【おちょやん】セリフ書き出し第11週54話|ほんまのお母ちゃんの代わりに無理聞いてあげるんがマットンの生きる喜びです。

朝ドラ【おちょやん】第11週54話、福助と駆け落ちしたみつえを案じるシズ。そして子供の頃にあつらえた着物を抱き締めながら、我が子への想いを語るシズ。

シズ:みつえが3つのお祝いの時にな 初めてあつらえた着物だす。あの子 大喜びで走り回って水たまりでこけてしもてな 上から下まであっちゅう間に泥だらけになってしもたんや。すぐにきれいにしたげるって言うたんやけど あの子「新しいの買うて~!」ってえらい泣いてな。ほんまにわがままな子やったわ。ほんで どないしたと思う? 新しい着物 また あつらえてしもた。わても旦さんも そない甘やかしたらあかんて分かってたんや。分かってたんやけど どないもこないも可愛うてなあ…。あの時のみつえのうれしそうな顔は一生忘れられへん。今でもわての宝物や。

一方、鶴亀家庭劇の「マットン婆さん」も、実の子ではない三人への想いを口にして…。

千之助演じるマットン:けどな マットンはうれしおます。あんさんらには こなちいちゃい頃からた~んと無理言われてきましたけどな 無理言われたら言われるほどマットンを頼りにしてくれてはるんやなあて うれしゅうて うれしゅうて…。これからも遠慮のう無理言うて どうかマットンを困らせとくなはれ。どうせ逆立ちしたかて あんさんらのほんまのお母ちゃんにはなれませんけど ほんまのお母ちゃんの代わりに無理聞いてあげるんがマットンの生きる喜びです。

どちらも母親の無償の愛情ということで、脚本の素晴らしさに拍手です。

【おちょやん】第11週54話セリフ書き出し

みつえ:水と油が仲ようなんのは やっぱり無理なんやろか。

シズ:福富と競い合うてきたおかげで今の岡安があんのやて わてはずっとそない思てきたんだす。姐さんにだけは芝居茶屋 辞めんといてほしかった。行くで みつえ。

菊:あんた これ以上 福助 そそのかさんといて。

福助:お母ちゃん 何言うてんねん。

みつえ:うちはほんまに 福助…。

菊:人にはそれぞれ ふさわしい居場所っちゅうもんがある。あんたは うちにふさわしない。

ハナ:おばあちゃんは あんたの味方や。幸せになり。ええな。

みつえ:おおき おばあちゃん…。

一平:俺はこの台本で母親の無償の愛情描きたかったんです。

千之助:お前に親の気持ちの何が分かるんじゃ。

さて 今回の鶴亀家庭劇「マットン婆さん」のお話とは。この片桐儀平はマットンこと お松が女中として奉公していたうちの主人です。はように妻を亡くし 儀平の3人の子供はお松が実の母親のように育てました。こちらが主人公のお松さん。みんなから「お松どん お松どん」と呼ばれてるうちに それが縮まってマットンになったそうです。

千之助:お松どん 松どん 松トン で マットンっていうことですわな。

ちょっと無理あらへんか?

千之助:何じゃと コラ。

(太鼓の音)

やがて30年の歳月が流れ すっかり大きなった子供たち。せやけど長男の正一郎と妹の満里子は育ててもろた恩も忘れて 年老いたお松を邪魔者扱いし追い出そうとします。しかし末っ子の三郎はお松が大好き。いつまでもお松にいてもらうため もう60半ばになる彼女と自分の父親 儀平を結婚させようと考えたのです。えらい むちゃな話やなあ。

一平:千さんに言うてくれ。

「マットンに財産取られてまう!」と正一郎と満里子は大反対。実は2人は詐欺に遭うて ぎょうさん借金があったんです。今夜中にお金が用意できなければ大変なことに。えらいこっちゃ!

●鶴亀株式会社・稽古場

千代:えらい大金やんか!

天晴:これ わしらに?

一平:ああ。

天晴:こんだけあったら なんとかしのげる。三郎 おおきに。さすが わしの弟や。

千代:おおきに。

一平:お礼言うのは 僕やあらへん。そのお金はな マットンが大事にためたもんなんやで。
天晴:何やて?

千代:待っとんが?

千之助:あれほど内緒にて言いましたやろ。

一平:黙ってられるはずあれへんやろ。

天晴:マットン ほんまにええんか?

千代:うちら あんたにいつも無理言うて困らしてたのに。

千之助:(棒読みで)ええ 正一郎さんも満里子さんも わてにとったら ほんまの子供みたいなもんで。

天晴:マットン…。

●道頓堀・街中

千代:あの調子やと 明日も何しでかしはるか 分かれへんなあ 千之助さん。

一平:どうせ またむちゃくちゃして 一人だけ笑いとるつもりやろ。もうええ。

千代:なあ 母親の無償の愛言うてたやんか。何でそないなこと やりたかったん?そないいうたら あんたのお父ちゃんの話はよう聞くけど お母ちゃんの話は聞いたことあれへんなあ。どないな人やったん?

一平:何でお前に言わなあかんねん。

千代:ええやんか別に…ケチ。

●岡安・勝手口

千代:みつえ? ちょちょちょちょちょちょ…!

●岡安・千代の住込部屋

千代:出ていくて 何で?

みつえ:しっ! もう こないするしかあれへん。

千代:考え直し。うちが必ずご寮人さん説得したげるさかい。

みつえ:無理やて。見たやろ こないだの菊さんとのこと。4年前はうちがあんたを逃がしたったやろ。

(回想)

赤松:千代ちゃん。

みつえ:はよう!

(回想閉じ)

●岡安・帳場前

宗助:どないしよ…。あ~どないしよ。

●道頓堀・街中

ハナ:頼みましたで。

小次郎:へえ。

ハナ:頼んますわな。

●岡安・帳場前

宗助:あ~どないしよ…。

ハナ:落ち着きなはれ。

一平:どないかしたんですか?

富士子:あんたら いとさんから何か聞いてへんか?

一平:えっ?

節子:これ…。 駆け落ちしはったんだす 福富のボンと。

一平:えっ…。

●岡安・床の間

シズ:みつえが3つのお祝いの時にな 初めてあつらえた着物だす。あの子 大喜びで走り回って水たまりでこけてしもてな 上から下まであっちゅう間に泥だらけになってしもたんや。すぐにきれいにしたげるって言うたんやけど あの子「新しいの買うて~!」ってえらい泣いてな。ほんまにわがままな子やったわ。ほんで どないしたと思う?

千代:そら ご寮人さんがきつうお灸据えはったんと違いますか?

シズ:新しい着物 また あつらえてしもた。わても旦さんも そない甘やかしたらあかんて分かってたんや。分かってたんやけど どないもこないも可愛うてなあ…。あの時のみつえのうれしそうな顔は一生忘れられへん。今でもわての宝物や。

●えびす座・舞台袖

一平:ぼちぼち行くで。おい 千代。役者やろ。今は芝居のことだけ考え。

(拍手)

●えびす座・舞台

そして「マットン婆さん」の幕が開きました。

天晴:お父さん お願いします。お金を貸してください。

小山田:そうしてやりたいけどな うちにはもうそないな大金あれへん。わしが隠居した途端 見え見えの詐欺にひっかりよって この大バカ者が!

天晴:そないなこと言わんと この家担保にしてお父さんがどっかからお金借りてくれたら…。

小山田:そないなことしたら わしはこのあと どないして暮らしていったらええいうねん。
千代:そもそも マットンを雇うお金はあんのに 実の子である うちらに出すお金はあらへんなんて おかしいやろ。あないな役立たず さっさとクビにしたらええんや。

一平:なんちゃうこと言うねん!僕らを育ててくれた恩人やで。

千代:覚えてへんわ そない大昔のこと。

天晴:マットンもマットンや。 ええ年して お父さんと めおとになんりたいやなんて…。お父さんが死んだら この家 遺産に貰うつもりでそないなこと言うてんのちゃうか。

小山田:なんち…。

一平:もうええ。持っていきな。

天晴:えっ? 何や。

千之助:失礼します。

客:よっ 千之助!

(拍手)

また千之助さんが 台本にまるでないお芝居を始めはりました。

千之助:三郎さん よいしょ…こっち…こっち ちょっと…。あのお金はマットンが用意したっていうのは くれぐれも内緒でお願いします。

千代:えらい大金やないか!

天晴:これを わしらに?

一平:そのお金はな マットンが…。

千之助:三郎さん!そのお金はマットンが用意しました。

天晴:何やて?

千代:マットンが?

千之助:まあ 三郎さん えらい口の軽い。

一平:マットン 今 自分で言うたんやで。

千之助:わてが言いましてか? わてが言いましたか? 何でもかんでもマットンのせいにして。

(笑い声)

千之助:けどな マットンはうれしおます。あんさんらには こなちいちゃい頃からた~んと無理言われてきましたけどな 無理言われたら言われるほどマットンを頼りにしてくれてはるんやなあて うれしゅうて うれしゅうて…。これからも遠慮のう無理言うて どうかマットンを困らせとくなはれ。どうせ逆立ちしたかて あんさんらのほんまのお母ちゃんにはなれませんけど ほんまのお母ちゃんの代わりに無理聞いてあげるんがマットンの生きる喜びです。

(回想)

一平:俺はこの台本で母親の無償の愛情描きたかったんです。

千之助:お前に親の気持ちの何が分かるんじゃ。

(回想閉じ)

一平:マットンちゃいますやろ。

千代:せやな。おおきに お母さん。

千之助:いや~! 満里子がマットンって呼んでくれない。

天晴:お母さん。

千之助:いや~もう 正一郎さん…。

千代:お母さん。

天晴:お母さん。

千之助:おや 旦さん 恥ずかしい。

小山田:もう旦さんやあらへん。あんさんや。

千之助:あんさん。

(拍手)

千代:お母さん。

(拍手)

●えびす座・舞台袖

百久利:お疲れさんでした。

千之助:あ~しんど。はい お疲れさん。これだけやな 今日。

百久利:はい。

千之助:ほな お先。

一平:俺は何見てたんや。自分の台本 めちゃくちゃに変えられたんが悔しゅうて目ぇそらしてた。形は変わっても俺がやりたかったことがちゃんと残ってる。千さんははなから あれを目指してたんや。悔しいけど この芝居 おもろいわ。

天晴:千代ちゃん?

(つづく)

●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。
●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。

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