座っとけ言うてんねや。
百久利:ええ。
千之助:はよ来い。はよ来い。
(騒ぐ声)
千之助:ええから座れ。
(拍手)
千之助:ええから座れ言うてんねん!お客さんの前や。ちゃんとせえ。
徳利:すんません。
百久利:何で?
一平:私は彼女に心を救われました。私のために笑い 泣いてくれる人です。私事で恐悦至極に存じますが 今日この場をお借りして 私たちの結婚をご報告申し上げます。
え~!
(どよめき)
えっ?
ハハハハ…。
ハハハハハ。
一平:今日よりは2人で力を合わせて 天海天海の名を後世に伝えていけたらと願うております。私たち2人も家庭劇一同も まだまだ未熟なところばかりでございます。ですが共に精進を重ねこれから更なる高みを目指して喜劇道にまい進する所存。どうか皆々様におかれましては引き続きお引き立てのほど 隅から隅まで ずずずい~っと こいねがい上げ奉りまする~!
(拍手)
宗助:天海日本一!
(拍手)
みつえ:千代 おめでとう!
富士子・節子・玉:おめでとう!
かめ:千代~!
ハナ:声が上ずってるがな。まだまだやなあ 2代目。
(拍手)
幽霊・天海:超えられるもんやったら 超えてみい。
(拍手)
千代:どないしたん?
一平:いや…。
(拍手)
(拍手と柝の音)
♪
千之助:はよせえや。
おめでとう 千代ちゃんに一平君。いや 天海さん。
幽霊・天海:おう!
2人の行く先には たくさんの笑いがあふれますように。
(つづく)
●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。
●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
NHK連続テレビ小説・第103作【おちょやん】のネタバレあらすじと各回の全セリフ、そしてキャスト紹介を最終回まで書き続けています。朝ドラ【おちょやん】は女優・浪花千栄子さんをモデルに、その生涯を再構成してフィクションとして作られたド[…]