朝ドラ【おちょやん】第1週3話、栗子を連れ戻したテルヲだったが、生活費のことを千代から問われ、ついに流星丸を売ることに。
歩いて1時間程の小さな町にある峰岸社長の大きな屋敷。そこで観賞用の鶏の品評会が行われており、テルヲと千代は順番を待っているが…。
流星丸を一瞥しただけで、従業員が「次!」と声を出して却下。この対応に見る目がないと声を出した千代の演説が始まり、その手には母親の形見であるガラス玉。
それを見た峰岸は「お前…サエの子か?」と。
千代の亡くなった母親サエは、千代と同じ年頃から峰岸のガラス工場に奉公していて、16の時に工場を辞めて久しく顔を出さなかったが、亡くなる直前に峰岸を訪ねて娘のためにとそのガラス玉を買っていったと。
その縁を感じて流星丸を買ってくれた峰岸だった。そしてその頃、留守番をしているはずのヨシヲが山の中で足を滑らせて…、という展開で明日に続くです。
【おちょやん】第1週3話セリフ書き出し
●小林家
辰夫:まだ戻ってきやぃんのか?
テルヲが栗子を連れ戻すために出て行ったきり もう10日です。千代ちゃん 結局まだ学校行かれへん。
辰夫:戻てきよったら おっちゃんがきつう お灸据えたるさけ。
千代:ガツンと言うたって。
辰夫:おう。
千代:おう。
辰夫:おう。
きみ:そのおなごも おなごやど。ひょっとしたら もう戻てきやぃんのとちゃうけ?
千代:いいや 三味線 置きっ放しやし。あの女 初めから戻るつもりや。ただ うちを困らすために出ていきよったんや。
辰夫:はあ~おっとろしい女やのう。
千代:なあ。
それを見透かしてる千代ちゃんも大概 末恐ろしいけどな。
勝次:ただいま。
辰夫:おう お帰り。
きみ:お帰り。
勝次:千代 これ今日の宿題。
千代:おおけに。
勝次:先生に頼まれただけや。
千代:何や 答え買いとれぃんやんけ ほら。
勝次:何で わいがやらなあかんねん。宿題は自分でやらな 役に立てぃんやろが。
千代:心配いらん。このままやったら うちの人生間違いのう お先真っ暗や。明日 どねなるかも分かれぃんのに先のことなんか考えても無駄や。
(ため息)
千代:ほんま 生きるてしんどいな。そう思わへんけ?
●竹井家
翌日 2人がやっと戻ってきました。
テルヲ:どや べっぴんやろ。羨ましいか?
辰夫:あ…あほ!
栗子:この度 こちらに嫁いでまいりました栗子と申します。
(唾を飲み込む音)
辰夫:(裏声で)隣…。
(せきばらい)
辰夫:隣の小林です。
栗子:こねな田舎暮らし思てもみやぃんことで お力お借りすることもありますやろけど どうぞ末永う よろしいにお頼申します。
辰夫:あっ…そ…そらもう 困ったことがあったらいつ何時でも言うてきて。
千代:おっちゃん!
辰夫:ん? あっ…そや ほな 去ぬわ。
千代:はあ?
テルヲ:おう 愛想なかったのう。
千代:はっ?
辰夫:さいなら。
千代:ちょ…ちょ…。
テルヲ:おう さいなら。
千代:ちょっと おっちゃん!
テルヲ:あいつ 絶対悔しがっとる。わいの勝ちや。へへ。
千代:何の勝負やねん。
テルヲ:おい 千代! お前 栗子お母ちゃんに謝れ。お前 栗ちゃんにひどいこと言うたそやないけ。お父ちゃんが一生懸命 何べんも詫び言うて やっと許してもうたんや。感謝さらせ。
千代:今度はどねな約束しさらしたんや?おおかた何かうまいもん食わしたるとか。
テルヲ:せやねん せやねん。うなぎやろ それからすき焼き…。何で知っとんねん お前それ。
栗子:うちはええて言うたんや。けどテルヲさんがどねしてもて言うよって。
テルヲ:アハハハ…。
千代:あほ! うなぎ買う銭 どこにあんねん! ミミズでも食うとけ!
テルヲ:銭やったらある。
千代:はあ?
(鶏の鳴き声)
テルヲ:ついにこの時が来たわ。
●街中
千代ちゃんとテルヲは 歩いて1時間程の小さな町にやって来ました。
千代:どこもええ匂いや。うち もうあかん。おなか減って気ぃ失う。
テルヲ:今は我慢せえ。後で好きなだけ食わしたる。
千代:お父ちゃん…。
テルヲ:えっ?
千代:こいつ ほんまに高う売れんのけ?
テルヲ:お父ちゃんを信じぃ。こいつはな ただの鶏やあれぃん。ほれ見てみ。何や珍しい品種でな この美しゅうて 長~い鳴き声が何や 物好きの間でどえらい人気らしいわ。
●竹井家
(栗子を見つめるヨシヲ)
栗子:何見てんねん。いやらし。
●峰岸家・庭
従業員:次!
ここは町で大きなガラス工場を経営している峰岸社長のお屋敷です。今日はここで観賞用の鶏の品評会が開かれております。
千代:うわあ…何や分かれぃんけど ものすごいな。流星丸が貧相に見えるわ。
テルヲ:だ…だだだ大丈夫や 大丈夫や。
村人:社長 どないです?ここまでのもんはなかなかおまへんで。
峰岸:あきまへんな。
従業員:次!
♪
従業員:次!
テルヲ:おい! おい! おいちょっと待て おい!
(騒ぐ声)
テルヲ:いや すんません。社長はん もうちょっとよう見てもらわな うちの流星丸の
よさは分からへんで。
峰岸:鶏冠の大きさ 色 形 どれも並。羽の色艶もさほどええことない。素人が育てるとな あななんねや。なあ。
テルヲ:いやいや…まだ鳴き声 聞いとらへんがな。
峰岸:長鳴きかい。鳴かしてみい。
テルヲ:よう聞いといてや。さあ 流星丸…鳴け。鳴け。あれ…。今日は慣れんとこでちょっこと硬なってんのやろか? なあ。あっ せや 千代 お前 鳴け。
千代:はっ? はっ? 何言うてんねん。
テルヲ:つられて 流星丸も鳴くはずや。
千代:嫌や そね恥ずかしこと ようしやんわ。
テルヲ:何でも好きなもん食わしたる。
千代:コケコッコー。
テルヲ:聞こえるか!
千代:コケコッコー!
テルヲ:もっぺんや!もっと流星丸の気持ちになれ!
千代:コケコッコー!
峰岸:おいおい。おいおいおい。おい。もうええ。わしも忙しいんや。
従業員:次!
(騒ぐ声)
千代:あの…。ほんまにええのやろか?
峰岸:はっ?
千代:この子 鳴き声だけはほんまにすごいんやで。何でか知りたい?
峰岸:何でや。
千代:うっとこ 貧乏やさけ まともに餌やられやぃんねん。せやさけ この子はいつもおなか減ったって大声で鳴いとんねん。この子の鳴き声は生きるための鳴き声やさけ。せやのにな 見た目だけで判断するやて ガラス工場の社長や何や分かれぃんけど おっちゃんの目は曇りガラスやな。
峰岸:このコマンジャコ ちこっと言うてくれるやないか。
千代:ええもん見したるわ。どや きれいやろ。お母ちゃんの形見やねん。おっちゃんの工場でもこねなん作ったらええのに。
従業員:社長。
峰岸:見せて 見せて。はあ~…。お前…サエの子か?
テルヲ:社長…サエのこと知っとんのけ?
峰岸:知っとるも何も あの子はな ちょうどあんたと同じぐらいの頃は うちで奉公しとったんや。一生懸命働く子やったわ。16かそこらに辞めたあとは しばらく顔見せんかったけどな…。亡うなるちょっと前辺りにひょっこり現れて このガラス玉買うて帰りよったんや。娘にやる言うてな。お月さんに似た珍し色のガラス玉やったさけ よう覚えとる。そうか…お前 サエの子か。
●だんご屋
千代:おおけに。
テルヲ:ええんけ それだけで。
千代:残りは帰ってからよばれる。ヨシヲも楽しみにしとるさけ。勝次にもこの前貰た分 返さな。
テルヲ:せやな。たんとあるしな。
回想・峰岸:これも何かの縁や。なあ。流星丸 買わしてもらおかい。
千代:お母ちゃんのおかげやな。
テルヲ:そねやな。さっ 行くで。
千代:なあ お父ちゃんはお母ちゃんのこと もう好きやないんけ?
テルヲ:ん? 好きやない。…って言わんとな 栗ちゃんにどつかれんなん。
千代:情けな。あねな女のどこがええねん。何もせんと 遊んでゴロゴロしてばっかりやないけ。お母ちゃんとはまるで違う。
テルヲ:せやろ。せやさけ ほれたんや。似ててみ 思い出してしまうやないけ。あっ せや!お母ちゃんのお墓にお供え持っていこけ。今日のお礼しやんとな。
千代:今から?
テルヲ:栗ちゃんには内緒やで。よっしゃ 走るぞ~!暗なったらお墓にお化け出るど~!
千代:え~嫌や! ちょっと待ってえや! 速いって! お父ちゃん ゆっくり!
●山道
(雷鳴)
ヨシヲ:姉やん…。
(足を滑らせる音)
(雨音と雷鳴)
(つづく)
●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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