朝ドラ【おちょやん】第9週44話、旧天海一座の4人が揃い、いいよ千之助を劇団に引っ張り込もうと期待した矢先に一平が漆原に女形は辞めて男の役をやってほしいと言い出し…。
一平の目指す新しい喜劇とは
正直 俺にもまだよう分からへん。ただ大笑いして小屋出たら忘れられてしまうような芝居とは違う。お客さんがな みんな自分のことのように笑て泣いて明日も頑張ろて思てもらえるような…。歌舞伎やシェークスピアみたいに 何べんも上演されて10年後も50年後も忘れられへん そないな喜劇を俺は作りたいんや。
女形としてのプライドを傷つけれた漆原は一座を去ろうとするが、女形仲間が偽物呼ばわりされたことに腹を立てて一平に難癖。
一触即発の最中、一平がさらに漆原を挑発。
あんたはもう時代遅れのお払い箱や。なんぼでも言うたるわ!あんたはもう用済みなんや!
ということで、明日につづくです。
【おちょやん】第9週44話セリフ書き出し
●鶴亀株式会社・稽古場
一平:漆原さん…あなたには辞めてもらいます。
(OP)
一平:俺の作る喜劇に女形は出しません。
漆原:何でや。
一平:女の役は女の人に演じてもらいたいんです。
徳利:えっ…ちょっと待ちて ボン。
天晴:わてらが離れようとした時かて 要二郎だけはボンのそばにずっとおったんやで。前みたいに一緒にやったらええやないか。
一平:あかん。前とおんなじやったらあかんのです。須賀廼家千之助なしでも 万太郎一座と渡り合えるぐらいの新しい喜劇を作りたいんや。
千代:何やの その新しい喜劇て。
一平:正直 俺にもまだよう分からへん。ただ大笑いして小屋出たら忘れられてしまうような芝居とは違う。お客さんがな みんな自分のことのように笑て泣いて明日も頑張ろて思てもらえるような…。歌舞伎やシェークスピアみたいに 何べんも上演されて10年後も50年後も忘れられへん そないな喜劇を俺は作りたいんや。
漆原:私は それには邪魔者やて?
天晴:そないなことあれへんて。歌舞伎かて新派かて それこそ喜劇かて男が女の役を演じんのなんか 昔から当たり前のことやろが。
一平:俺はその常識を変えたい思てます。
天晴:ボン。
一平:芝居見てる人が「ああ これは自分のことや」と思てもらいたいんや。作りもんの芝居を本物にするには 女の役は女の人が演じなあかんのです。
漆原:女形は偽物ちゅうことか…。
一平:漆原さん…男の役をやってもらえませんか。
漆原:ボンもむちゃ言いはるわ…。ええかげんにしいや 若造!
千代:漆原さん!
漆原:来んといて! こないな顔 見られとうない。
(戸の開閉音)
●道頓堀・街中
(一平の鼻歌)
<ほんま こいつは…。この男は ほんまに…>
(一平の鼻歌)
千代:つらいくせに 鼻歌なんか歌うな!
一平:鼻歌は つらい時に歌うもんやろ。歌てるうちに元気になる。喜劇と一緒や。
菊:ちょっと あんたら こないなとこで立ち話してたら商いの邪魔や。
千代:すんまへんだした。
菊:中で話しい。
千代:えっ?
菊:おいで。
千代:えっ えっ…何でだす?
菊:ええから おいでって。
千代:何でだす?
菊:あんた 力強いな。ええから ほら。
千代:一平。
菊:ちょっと あんたも来ぃ。
千代:えっ ちょっと待っとくはなれ。
菊:何?
千代:行かれしまへん。
●福富楽器店
椿:コーヒーとミルクセーキ。お待っとおさん。
菊:毎度おおきに。
福松:ごゆっくり~。
(トランペットの音)
<あほか うちは。こないな時に何でのんびりミルクセーキ飲んでんねん。しかもこいつと…。ん? これ おいしいわ>
一平:ご寮人さんがな 言うてはったわ。岡安の台所気にして 富士子さんが辞めよとしたみたいなんやけどな。
(回想)
シズ:あんたらに辞めてもらうかどうかなんてな とうの昔に考えました。せやけどな あんたらの面倒見られへんようなる時は岡安ののれん 下ろす時だす。そない決めました。この岡安は わてがみとる。せやさかい あんたらには最後までつきおうてもらいます。
富士子:へえ。
シズ:おおきに。
(回想閉じ)
一平:覚悟決めてはった。強い人やなあ あの人は。 俺は新しい喜劇を作るっちゅう夢をかなえたい。そのために漆原さんを切ったんや。ご寮人さんとはまるで逆や。
千代:覚悟決めたんは同じやろ。
一平:どないしよ。
千代:知らんわ!
(ドアが開く音)
菊:おいでやす。
椿:おいでやす。
福松:毎度。
(トランペットの音)
福松:待ってましたんや 待ってましたんや。
椿:どうぞ ご案内します。どうぞ。どうぞ どうぞ。
●えびす座・楽屋
ほんまに出ていくんか 道頓堀。
そないな あほ座長の言うこと 真に受けることあらへん。うちらを使てくれる劇団はほかになんぼでもある。何やったら うっとこ おいで。
そやそや。
漆原:おおきに。けどな あの人ら以外と芝居する気なられへん。もう店じまいや。
●居酒屋「水月」
(回想 20年前)
千之助:ピギ~!
(皿が割れる音)
万太郎:まるで戦争や~!
千之助:ピギ~!
(皿が割れる音)
2人:ピギ~!
(皿が割れる音)
(拍手と笑い声)
一同:万歳!万歳!万歳!万歳!
新聞の見出し「須賀廼家兄弟劇が大活躍」
万太郎:お前はもう必要ない。須賀廼家兄弟は幕引きや。
♪
客:万太郎とやり合うたんですて。
客:だいぶ天狗になっとったからな 鼻っ柱へし折られて 見られたもんやないわ。
客:もう誰も相手にせえへんやろ。万太郎 敵に回したないよってな。
客:終わりましたな 千之助も。
千之助:おのれら…。
天海:あんたが 千之助はん?
千之助:何や お前。
天海:わしを笑かしてみい。
千之助:ああ?
天海:笑かしてくれ。
(舌打ち)
千之助:冷やかしかい。どっか行け。邪魔くさいのう お前 コラ! わあ~!
(店内が大きく揺れる音)
天海:地震や!大事ない。これぐらい すぐ収まるわい。
女将:うち 地震あかんねん~!
千之助:おい 女将。
女将:へえ。
千之助:こうやれ こうやれ。
女将:えっ 何で…。
千之助:揺れての分かれへんから。
女将:ほんまか?
天海:こらええな。女将もやれ ハハハハハハ。 ほんまや。
千之助:どや 揺れてへん。
女将:ほんまや。全然分かれへんわ、…て もう収まってるやないの。
千之助:ハハハハハハハ!
女将:かなんなあ 千さん。
千之助:また揺れた時 忘れんな。
女将:そやけど おおきにな。
天海:わしは天海天海申します。
千之助:て…。
天海:わしと一緒に喜劇やってもらわれしまへんやろか。
千之助:えっ…。
天海:一緒にやれへんか。万太郎一座を超える 道頓堀一 いや日本一の喜劇一座を。
♪
万太郎:おまはんも 運のない男やなあ。いつでも うっとこに戻ってきてもよろしおまっせ。
♪
一平:父上~!父上~! 父上~!
♪
一平:笑いとれたら 何でもよろしいんですか。
千之助:お前は何者じゃ。ああ?
(回想閉じ)
千之助:確かに 今のわしがあんのは あんたのおかげや。けど 息子の面倒まで見きれるかいな。
♪
千之助:あんたとはな…。うっ…。もうちょっと一緒に芝居したかったわ。
回想・天海:わしを笑かしてみい。
●道頓堀・街中
天晴と徳利:ボン!
千代:一平!一平!
天晴と徳利:ボン!ボン!
漆原:何してんの?
千代:漆原さん!
天晴と徳利:おお~!おう おう おう!
漆原:なんや みんな 血相変えて。
徳利:ボン 見ませんでした?
漆原:ボン?いや…。
天晴:もう どこ行ってんな。
漆原:ボン どないかしたんか?
●道頓堀・堀端
女形:あんた 私らのこと 偽物呼ばわりしてくれたんやてな。
女形:この喜劇役者風情が。
女形:あばらの2~3本でも折れたら ちょっとは漆原の胸の痛みっちゅうもんが分かるっちゅうもんやろ!
漆原:やめてえな あんたら!
女形:何で止めんねんな。あなた悔しないんか。
漆原:そら悔しいけど こないなことしたかてしゃあないやろ。
一平:フッ…。何やねん どいつもこいつも むさ苦しい顔して。女形が利いてあきれるわ。
女形:何やて。
漆原:ボン やめとき!
一平:これからの芝居に 女形はいらんのや。あんた そもそも歌舞伎でものになれへんかったさかい喜劇に来たんやろ。
漆原:そやない…。喜劇やりたかったんや。好きやったんや!
一平:言うたやろ…俺は新しい喜劇を作るて。これからはどんどん女優が活躍するようになる。
天晴:ボン!
一平:あんたはもう時代遅れのお払い箱や。
漆原:もういっぺん言うてみい、クソッタレが!
一平:なんぼでも言うたるわ!あんたはもう用済みなんや!
漆原:うう~っ!
(つづく)
●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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