朝ドラ【おちょやん】第11週53話、鶴亀家庭劇の次回公演の演目が決定。1本目に新作の「恋愛指南」、2本目は「お祭り囃子」、3本目に「母に捧ぐる記」と一平が口にした時、千之助が出してきた「マットン婆さん」の台本。
「母に捧ぐる記」を書き直した内容で、主役も母親ではなく女中の婆さんに変更されており、それを演じるのは千之助自身だと。
お前に親の気持ちの何が分かるんじゃ。
千之助の言葉に反論できない一平だった。
一方、みつえと福助の恋仲は、犬猿の間柄の母親たちの知るところとなり、二人とも猛反対。
シズ:ほんまにがっかりしました。福富と競い合うてきたおかげで 今の岡安があんのやて わてはずっとそない思てきたんだす。姐さんにだけは芝居茶屋 辞めんといてほしかった。せやのに 何だすね この店は! こないな店にうちの大事な娘 嫁がせるつもり あれしまへんよって。よう覚えとき。
菊:こっちから願い下げや! 岡安になんぞ のれん分けせえへんかったら うちの店は今でも続いてた。あんたもこの娘もほんま目障りや。二度とその顔 見せんといて!
【おちょやん】の名場面として記憶に残るセリフのやり取りでした。
【おちょやん】第11週53話セリフ書き出し
●岡安・床の間
<<シズ:あきまへん! 今すぐ別れなはれ。
<<宗助:まあまあ そない…。
シズ:冨川の家に入って姑の菊からさんざんいじめられながらあの楽器屋を切り盛りしますんやで?
みつえ:うちが菊さんの娘になんのが気に入らんだけやろ。何がうちのためや。
宗助:みつえ そないな言い方せんかて…。
みつえ:岡安継ぐのもあかん 福助と一緒になんのもあかん!これ以上 うちの夢 取り上げんといて!
●福富楽器店
いつの時代も人の口に戸は立てられません。面白い話は瞬く間に広まるもんで…。
菊:よりによって岡安の娘なんかと…何を考えてますのんや!
福松:まあまあ そない怒らんかて…。
菊:あかんもんはあかん。この子のためを思えばこそだす。
福松:まあ そない言うてもやな…。
菊:福助 今すぐ別れなはれ。
福助:そ…そんなん…。
菊:ええな!
福助:はい…。
この根性なし!
福松:やっぱり あかんか。
菊:何が?
福松:福助とみつえちゃんのこと。
菊:岡安の娘がうちに入って うまいこといくはずあらへん。みつえちゃんかて かわいそやわ。
福助:せやなあ…。
菊:もし百歩譲って わてが許したとしても シズが許さへん。
福助:せやなあ…。
そないな時でもお芝居の稽古は待ってはくれません。
千代:ふう~。
●鶴亀株式会社・稽古場
鶴亀家庭劇の次回公演の稽古が始まりました。
一平:え~今回の演目は1本目に新作の「恋愛指南」2本目は にぎやかに「お祭り囃子」にしよ思います。
徳利:おっほほ! 久しぶりやな。
香里:何や楽しみやなあ。
一平:ほんで 3本目の演目に「母に捧ぐる記」をやります。
小山田:心得た。それで配役は?
一平:はい え~ 主役の母親役に…。
千之助:ちょっと待ってくれ。その台本 手直ししたったで。
一平:何や これ…。
千之助:しょうもないとこ直しただけやで。
一平:主役の母親も 女中のばあさんに変わってる。なんぼなんでも これは…。
千之助:その方がおもろいやろが。
一平:俺はこの台本で母親の無償の愛情描きたかったんです。
千之助:フッ…。お前に親の気持ちの何が分かるんじゃ。文句あんねやったら やめるか?この芝居。
千代:あっ あっ せやけど そないな おばあさん役でける年の人 ここにはいへてんしなあ。元に戻しても…。
千之助:わしじゃ。わしがやるんじゃ。さあ やんのか やめんのか はっきりせえや。
百久利:これでええんちゃいます? もう時間あれへんし。
●岡安・帳場
(電話の着信音)
シズ:へえ つないどくれやす。岡安でございます。岩常銀行の岩下様…。うちの店は初めて? へえ ありがとさんでございます。
岡安に久しぶりに大口のお客さんが入りました。
シズ:お酒 大丈夫か?
富士子:へえ。
シズ:追加の電話しときや。
富士子:へえ。
●福富楽器店の前
みつえ:そら 一平君もつらいなあ。
千代:う~ん ほんまに水と油やわ 一平と千之助さんは。
みつえ:お母ちゃんと菊さんみたいやな。水と油が仲ようなんのはやっぱり無理なんやろか。
♪
菊:いや すんません。もうな 椿 あがってしもたんや。
♪
千代:諦めたらあかんて。お客さん帰りはったら もっぺんご寮人さんとこ行こ。うちもついてったげるさかい。
みつえ:何で福助さんか好きになってしもたんやろ。こないなことになるて 分かってたはずやのに。
♪
菊:よろしゅう頼みます。
●岡安・玄関先
シズ:岩下さん 今日はほんまにありがとさんでございました。
岩下:礼言うのはこっちやがな。あ~久々にええ芝居見物できました。おおきに。
シズ:どうぞ これからもごひいきのほど よろしゅうお頼申します。
岩下:もちろんや。芝居茶屋もとんと少のうなって さみしい限りやけど こないにええ店が残ってくれててわてらもうれしい限りや。ハハハハ。さすが福富はんから…。はっ…しもた…。
シズ:福富はんが どないぞ?
岩下:実はな わてら もともと福富はん ひいきにしてましたんや。けど商売替えしはったやろ。で どないしょ思てたら 福富の菊さんがな あんたんとこ薦めてくれたんや。黙っててくれて言われたんやけどなあ…。まあ 悪い話やないさかい 勘弁してくれますやろ。なっ。ハハハハ。ほな また頼みますわ。
シズ:おおきに。
岩下:へいへい。
富士子:おおきに。
岩下:さいなら。
●福富楽器店
菊:何の用だす。
シズ:ひと言 お礼言わしてもらお 思いましてな。
菊:お礼?
シズ:岩常銀行の岩下さんに 岡安のこと薦めてくれはったそうだすな。
菊:何や 言わんといてって言うといたのに…。
シズ:お菊姐さん ほんまに…大きなお世話だす!わてをコケにすんのも大概にしとくなはれ!
菊:何を そない目くじら立てることがありますのや。大口のお客さんを分家の岡安に回してあげただけだす。感謝こそされ 恨まれる筋合いやあれしまへんで。
シズ:福富からの施しなんぞ お断りだす。そないして恩売って 姐さんがええ気分になりたいだけですのやろ。
菊:何だすて?
シズ:岡安は わての店だす。わてが守っていきます。
菊:上等や。ほな 勝手にしい。岡安の台所がどないな具合か わてが知らんとでも思てんのんか? いつまで続くか 楽しみやなあ。
シズ:フッ… そら おおきに。けど姐さんが芝居茶屋 続けらへんかったさかいいうて わてとこまで おんなじやて思わんといとくれやす。ほんまにがっかりしました。福富と競い合うてきたおかげで 今の岡安があんのやて わてはずっとそない思てきたんだす。姐さんにだけは芝居茶屋 辞めんといてほしかった。せやのに 何だすね この店は! こないな店にうちの大事な娘 嫁がせるつもり あれしまへんよって。よう覚えとき。
菊:こっちから願い下げや! 岡安になんぞ のれん分けせえへんかったら うちの店は今でも続いてた。あんたもこの娘もほんま目障りや。二度とその顔 見せんといて!
シズ:行くで みつえ。
菊:あんた これ以上 福助 そそのかさんといて。
福助:お母ちゃん 何言うてんねん。
みつえ:うちはほんまに福助…。
菊:人にはそれぞれ ふさわしい居場所っちゅうもんがある。あんたは うちにふさわしない。
●岡安・千代の住込部屋
千代:だんないか?
みつえ:ないどころやあれへん。
千代:ご寮人さんは何であないに 菊さんのこと 目の敵にしてはんねやろ。
みつえ:知らんわ。うちが生まれた時から ずっとそやさかい。
ハナ:わてのせいだす。
みつえ:おばあちゃん。
ハナ:シズもな 生まれた時から わてと福富のお家さんと仲悪かったんをず~っと見てきたよってな。
千代:福富のお家さんて…ずっと前に亡うなりはった 菊さんのお母さんだすか?
ハナ:そや。わてがもともと福富のお茶子やったんは知ってるわな。そこから のれん分けしてもろて この岡安を作った。無我夢中で働いて ようけお客さん来てくれはるようになったんや。けどな 何人かのごひいきさんを あてが引き抜いてしもて いつの間にか 福富のお家さんとは犬猿の仲になってしもてた。シズも菊さんもそれ見て大きなったさかい 仲悪なって当たり前や。わてがそうさしてしもたんだす。堪忍やで。
みつえ:ちょっと おばあちゃん やめてえな。
ハナ:そやけど びっくりしたがな。まさか岡安の娘と福富の息子が引かれ合うやなんて。これも時代やろか。あんなぁ みつえ ここだけの話やで。おばあちゃんはあんたの味方や。幸せになり。ええな。
みつえ:おおきに おばあちゃん…。大好きや。
ハナ:フフフ…ハハハハ…。ハハハハ。
(つづく)
●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。
●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
NHK連続テレビ小説・第103作【おちょやん】のネタバレあらすじと各回の全セリフ、そしてキャスト紹介を最終回まで書き続けています。朝ドラ【おちょやん】は女優・浪花千栄子さんをモデルに、その生涯を再構成してフィクションとして作られたド[…]