朝ドラ【おちょやん】第10週48話、辞めると言い出した高峰ルリ子を説得するためにルリ子の定宿である泉屋に行った一平と千代は、そこで働くルリ子を見てしまい…。
役者だけじゃ食べていけないから 空いた時間はここで働かせてもらってるの。笑いたければ笑えばいいわ。どこに行ってもうまくいかないから とうとう鶴亀からも見放されて…。今回が最後通告だったの。結局 またうまくいかなかった。これで役者はもう廃業ね。
そして若い女優を絞め殺そうとしたという悪い噂を自ら千代たちに話すルリ子。しかし、それは真実ではなく…。
花菱団の主宰はね 私の元婚約者だったの。すごい才能があって私を主役に抜擢して育ててくれた人。あのころは本当に毎日が幸せだった。だけどある時 映画の撮影所から来た若い女優にあることないこと吹き込まれて主役だけでなく彼までとられてしまった。だから私 その女優の顔思い切りひっぱたいてやったわ。そしたらそれがいつの間にか首を絞めたことになっていて…。
それを聞いた千代が
うちは絶対に高峰さんを裏切ったりなんかせえへん。せやさかい 高峰さんも今まで頑張ってきた自分自身を裏切らんといとくはなれ。こないなことで役者辞めたらあかん!あかんのだす!
かくして、ルリ子が鶴亀家庭劇に戻ったのもつかの間、今度は千之助との笑い勝負が始まり、明日に続くです。
【おちょやん】第10週48話セリフ書き出し
千之助:あれれれれれれれれれれ~!
♪
千之助:台本がないからて 芝居できへんような役者は三流じゃい!すまん。五流じゃ。
ルリ子:そこまで言われたら もうここにはいられないわね。
千代:あっ ちょっ 待って高峰さん!ちょっと落ち着きましょ。
ルリ子:そうやって あっちにもこっちにもいい顔して 誰かれ好かれようとする。あなたが一番嫌いだって言ったでしょ! やっぱり喜劇なんてやるんじゃなかった…。
♪
菊:ほんまに あの人のことが必要やねやったら あんたらが自分でお願いしに行くのが筋と違いますか。
●旅館・泉屋
一平:ここ泊ってるって熊田さんが言うてはった。
千代:高いねやろ ここ。やっぱし東京で売れた女優さんあ違うなあ。
一平:何でお前 ついてきてんねん。高峰さんに嫌われてんねやろ。
千代:だんない だんない。もめたりせえへん。ずっと笑とく。
一平:何や それ。
女将:あっ お待たせしました。おいでやす。
一平:こちらで女優の高峰ルリ子さんがいてはるって聞いたんですけど。
女将:ああ…。
<<ルリ子:ありがとうございました。
ルリ子:今日はどちらへ?
●旅館・泉屋勝手口
(鳴き声)
ルリ子:はい。
千代:高峰さん 何で?
ルリ子:役者だけじゃ食べていけないから 空いた時間はここで働かせてもらってるの。笑いたければ笑えばいいわ。どこに行ってもうまくいかないから とうとう鶴亀からも見放されて…。今回が最後通告だったの。結局 またうまくいかなかった。これで役者はもう廃業ね。
一平:何を言うてはりますのや。千さんのことやったら…。
千代:そないなこと あきまへん。うちら 高峰さんに戻ってきてほしいて お話ししに来たんだす。千之助さんが五流の役者や言いはったんは本気やないと思います。とにもかくにもやっと旗揚げでけたんやし また一緒に頑張りましょ。
ルリ子:何も知らないくせに。どうせ いずれ噂を耳にするでしょうから 教えてあげる。私がこうなった理由を。
●福富楽器店
徳利:絞め殺した!?
一平:ちゃう。絞め殺そうとしただけや。花菱団で主役の座奪おうとして若い女優をな。こっちの新派の連中に聞いたら みんなその噂知ってたわ。けど 鶴亀に口止めされてたんやて。
徳利:そらそやろ。一歩間違うたら警察沙汰や。
漆原:気が強いっていうの思てたけど 絞め殺すてな…。
一平:それで どこ行ってもお払い箱なんやて。
徳利:大山社長はそれ知ってて 俺らに押しつけはったんか。
天晴:こないなったら ひとまず公演はやめにして 別の女優見つけてもらおか。
千代:ほんまに それでええねやろか…。高峰さん やりともない喜劇でもお芝居続けようとしはったんや。ほんまは まだ辞めたないのと違うやろか。
天晴:いや ほんなら何で自分から首絞めたやなんて話 したんや?
千代:それは…何でやろ?
香里:多分 あとになってそのことが分かって また追い出されんのが一番つらいからやないかな。
小山田:わしらも似たようなもんやで。自分が育てた若い連中から 時代遅れ言われたりな。信じてた仲間から妬まれて居場所のうなったりしてな。
香里:好きやった人らから後ろ指さされんのが一番きつい。それやったら はなから嫌われてた方がマシやんか。
一平:俺らかて 何一つ偉そうなこと言われへんのです。鶴亀撮影所追い出されてきたもんもおれば いっぺん劇団を潰してしもた連中もいる。あの千之助さんかて 昔 万太郎に捨てられた身や。
●千之助の安宿(牡丹の間)
百久利:今日の芝居 ほんまにできんねやろか…。
●福富楽器店
一平:はなからみんな半端者の寄せ集め。これが鶴亀家庭劇や。けど そやからこそ新しいもんが作れんのちゃうかって 俺はそう信じてる。
菊:うちの人はどこだす。どこにいてはりますのや。出しとくなはれ。
天晴:どないしはったんですか?福松の旦さんやったら あの…。
菊:嘘言いはなれ。どこぞに隠れてるに違いない。おきん 奥見といで。
千代:それて…。
一平:何で菊さんが?
菊:何べんも練習つきあわされたさかい 覚えてしもた。昔から新しい芝居の前にはな 決まってうちに聞きに来てましたんや。上方の言葉遣いは合うてるか 意味は間違うてへんかて。そらもう しつこうて ほんま面倒くさい女優さんやった。「恥ずかしいから誰にも言わんといて」て。それが高峰ルリ子だす。
●旅館・泉屋勝手口
ルリ子:あなたもしつこいわね。私がどんな女優か教えたでしょ。
千代:主役を奪た若い女優の首絞めて殺そとした とんでもない女優さんや。昔 何があったかやなんて どないでもええ。今 うちの目の前にいてんのは嫌みなほど完璧主義でちょっことの妥協も許してくれへん ほんまに腹が立つくらい尊敬できる女優さんだす。せやさかい お願いします。鶴亀家庭劇には高峰さんが必要なんだす。戻ってきとくなはれ!
ルリ子:私は完璧なんかじゃないわ。花菱団の主宰はね 私の元婚約者だったの。すごい才能があって私を主役に抜擢して育ててくれた人。あのころは本当に毎日が幸せだった。だけどある時 映画の撮影所から来た若い女優にあることないこと吹き込まれて主役だけでなく彼までとられてしまった。だから私 その女優の顔思い切りひっぱたいてやったわ。そしたらそれがいつの間にか首を絞めたことになっていて…。
千代:何で? 何でほんまのこと 言いはれへんかったんだす!
ルリ子:何度も言ったけど その口のうまい女にみんなコロッとだまされて。気付いたら 追い出されたのは私の方だった。もう どうでもよくなっちゃってね。悪いこと噂されるより本当のこと言って信じてもらえなかった時の方が傷つくから…。周りにいくらけなされても彼にだけは信じてほしかった…。あの映画出身の女 あなたに本当よく似てるのよね。
千代:フフフ…。そっ…そら ううちのこと嫌いになって当たり前だすなあ。ハハッ しゃあないわ。
ルリ子:私の不幸がそんなに面白いの?
千代:そやあれしまへん。うちがいっつもお世話になってるお茶屋のご寮人さんが 教えてくれはったんだす。人さんに笑てもらいたかったら まずは自分が笑いて。うちは高峰さんに笑てほしい。せやさかい うちも笑てます。フフッ。ほらもう高峰さんも 喜劇役者なんやさかい 笑とくなはれ。笑てまた一緒にお芝居しましょ。うちは絶対に高峰さんを裏切ったりなんかせえへん。せやさかい 高峰さんも今まで頑張ってきた自分自身を裏切らんといとくはなれ。こないなことで役者辞めたらあかん!あかんのだす!笑て言うてんのに何で泣きますの。
(すすり泣き)
ルリ子:あなたのそういうところ 本当に腹が立つわ!
千代:今度は怒んの。せわしないなあ。
ルリ子:うるさい!
(笑い声)
●えびす座・舞台袖
一平:ほな 今日も千さんは好き勝手やるつもりやろけど みんなはいつもどおりやってくれたらええ。何言われても いちいち気にしたらあかん。あの人はああいう性格や。
千代:ここはぐっとこらえて 芝居を成功させることだけ考えましょ。
小山田:うん そやな。
徳利:おちょやん 大人になったなあ。
(笑い声)
千之助:あ~。こらこら 皆さん おそろいで。
一平:千さん。
千之助:あ?
一平:今日もよろしゅうお願いします。
千之助:おお 心配せんかてええわい。わしが またきっちり 笑いとったるさかい。あ あと あんたらはもう何もせんといてくれよ。喜劇に笑いのとれん役者はいらん。用なしや。クソの役にも立たんからな。いや クソの方がまだマシか。子供はクソで笑うさかいなあ。
百久利:ハハッ。
千之助:ほたら あんたらはクソ以下か。
百久利:ハハハハ!
千代:そら違います! この人たちは用無しなんかやあれしまへん。千之助さん あんた間違うてはります。
百久利:千さんに向こて…。
千之助:黙ってえ! 悔しかったら わしより笑いとってみいや。
千代:よろします。やったろやないけ!
徳利:おいおいおいおい 千代ちゃん…自分が何言うてんのか分かってるか?
千代:分かってます。もし うちらの方が千之助さんよりお客さん喜ばしたら うちらのこと認めてもう自分勝手な芝居はせえへんて約束しとくはなれ。
千之助:ああ 構へんで。ほたら わしが勝ったらどないしようかな。この家庭劇の座長でもさしてもらおかの。
千代:はっ?
千之助:嫌やったら この勝負はなしじゃ。
千代:えっ ちょっと待っとくなはれ。
千之助:一平 どないや。
一平:構へんで。
千代:あんた正気か!?
一平:お前が勝負吹っかけたせいやろが。勝つ気あれへんのか。
千代:そら…あるわ。あるけど…。
一平:負けたら承知せえへんよってな。
(つづく)
●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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