朝ドラ【おちょやん】第9週41話、昭和3年の夏、4年ぶりに道頓堀に戻ってきた千代は岡安に身を寄せることにあり、ご寮人さんのシズに挨拶。
千代:ご寮人さん…あん時は父がほんまに えらいご迷惑をおかけしてしまいました。用立てていただいた分 すぐにでもお返しせなあかんのだすけど…。
シズ:勘違いしたらあきまへん。あれは わてだけやのて 道頓堀のみんなが出し合うてくれはったもんだす。あんたはこの街のみんなに借りを返さなあかん。ええ役者になってな。ええ芝居しはなれ! ここは芝居の街だす。それ以上の恩返しはあれしまへん。
千代:はい。おおきに ありがとうございます。せやけど…。ええ芝居するだけやったらあかんのだす。主役張るくらいの女優になってようけ稼いで必ずお金お返しさしてもらいます。そして、新しい喜劇の一座を作るために集められた役者たちの初めての顔合わせ。
そこにはかつての天海一座の面々と、元歌舞伎役者の小谷田、元鶴亀歌劇団で今で言うところのアイドル出身・石田香里、そして東京新派劇の名門花菱団 元トップ女優の高峰ルリ子の姿があったが…。
一平が座長と発表されるやいなや、千之助がいないとダメだと出て行ってしまう元天海一座の面々ということで、明日からルリ子を演じる元宝塚の明日海りおさんに注目が集まることは間違いなしです。
【おちょやん】第9週41話セリフ書き出し
鶴蔵:君にはこれから道頓堀へ行ってもらう。
千代:えっ…。
鶴蔵:新しい喜劇の一座 作ることになった。君には舞台女優としてその劇団に入ってもらう。
大山鶴蔵社長の鶴の一声で 千代ちゃんは鶴亀撮影所から道頓堀へ戻ることになったのです。
●道頓堀・街中
東西東西!
千代ちゃん…千代ちゃんやがな!
千代:ご無沙汰しております。
千代ちゃん! 映画見たで!
千代:おっちゃん おおきに。
4年ぶりの道頓堀です。
小次郎:これはこれは 大女優のお帰りや。
千代ちゃんや~!
千代ちゃ~ん!
(拍手と笑い声)
千代:ただいま。
●福富楽器店前
福助:あっ お前…。
千代:福富のボン!
福助:久しぶりやなあ。岡安の…。名前 何やったかな?
千代:千代や 千代!
福助:千代や 千代!
みつけ:千代!
千代:みつえちゃんや~!
みつえ:ちゃう!「みつえちゃん」ちゃう。みつえや。
千代:福助! ここが福富やの?
福助:そや。楽器は舶来の一級品。楽譜もレコードも扱うて 大阪中の音楽好きが集まってくんねんで。一念発起。お父ちゃんと2人でお母ちゃん説き伏せたんや。このまま芝居茶屋続けても時代に取り残されるだけや言うてな。
♪
菊:よろしおますか あんさん。これからはジャズ…ジャズだっせ。レコード聴いていきはなれ。うちんとこな コーヒーも飲めるさかい、椿 ご案内して。
椿:へえ!
菊:あんさん コーヒー一丁。
福松:はいな。
椿:どうぞ こちら お座りやす。
菊:おいでやす。
椿:おいでやす。
♪
福助:僕らに商売任しとかれへん言うて 今ではすっかりあの調子や。
千代:相変わらず ご寮人さん同士は犬猿の仲だすか。
千代ちゃんは またこの岡安に身を寄せることになりました。
●岡安
節子:ほんまに千代が帰ってきた。
富士子:久しぶりやなあ 千代。
玉:千代ちゃん 元気やった?
かめ:相変わらず ちっちゃいなあ。ちゃんと ごはん食べてたんかいな?
千代:おかげさんで どないかこないかやってました。
宗助:千代!
千代:旦さん お家さん すっかりご無沙汰してしもて すんまへんでした。
ハナ:千代!わての言うことを聞いて よう役者になりはった。見上げた心意気や!
(笑い声)
みつえ:どないしたん?
宗助:いや けったいやなあ 何でやろ…。何や いっこも懐かしいことあらへん。
みつえ:お父ちゃん 千代の出てる映画 見まくってたやないの。しかも おんなじの2回も3回も。そら 懐かしいことあれへんわ。
宗助:損した気分やなあ。
千代:おおきに 旦さん。
(笑い声)
千代:ご寮人さんは?
富士子:あ~清水家の旦那さんに呼ばれてな。
●清水家
(せきばらい)
旦那:毎年 世話になってた組見やけど 今年からなしになったんや。すまんな 女将。
シズ:いいや…。今まで岡安をごひいきにしてもろて ほんま おおきに。感謝申し上げます。
●福富楽器店
福助:このレコードがジャズのレコードや。ほんで これがトランペットや。音 吹いたる。
(トランペットの音)
福助:どや ええ音やろ。
椿:ええ音やわ。
<<福助:ほんま楽しいで。
<<菊:これからはジャズやしな。
<<福助:かっこええやろ。
●岡安・台所
節子:高瀬百々之助と話 したことある?
千代:そらまあ 共演してましたさかい。
節子:ええなあ。
かめ:どこが? 今は断然 市川妻五郎や。
節子:それこそ あれへんわ。誰が何と言おうと 百様や。
かめ:妻様や。
節子:目玉の百様や。
かめ:ひょろりの妻様や。
玉:うちはな 音様 音様。
富士子:音様!?
かめ:妻様に決まってるやろ!
玉:音様は?
千代:音様も会うたことあります。
富士子:ほんまに?
シズ:あんたら 店の中で何騒いでますのや。
節子:千代 また後でな。
♪
シズ:お帰り。
千代:ただいま帰りました。
●岡安・帳場
シズ:前 使うてた部屋 好きに使いなはれ。今は お玉も通いやさかい。
千代:ほんまによろしいんだすか?うちは もうお茶子やあれへんのに。
シズ:ここは あんたの家だす。
千代:ご寮人さん…あん時は父がほんまに えらいご迷惑をおかけしてしまいました。用立てていただいた分 すぐにでもお返しせなあかんのだすけど…。
シズ:勘違いしたらあきまへん。あれは わてだけやのて 道頓堀のみんなが出し合うてくれはったもんだす。あんたはこの街のみんなに借りを返さなあかん。ええ役者になってな。ええ芝居しはなれ! ここは芝居の街だす。それ以上の恩返しはあれしまへん。
千代:はい。おおきに ありがとうございます。せやけど…。ええ芝居するだけやったらあかんのだす。主役張るくらいの女優になってようけ稼いで必ずお金お返しさしてもらいます。
シズ:新しい一座は どないだす?
千代:まだ うちもよう分かれへんのだす。鶴亀の社長さんからなんしか行け言われて。けど そのおかげでここに戻ってこられました。道頓堀はいろいろ様変わりしたようだすけど 岡安は何も変わってまへん。
シズ:岡安はずっとこのままや。安心し。
千代:はい。ほな。
●岡安・住込部屋
千代:お母ちゃん…うち もっともっと有名になって必ずヨシヲを捜し出したるさかいな。
そして その日の夕方…。
●鶴亀株式会社・稽古場
香里:ま~ま~ま~。
鶴亀の大山社長に集められた役者たちが初めて顔を合わせました。
香里:ま~ ま~。まっまっまっ まっまっまっ。
徳利:うわっ! おちょやんやないか!
千代:徳利さん!
天晴:千代ちゃん!
千代:あ~天晴さん 漆原さん。
天晴:役者なったいうのはほんまやったんやなあ。
千代:はい。
覚えてはりますか?この人たちは元天海一座の役者さんたち。雨男やのに天晴さんと ビール好きのくせに徳利さん 男やけど女形の漆原さん。それから…誰やったかな?
天晴:有名な女優さん。
千代:そんなん ちゃいますて。
ルリ子:映画 映画 映画…。あっ…あんなものはお芝居とは違いますわね。
香里:役者のほんまの力が試されるのは 舞台の上でどんだけ歌って踊れるかよ。
漆原:醜いわねえ 女のひがみって。
涙子:どういう意味かしら?
漆原:あんたね ちょっと こっち見たらどない。
♪
熊田:え~この度 大山社長よりこの新しい劇団を任された鶴亀の熊田です。まずはこの劇団の座長を紹介します。まあ 君らには紹介するまでもあれへんけどな 初めてのもんもおるやろ。挨拶やし。
一平:天海一平です。よろしゅう。
百久利:ちょっと待ってください。千之助さんはどないしはったんですか?俺はてっきり 千之助さんが座長になるもんやとばっかり。
回想・千之助:お前は何者じゃ。ああ?
熊田:一平を座長にするのは大山社長のご意向や。もちろん千之助さんにも声はかけた。せやけど 来えへんかったっちゅうことはそういうことや。
百久利:俺は千之助さんがおるいうから来たんや。辞めさしてもらいます。
熊田:おい そんな勝手…。
一平:辞めたいやつは 辞めたらええ。無理強いしても ええもんは作れません。
徳利:すまんけど 俺も抜けさしてもらうわ。
千代:徳利さん!?
徳利:無理や。千さんいてへんかったら客は呼べん。そのことを誰よりも思い知ったんは俺らやないかい。行くで 百久利。
天晴:わても行くわ。
千代:えっ 天晴さんまで…。ちょっこと落ち着きましょ。
天晴:天海一座がのうなってから あちこちで頭下げてどないかして芝居続けてきたけど…今やっと 役者辞める決心ついたわ。すまんな。
千代:ちょっ 天晴さん…。天晴さん!
天晴:堪忍。
千代:何 涼しい顔してんの!はよ引き止め!
波乱の幕開けやなあ…。いや幕も開けへんな これは。
(つづく)
●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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