朝ドラ【おちょやん】第10週47話、ついに鶴亀家庭劇の初興行の初日を迎えました。のころの興行は一日に4~5本の演目をやるのが普通でした。最初に短めのお芝居を2~3本やって そのあとにメインとなる長めの作品をやるのです。
そしてトリの手違い話が始まると、客席に笑いがないことを悟った千之助は台本と段取りを無視したアドリブを始めて…。
徳利曰く「大笑いさしてからまた強引に元の筋に戻したがな」
かくして、客席は大いに盛り上がり、拍手の中で幕となったが、
ハナ曰く「変わってまへんな な~んも」
楽屋では、千之助の行動に小山田と香里、そして高峰ルリ子が文句を言うと、
台本はただの見取り図や。台本がないからて芝居できへんような役者は三流じゃい! いや ちゃうな。すまん。五流じゃ。
そこまで言われたら もうここにはいられないわね。明日からもどうぞ お一人でご自由にやったらいいわ。
と、ルリ子が出て行ってしまい、明日は一平と千代がルリ子と対座で期待大です。
【おちょやん】第10週47話セリフ書き出し
千之助:こら楽しなりそうですなあ。
♪
ルリ子:私はあなたみたいな女優が一番嫌いなの。
♪
シズ:高峰ルリ子さんな どうせけったいなお人なんやろ。あのお人が道頓堀でやりはる時には 福富の世話になってたはずだす。
♪
千代:あないな稽古で うまいこといくねやろか。
一平:あの新しいに入った3人が多少 わがまま言うたとこで どないかなるわ。ほんまに問題なんは…千さんや。
ついに鶴亀家庭劇の初興行の初日を迎えました。
●えびす座・舞台
漆原:安心せえ。化け物など このわしが一刀両断にしてくれよう!
このころの興行は一日に4~5本の演目をやるのが普通でした。最初に短めのお芝居を2~3本やって そのあとにメインとなる長めの作品をやるのです。
天晴:はい 高なりますなあ。ええ。そのお人 もしかしたら この辺りに出るといわれている 幽霊のこと なんぞ知ってるかもしれん。
●えびす座・舞台袖
熊田:来はったで。
●えびす座・舞台
天晴:いや~!
(笑い声)
漆原:うわ~!
百久利:何してんねん 一人で。ここやここ。お前に殺されたんや わし。
●えびす座・舞台袖
熊田:失敗は許されへん。
一平:分かってます。
回想・一平:ほんまに問題なんは…千さんや。
●岡安・帳場
富士子:戻りました。
シズ:ご苦労はんやなあ。どないだした?
富士子:トリの手違い話が始まりました。
シズ:そうか。旦さん。どこ行きはりますのや。
宗助:ちょっと寄り合いに行ってくるさかい。
シズ:寄合っちゅう名の酒の席だすやろ。近頃 飲み過ぎと違いますのんか?
宗助:これもつきあいよってなあ。ほな 行ってきます。
●えびす座・舞台
香里:旦さ~ん えらいご無沙汰やったことやなあ。
千之助:すまなんだあ。
小山田:加平衛殿~! 加平衛殿~!えらいこっちゃ! えらいこっちゃ~!
千之助:どないしましたんや 2人とも そない慌てて。
一平:ご寮人さんが私の手の動きを見て 旦さんが浮気してはんの気ぃ付いてしまいはった。もうすぐ ここに乗り込んできはりまっせ!
小山田:さあ ここはわしに任せて お前は隠れと~け~!
千之助:おおきにやで 松庵。
一平:あって松庵先生 松庵先生…。
●えびす座・舞台袖
千之助:どけっ。あかんあかん。こらあかん…。
天晴:千さん どないしはったんです?
徳利:何て言うてんの?
香里:どこ行きはったん?
●えびす座・舞台
千代:ご寮人さん どうか落ち着いとくれやす。
ルリ子:うちの人は どこだす?どこにいてますのや。出しとくなはれ。
小山田:お内儀。加平衛殿はここへは来ておらん。
ルリ子:嘘言いなはれ。どこぞに隠れてるに違いない。おきん 奥見といで。
千代:へえ 承知いたしました。どいとくれやす といとくれやす。
一平:あっ!
千代:けったいやなあ 開かしまへんわ。
ルリ子:そこに隠れてんのやな。あんさん 出てきはなれ!
一平:ご寮人さん 何しはりますね!
<あれ?>
ルリ子<なぜ 出てこないの?>
千代:ご寮人さん もっぺん呼んでみたらどないだす?
ルリ子:あんさ~ん 出てきはなれ~!
千之助:あれれれれれれれれれれ~!
(拍手と笑い声)
千之助:私は加平衛殿ではございません。いつぞや 加平衛殿に助けていただいたヘビでございます にょろり。
<この人 いきなり何言いだすねん>
千之助:このままでは加平衛殿がかわいそうなので 加平衛殿の体を借りて 出てまいりました にょろり。ご寮人さん ねえ ご寮人さん。加平衛…。シャ~!
小山田:いやあ~!
千之助:すみません。私の大好物のヒキガエルのような顔をなさってた にょろり。ご寮人さん。加平衛殿は決して浮気などなさっておりませぬ。私は加平衛殿のようなすばらしいご亭主を見たことがございません。いま一度 加平衛殿をご覧あれ。仕事ができて優しくて この世のものとは思えない程の男前。
(笑い声)
千之助:そして何より 真面目で女房一筋。だから言います。わしは決して浮気…。「わし」言うてもた。
(笑い声)
千之助:「わし」言うてもた!ありゃりゃりゃ~!
(笑い声)
一平:(小声で)ルリ子さん!ルリ子さん! 手。
ルリ子:あっ…あんさ~ん 出てきはなれ~!
一平:あっ ご寮人さん…。
(笑い声)
千之助:わては いつぞや助けてもろた ウサギだす。
一平:旦さん! もう ごまかすのは無理だっせ!
千之助:無理かいな
一平:ご寮人さん。
♪
徳利:大笑いさしてから また強引に元の筋に戻したがな。
♪
ルリ子:やっぱり! この浮気者~!
一平:いたたたた!ご寮人さん そっち 私の手だす!
ルリ子:せやった こっちやな。
千之助:いたたたたたたた!久助 はよ逃げんかい お前!
一平:私は ちょっとも痛いことおまへんわ。
千之助:あ~いたたたたたた!もう こりごりや~!
(拍手)
みつえ:よっ 千之助!
ハナ:変わってまへんな な~んも。
(拍手)
●えびす座・楽屋
千代:やっぱり すごいな あの人は。
一平:せやなあ。けど 俺がやりたいのは あれやない。
ルリ子:何なの 今日のあれは。
小山田:台本も段取りも 稽古で決めたことと全然ちゃうやないかい!
香里:うち 出番飛ばされたんやけど。
徳利:いつものこっちゃ。昔から あれが千さんのやり方や。
小山田:ほな何か これからも毎回 あないな勝手なことされるてか。
香里:冗談じゃない。芝居を何だと思ってるの。
千之助:ほな 教えてくれや。芝居って何やねん。
香里:それは…。
千之助:喜劇はな お客さん笑かしてなんぼじゃ。お前らが い~っこも おもろないから わしが体張って笑かしたんや。感謝せえ。
天晴:千さん それぐらいで もう…。
香里:あの台本書いたんは あんたやろ! 面白ないんは あんたのせいやんか!
千之助:台本はただの見取り図や。台本がないからて 芝居できへんような役者は三流じゃい! いや ちゃうな。すまん。五流じゃ。
ルリ子:そこまで言われたら もうここにはいられないわね。明日からもどうぞ お一人でご自由にやったらいいわ。
千代:あっ ちょっ 待って高峰さん!ちょっと落ち着きましょ。
ルリ子:そうやって あっちにもこっちにもいい顔して誰かれ好かれようとする。あなたが一番嫌いだって言ったでしょ! やっぱり喜劇なんてやるんじゃなかった…。
●福富楽器店
一平:あ~せやさかい 言うたやん。言うたやろ 千さん入れたら えらいことなるて。せやのに あんたらが千さん千さん言うから しゃあない 俺が頭下げて来てもろたんや。見てみい 案の定や。
千代:けど 千之助さん いてはれへんかったら 今日の芝居 あこまでお客さん喜んでくれはったやろか。
香里:にしても あの言いぐさは ひどすぎるわ。高峰さんが出ていくのも無理あれへん。
小山田:ほんまやで。無礼にも程がある!
徳利:無礼なんは あんたらもおんなじやろ。
小山田:何?
徳利:バカにしてたやろ 千さんのことも喜劇のことも。
香里:別にバカになんか…。
徳利:確かに千さんは むちゃくちゃやけどな あんたらにでけんのか 須賀廼家千之助のおんなじことが。ハッ…なまはんかな気で来たんやったら 歌舞伎でも歌劇団でもさっさと帰れ。
千代:いや あきまへんて! あの 菊さん。
菊:何だす。
千代:高峰ルリ子さんて 福富のおなじみさんやったんだすわな。
菊:まあ そやな。
千代:あの人 劇団辞める言うて 出ていってしまいはったんだす。菊さんから戻るように 頼んでもらわれしまへんやろか。
菊:それでここに集まったんかいな。
千代:お願いだす。今 高峰さんに辞められたら お芝居続けられへん。そないなことになったら うちら 道頓堀追い出されてしまいますねん。
菊:お断りやな。何で うちがあんたらのためにそない面倒くさいことせなあかんねんな。ほんまにあの人のことが必要やねやったら あんたらが自分でお願いしに行くのが筋と違いますのか。
一平:菊さんの言いはるとおりや。明日 芝居始まる前に俺が高峰さん説得しに行く。
天晴:それしかないわな。
漆原:千代ちゃんも一緒に行き。
一平:えっ…。
千代:そら あかんわ、うち 何や分からへんねけど あの人からえらい嫌われてますねん。
天晴:せやさかい 行って謝んねやがな。
千代:何が悪いのかも分かれへんのに?
漆原:何でもええさかい とにかく謝り。
千代:そないなこと無理出す。
一平:来んかてええ。かえって足手まといや。
天晴:ボン…。
●道頓堀・街中
千代:東京でどれほどの女優さんか知らんけど 何でうちが理由も分かれへんのに 頭下げなあかんねんな。もう冗談やあれへん。…と言いたいとこやけど そうせな 芝居続けられへんし うちまた居場所がのうなってしまう。行くべきか行かざるべきか それが問題や。…って こて 高峰さんやんか!
シズ:何をブツブツ言うてはりますのや。
千代:すんまへん。何でもあれしません。
シズ:眉間にシワ 寄ってますで。あんた宛てに贈られてきたて さっき鶴亀の人が持ってきてくれはった。舞台初日のお祝いだすやろ。ちゃんとあんたのこと応援してくれてはるお人がいてんのやな。相手に笑てほしかったら まずは自分が笑とかな。なっ?
●岡安・住込部屋
千代:明日も晴れや。
(つづく)
●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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