【おちょやん】セリフ書き出し第10週46話|鶴亀家庭劇旗揚げのトリは手違い話。

朝ドラ【おちょやん】第10週46話、鶴亀家庭劇初興行のための稽古が始まった。 演目は手違い話。

主役の加平衛を演じるは千之助。手代の久助は一平。ご寮人さんは高峰ルリ子。芸子の美代香は石田香里。

医者の松庵は小山田で、女中のおきんは千代という配役で稽古を始めるのだったが、おのおのが勝手に演じてしまい、一平曰く

あかん!板の上は あんたらの芸 見せびらかすだけのとこと違う。きちんと台本どおりにやってくれな 筋も何もあったもんやあれへん。芝居がめちゃくちゃになる。ほな 続き。あみのと おきんが入ってくるとこから。

この言葉に千之助の目がギョロリ動いて不穏な雰囲気。おそらく本番では千之助は台本を無視するはずで明日に続くです。

【おちょやん】第10週46話セリフ書き出し

鶴蔵:この初興行 必ず成功させ。

一平:名前は…。みんなで力合わしてこの名に負けへん新しい喜劇を作っていきましょう。

鶴蔵:もし わしの期待裏切るようなことがあったらな 全員 二度と道頓堀の芝居には出させへん。

●鶴亀株式会社・稽古場

千之助:この台本 読まさせてもろたわ。おもろないんよな いっこも! 旗揚げのトリはこの台本でいく。

(OP)

天晴:あの 千さん?

千之助:旦さんと手代が泥棒に腕切り落とされるんや。ほいで 医者に治してもろたら 手が入れ代わってしもててな。せやから お互いが何かしよ思たら 相手の手が勝手に動いてしまいよるっちゅう話や。お客さんは見たいもん見はるだけや。あないなもん 喜劇ちゃう。お客さんにそっぽ向かれてしまいや。文句あんねやったら わし いつでも降りたるで。

千代:ちょちょちょちょ あっ あっ あっ あの…。やっとみんなそろたんやし 仲ようせなあかんて。あんたも座長やねさかい これくらいのことで いちいち目くじら…。

一平:よろしですよ。

千代:ええの?

一平:これぐらいのこと 覚悟の上や。よっしゃ そしたら 明日配役発表するさかい…。
千之助:もう決めたある。主役の加平衛はわしや。手代の久助は一平 お前や。あとはご寮人さんはあんた。芸子の美代香はがお前。ほいで医者の松庵があんたや。

天晴:いや そんだけでっか?

千之助:おう そんだけや。おお 女中がおったわい。女は…おちょやんしかおらんか。ほな お前でええわ。

千代:はあっ!?

天晴:いやいや わてらは?

千之助:お前らは 1本目と2本目の狂言で お客さん ええ具体にあっためてくれたらそれでええわ。

徳利:ちょっと…。

千之助:あとな 医者の付き人 ほいで泥棒 適当にお前らの中で決め。

天晴:千さん 大丈夫でっか?

千之助:何がや。

天晴:この手違い話 千さんと一平以外 喜劇やったことあれへんもんばっかりでっせ。

千之助:せやさかい おもろいんやろが。あの大山社長に選ばれた 優秀な役者さんですもんな。勉強さしていただきますわ。

千代:あの! うちもきちんと板の上で喜劇のお芝居すんのは初めてだす。小山田さん よろしゅうお願いいたします。

小山田:うん うんうんうん。わしはな 3つで初舞台踏んで以来 この道60年や。

千代:石田さんも一緒に頑張りましょね。

香里:鶴亀歌劇団で鍛えたこの歌声とダンス 存分に発揮さしてもらうわ~!

千代:わ~! 高峰さんも いろいろ教えておくれやすな。

ルリ子:気安く触らないで。私は喜劇なんてバカげた芝居はやりたくもないの。

百久利:バカげやたと?

ルリ子:これでも私は 花菱団で主役を張ったことのある女優よ。

おちょやん:花菱団て何や?

徳利:いや…。

漆原:確か 東京で有名な新派や。

ルリ子:しかたなく わざわざ東京から来てやったのよ。やるべきか やらざるべきか それが問題だ…。苦悩の末に私は自分の運命を受け入れようと覚悟を決めた。

(拍手)

千之助:こら楽しなりそうですなあ。

こうして それぞれが準備をして 数日後 いよいよ立ち稽古が始まりました。

一平:ほな 次の場いくで。えっと そしたら…じゃあ 下手から徳利にいさん。

それではここでもう少し詳しく この手違い話っちゅうお芝居がどんな話か ご説明いたしましょ。呉服屋の旦那さん加平衛と その手代 いわゆる使用人の久助が ある晩 泥棒に腕を切られてしまいます。

一平:うわ~!腕切られた~!

千之助:痛い痛い~。

徳利:逃がかい お前ら!

2人:うわ~!

徳利:待て~!

医者の松庵先生が大急ぎでくっつけたんですが 何せ一大事。慌ててしもて お互いの腕をあべこべに縫い付けてしまいました。そのせいで久助が右手を動かそうとすると加平衛の右腕が。その逆もしかり あべこべに動くようになってしもたんです。つまり こういうことやね。

千代:旦さん 右手上げてみておくれやす。あんたに言うてへん。ほな 久助 右手上げてみ。旦さんやのうて久助や。

…と こんな具合に お互いが動かそうとすると 相手の手が動いてしまうという けったいな話やなあ。

香里:旦さ~ん えらいご無沙汰やったこと~。

千之助:すまなんだなあ。

小山田:加平衛殿~!えらいこっちゃ~! えらいこっちゃ~!えらいこっちゃ~!

千之助:どないしましたんや そない慌てて。

一平:ご寮人さんが私手の動きを見て 旦さんが浮気してはんの分かってしもた。もうすぐ ここに乗り込んできはりまっせ。

千之助:そら大変やがな。

小山田:ここは わしに任せて お前は隠れ~と~け~! はっ はっ ば~ったり~!

一平:すいません ちょっと止めます。小山田さん これは大阪船場の医者です。見えは切らんといてください。

小山田:ここで切らな いつ切んねんな。

一平:どこも切ることありません。

小山田:若造 歌舞伎を愚弄する気か!

一平:そういうことやのうて…。

香里:おっちゃん あかんで。これは喜劇なんやから。なあ 座長さん。

一平:石田さんも セリフに勝手に節つけたらあかん。

香里:えっ…そやった?

千之助:えらいことやなあ 座長さんは。

千代:まっ…まあまあまあ ええやんか ちょっことぐらいな…。

一平:あかん!板の上は あんたらの芸 見せびらかすだけのとこと違う。きちんと台本どおりにやってくれな 筋も何もあったもんやあれへん。芝居がめちゃくちゃになる。ほな 続き。あみのと おきんが入ってくるとこから。

千代:よっしゃ! うちらの番やな。高峰さん よろしゅう。

一平:ほな よろしいですか。

千代:はい!

(三味線の音)

千代:ご寮人さん どうか落ち着いておくれやす。

ルリ子:うちの人がどこだす?どこにいてはりますのや。出しとくなはれ。

小山田:ご内儀。加平衛殿は ここへは~来ておらん。先刻帰った~はずやが~。

ルリ子:嘘言いはなれ。どこぞに隠れてるに違いない。おきん 奥見といで。

千代:承知しました。

ルリ子:ちょっと待って。何なの 今のは。

千代:どっか あかんかったんだすやろか?

ルリ子:あなた ちゃんと台本読んでるの?「承知しました」じゃなくて「承知いたしました」でしょ。台本を勝手に変えていいわけないでしょ。ねえ。

一平:あっ そ…そらそうや。なっ…。ほな 続きから。

千代:どいとくれやす。

一平:うわっ!

千代:けったいやなあ 開かしまへんわ。

ルリ子:そこに隠れてんのやな。あんさん 出てきはなれ!

一平:ご寮人さん 何しはりますのや。

千之助:痛い痛い痛い…。

ルリ子:やっぱり!この不貞者!

一平:痛い痛い痛い! ご寮人さん そっち私の手です。

ルリ子:そやった。こっちやな。

千之助(棒読みで)痛い痛い。久助 はよ逃げんかい。

一平:私は ちょっとも痛いことあれしまへん。

千之助:痛い痛い。もう堪忍して。

徳利:たっ!

小山田:歌舞伎と比べたら喜劇のなんと単調なこと。

香里:うちも もっと歌たり踊ったりしたいのに。

小山田:千之助も あの万太郎と組んでたいうから  どれほどの役者か思たけどな。

ルリ子:所詮 喜劇なんてその程度のものでしょ。

百久利:お前ら 千さんのこと何も知らんくせに!

徳利:やめとけ。あんたらも じき思い知るわ。

千代:はいはいはい! もうそこまで!皆さん 仲ようしとくはなれ。そや 高峰さん うち今日びっくりしました。たったの数日で相手のセリフまで完璧に覚えてはるし 上方の言葉 あない上手にしゃべりはるやなんて。やっぱり才能のある女優さんは違いますなあ。すごいわあ。

ルリ子:才能? これだから活動写真出は…。私はあなたみたいな女優が一番嫌いなの。

<はっ? 何で? うちが何したっちゅうねん>

●岡安・茶の間
 
宗助:うまいこといかんもんやなあ。やっと千之助はんも戻ってきはって これからや思たのに。

千代:ほんまだすわ。特に高峰さんいう方は なかなか手ごわおます。

ハナ:そない嫌われるなんてなあ。千代 一体 何したんや。

千代:それさっぱり分かれへんのだす。

みつえ:どうせまた いらんこと言うたんと違うか。あなた 口が達者な分 たまに無神経なとこあるさかいな。

シズ:高峰ルリ子さんな どうせけったいなお人なんやろ。

千代:ご寮人さん 知ってはりますの?

シズ:会うたことはあれへん。けど確か あのお人が道頓堀でやりはる時には 福富の世話になってたはずだす。菊なんぞの ごひいきさんや。どうせ大した役者やあれしまへん。よろしいか 千代。絶対負けたらあきまへんで。

千代:ええ!

●岡安・台所

千代:ご寮人さんの福富嫌いは 相変わらずだすなあ。

かめ:昔っからの商売敵やさかな。

千代:けど もうそやあれへんのに。

かめ:まあ いろいろあんねやろ。はい 持っていき。

千代:えっ? うちが?

●岡安・一平の居候部屋

千代:一平 お握り持ってきたで。

一平:何か用か。

千代:お握り。ちゃんと食べなあかんで。

一平:置いといで。

千代:はい。なあ。あないな稽古で うまいこといくねやろか。

一平:あの新しいに入った3人が多少 わがまま言うたとこで どないかなるわ。ほんまに問題なんは…千さんや。

(つづく)

●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。

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