朝ドラ【おちょやん】第6週28話、山村千鳥一座の新作演目「正チャンの冒険」、その公演初日の前日に主役を演じるはずだった清子が足をくじいてしまい、千代がその代役をすることになるのだったが…。
初歩の初歩である腹式発声ができない千代の酷さは目に余るものがあり、シゲ曰く「こんなんでは芝居になれへん」。
皆が帰った後も千代は一人で稽古していると、千鳥がやってきて大福を食べながら高みの見物。
しかし、そこは根っからの役者ということで、千代の指導に乗り出す千鳥。その晩、千代のケツを叩きながらも必死の稽古が続いて翌朝、「正チャンの冒険」初日を迎えるのだった。
客席には「キネマ」の面々がずらりと並び、いよいよ始まった「正チャンの冒険」。
「ネズミ3」の端役だと思っていた千代が主役を演じていて、真理曰く「いくそったね」※純子さんの解説で「びっくりしたってこと」。
劇も終盤、短剣を忘れた千代はアドリブで芝居の筋を変えて…
今までつらいことばっかりやったかも分かれへんけど 大丈夫 だんない。きっとこれからはええこともぎょうさんある。せやさかい…みんな一緒に楽しい冒険つづけよう!
こうして千代ちゃんの初舞台はどうにか無事に幕を下ろすことができました。で、明日に続くです。
【おちょやん】第6週28話セリフ書き出し
●新京極・三楽劇場
清子:千代… 正チャン…あんたやって。
千代:えっ!?
千鳥:冷静になりなさい。千代は初舞台なのよ。主役なんかできるわけないでしょう!
清子:政府さえ間違えんと言えたらなんとかなります。
千鳥:今日一日しか稽古できないのよ!
清子:そやからこそ 今 セリフ覚えてる千代にしかこの役はでけへんのです。
千鳥:はっきりお言いなさい。恥ずかしい思いするのはあなたなんだから。
(回想)
通行人のおっちゃん:うちの孫が好きやねん。見に行かしてもらうわ。
通行人のおばちゃん:楽しみにしてるえ。
(回想閉じ)
千代:自信あれしまへん。
千鳥:当然よ。
千代:けど…気張らしてもらいます。
千鳥:芝居甘く見るのもいいかげんにしなさい!
千代」甘うなんか見てしまへん! うちかてこれまで道頓堀で舞台の表と裏見てきて どんんだけ自分がむちゃなこと言うてんのか分かってるつもりだす!けど どないしてもこの芝居やりたいんだす!みんなに見てもらいたいんだす!うちにやらしとくなはれ!
千鳥:勝手にしたら。
♪
清子:とにかく今は悩んでる暇なんかあれへん。稽古しよ!
一同:はい!
千代:はい!
♪
艶子:誰か! 誰か助けて~!誰か~!
シゲ:ハハハハハハハ!騒ぐんじゃない。
♪
千代:大変だ~!リス君 お姫様を助けに行こう。
美鈴:待って 正チャン 相手は恐ろしい山賊だよ。
千代:大丈夫。力を合わせれば何だってできるさ!
(手をたたく音)
清子:はい 一旦 止めます。
♪
清子:千代 もっぺん今のところ やってみて。
千代:はい。大変だ~!リス君 お姫様を助けに行こう。
美鈴:待って 正チャン 相手は恐ろしい山賊だよ。
千代:大丈夫。力を合わせれば何だってできるさ!
美鈴:力を合わせるって言ったって 僕と正チャンしかいないじゃないか。
千代:僕にいい考えがある。
清子:聞こえへん。
(手をたたく音)
清子:一旦 止めます。芝居小屋では思てるよりも声が吸われて消えてしまう。これでお客さん入ったらますます聞こえんようになんねん。
千代:もっと大きい声でやってみます。
清子:大声出すだけやったらあかん。おなかから息吐きながら体に響かせるような声 出さな。
美鈴:腹式発声いうてな おなかから声出すんは初歩の初歩やで。
千代:やってみます。
♪
清子:もっぺん やってみて。
千代:ネズミさ~ん! どうか僕たちに力を貸して!
清子:もっぺん。
千代:ネズミさ~ん!
美鈴:あかん…叫んでるだけや。力入ってしもて カタイカタイわ。
シゲ:はあ…こんなんでは芝居になれへん。
清子:ちょっと休も。
その日 稽古は夜遅うまで続きました。けど千代ちゃんはなかなかうまいことできません。そらそうや。みんなが帰ったあとも 千代ちゃんは一人残って稽古を続けました。
千代:助けに参りました。山賊が戻ってくる前に早くここから逃げましょう。あかん…一人でやってても ええか悪いか分かれへん。
千鳥:こんなことだろうと思ったわ。
千代:千鳥さん 来てくれはったんだすか? それ うちのために。
千鳥:…なわけないでしょう。言ったでしょ。あなたの困った顔を見るのが楽しみだって。気にせず続けて。
千代:教えに来てくれはったんやあれへんのだすか?
千鳥:何で私がそんなことしなくちゃならないの。それ その顔。
千代:ほんでもええ。笑われても 誰かに見ててもらえる方がやりがいがあります。よろしゅうお頼申します。ふう~。お姫様 助けに参りました。山賊が戻って来る前に早くここから逃げましょう。
千鳥:ひどいとは思ってたけど予想以上ね。
千代:ネズミさ~ん!どうか僕たちに力を貸して!一緒に悪い山賊をやっつけよう!山の神様がくれた この聖…。
(せきばらい)
千代:聖なる短剣でお前をやっつけてやる!山の神様がくれたこの聖なる短剣でお前をやっつけてやる~!必ずお姫様を守…。かなら…必ず 必ず…必ずお姫様を守ると約束します。僕は逃げない!負けてたまるか!僕は逃げない!負けてたまるか!
千鳥:いいかげん飽きたわ。
千代:ありがとうございました。僕一人じゃ 何もできませんでした。千鳥さん どないしはったんだす?あっ 忘れ物だすか?
千鳥:これを振りなさい。
千代:えっ…。
千鳥:あなたがセリフを言おうなんて100年早い!「あ い う え お」でいいからこれを振って声を出せば自然と腹式になる。横隔膜を使って吐く息を調節して声の大きさを変えるの!あ!え!い!う! この感覚を体に覚え込ます!
千代:あの…。
千鳥:質問禁止!みんなが長い時間かけてやるところを一晩でやるのよ!無駄な時間は1秒もない。さっさとやりなさい!
千代:はい。 あ え い…。
千鳥:違う!遠くへ!
千代:あ!え!
千鳥:叫ぶんじゃない!小声で話す芝居ができないでしょ。普通に話す声で聞こえるように響かせるの。響かせるの もう一度。
千代:はい。あ え…。
千鳥:違う!
千代:あ!
♪
千鳥:次 セリフ行ってみなさい。棒読みでいいからちゃんと音を響かせることを考えて。
千代:大変だ~!お姫様を助けに行こう!
千鳥:違う!棒読みでって言ってんだろ!役の気持ちなんか考えなくていい!もっぺん。こざかしい。もっぺん。
千代:大変だ~!お姫様を助けに行こう!
千鳥:違う!音を響かせること考えろって言ってんだよ!
千代:はい。
千鳥:響かせて響かせて。響かせて。
千代:大変だ~!
千鳥:違う!
千代:お姫様を…。
千鳥:叫ばない!
(鶏の鳴き声)
シゲ:清子さん…。
清子:あっ…。
(笑い声)
●新京極・三楽劇場前
呼び込み:今日からですよ。あっ おおきに おおきに。おおきに。おおきに。
●新京極・三楽劇場 楽屋
清子:だんない。千代やったらできる。
千代:ありがとございます。
●新京極・三楽劇場 舞台
美鈴:それじゃあ「正チャンの冒険」始まり始まり~!
そしていよいよ「正チャンの冒険」が始まりました。
艶子:ああ~!
シゲ:なんと美しい姫じゃ。連れて帰って嫁にするとしよう。
艶子:助けて~!
シゲ:ワ~ッハッハッハッ!
(拍手)
千代:大変だ~!リス君 お姫様を助けに行こう!
美鈴:待って正チャン 相手は恐ろしい山賊だよ。
千代:大丈夫。力を合わせれば何だってできるさ!
美鈴:力を合わせるって言ったって僕と正チャンしかいないじゃないか。
千代:僕にいい考えがある。待ってて。
美鈴:えっ。
♪
京子:千代 主役ちゃうんけ。
真理:あっちゃ…いくそったね。
平田:えっ?
純子:あっ びっくりしたってこと。
宮元:大抜擢やな。
♪
ネズミ:山賊たちの悪行は僕たちもこれ以上我慢できません。
千代:ネズミさん どうか僕たちに力を貸して。一緒に悪い山賊をやっつけよう!
ネズミ:はい 一緒に行きましょう。
千代:ありがとう。
(拍手)
千代:みんな~つり橋だよ。気を付けて~。
艶子:うわ~!
シゲ:待て~!
千代:揺らせ~!
艶子:キャ~!
(拍手と笑い声)
<よかった。みんな楽しんでくれてはる>
シゲ:待て待て待て~!コラ~!逃がさぬぞ!姫は俺様のものだ!
千代:そうはさせないぞ。山の神様がくれたこの聖なる短剣…。
<ない…短剣があれへん>
<何か言わな…>
美鈴:やい! リ…リス様が相手だ!
<そや…>
千代:待って。山賊さん 僕と友達になろ。
シゲ:えっ?
山賊たち:へっ? はっ?
千代:ほんまはさみしかったんやろ。せやさかい お姫さん さろたりしたんやんな。
美鈴<勝手に筋変えて どないすんの>
シゲ:えと それは…。それは どうだろう。
千代:今までつらいことばっかりやったかも分かれへんけど 大丈夫 だんない。きっとこれからはええこともぎょうさんある。せやさかい…みんな一緒に楽しい冒険つづけよう!
(拍手)
客:正チャン すごい! 正チャン!正チャン!
こうして千代ちゃんの初舞台はどうにか無事に幕を下ろすことができました。よかったな千代ちゃん。けど まだまだここからやで。
(つづく)
●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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