朝ドラ【おちょやん】第6週27話、次の山村千鳥一座の公演は新作「正チャンの冒険」。千代は「ネズミ3」の役を貰い、セリフはただひと言。
そのためか、余裕で千鳥の世話をしていると、おもいがけず千鳥の過去を聞くことになり…。
父は偉~い政治家でね 母はその妾だった。まあそんな母だから私が人並みに嫁ぐことになった時は本当に喜んでくれた。でも夫も姑も具合の悪い祖父の面倒を見る人間が欲しかっただけだったの。私は全てを押しつけられた。母が危篤になった時 僅かな いとまを貰うことすら許されなかった。結局 母はたった一人で死んだのよ。大好きだった母の最期をみとってやれなかった。それからしばらくして嫁いだ家に別の女が出入りするようになって あれよあれよという間にその女のおなかが大きくなって 気付いたら私の方が邪魔者になってた。それでその家を飛び出したの。私が役者になった理由はただ一つ 全く別の自分に生まれ変わって私を見下した世の中を見返してやるためよ。高城百合子のまぶしさが妬ましいわ。彼女が太陽なら さしずめ私は夜の暗闇ね。
そして清子が足をくじいてしまい、主役の正チャンを千代が代わりにどう?と言って明日に続くです。
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【おちょやん】第6週27話セリフ書き出し
●新京極・三楽劇場
千代:このまま お芝居する場所のうなったら 千鳥さんのやりたい芝居もできへんようになってしまうのと違いますか?
千鳥:そこまで言うんならどれだけ客が呼べるか お手並み拝見さしてもらうわ。
♪
3人:おお~!
いよいよ「正チャンの冒険」の稽古が始まりました。千代ちゃんにとって初めての舞台稽古です。
清子:大変だ!リス君 お姫様を助けに行こう!
美鈴:待って正チャン 相手は恐ろしい山賊だよ。
清子:大丈夫。力を合わせれば何だってできるさ!
♪
清子:あそこが山賊のアジトだな。
千代:「あんなにたくさん」だす。
美鈴:あっ せや。あんなにたくさん山賊がいたんじゃ…。
千代:「お姫様を助けられない」。
美鈴:お姫様を助けられない!仲間を呼んでこよう!
千代:そうだす。
美鈴:そうだす。
千代:今のは違います。
美鈴:いや 今のは違…。
(笑い声)
千代:すんまへん。
美鈴:いや うちこそ。
シゲ:けど 千代 セリフ よう覚えてたな。
千代:この台本 前から読んでたさかい 面白うて何べんも読んでるうちに覚えてしもて。
シゲ:何や 天才や思たわ。
千代:ほな そうしといとくれやす。
(笑い声)
清子:ほな もっぺん最初から。
一同:はい。
●山村家
千鳥:えいっ! えいっ! たあっ! あら いたの?
千代:死ぬか思いました。千鳥さん 何してはんのだすか?
千鳥:見れば分かるでしょ。稽古よ。
千代:次は忍者か何かの役 やりはんのだすか?
千鳥:…なわけないでしょ。これは趣味よ。やらないと気が引き締まらないの。えいっ!
千代:ちょちょちょちょちょ! あ~ すご~い!
♪
千代:お代わり どないだす?
千鳥:いらない。
千代:ほな お茶いれます。
千鳥:あなた 稽古あるんでしょ。千秋楽まで来なくていいわ。
千代:千鳥さんに言われたこと全部やって その空いた時間でお芝居のお稽古するいう約束だすから。
千鳥:できるの?それで。
千代:大事おまへん。セリフ ひと言しかあれしまへんし。
千鳥:ほかの人からどう思われようと あなただけはあなたの役を愛しなさい。初めて勝ち取った役なんでしょ。一生忘れられない大切な役なんじゃないの?まあ 別に構いやしないけど。どうせ今回は清子がお情けで役をくれただけでしょうし 最初っからあなたなんか役者になれるなんて誰も思ってないから。
千代:やっぱり お稽古に戻ってもよろしおますか?
千鳥:駄目よ。
千代:けど さっきはええて…!
千鳥:お酒。
千代:はい。
♪
千代:あの 千鳥さんは何やったんだす?初めてやりはった役て。
千鳥:えっ?
千代:千鳥さんが初めて勝ち取りはった役て何だす?
千鳥:それは…えっ…あれ…。えっと…。
千代:一生忘れられへん大切なもんやて 言うてはりまへんだした?
千鳥:私ぐらい いろんな役やるとね 忘れることだってあんのよ。
千代:ほな も一つ聞いてもよろしおますか?
千鳥:何よ。
千代:何で役者になろて思いはったんだす?自分の内側から「そうせえ」て声が聞こえたんだすか?
千鳥:何それ。
千代:高城百合子いう女優さんがそないなこと言うてはったんです。
回想・百合子:こう 自分の体の内側から そうしろそうしろっていう声が聞こえたの。
千鳥:彼女なら言いそうね。
千代:うち 高城さんみたいな役者になりたいんだす。
千鳥:やっぱり あなたとは気が合わないわ。
千代:えっ…。
千鳥:私 大嫌いだから。
千代:えっ 何でだす?
千鳥:なぎなた。
千代:はい?
千鳥:母に習わされたの。鎖鎌や踊り 歌も子どもの頃からいろいろな芸事や武術をやらされたわ。将来 役に立つからって。
千代:千鳥さん ええとこのいとさんやったんだすなあ。
千代:父は偉~い政治家でね 母はその妾だった。まあそんな母だから私が人並みに嫁ぐことになった時は本当に喜んでくれた。
(鈴の音)
千鳥:でも夫も姑も具合の悪い祖父の面倒を見る人間が欲しかっただけだったの。私は全てを押しつけられた。母が危篤になった時 僅かな いとまを貰うことすら許されなかった。結局 母はたった一人で死んだのよ。大好きだった母の最期をみとってやれなかった。それからしばらくして嫁いだ家に別の女が出入りするようになって あれよあれよという間にその女のおなかが大きくなって 気付いたら私の方が邪魔者になってた。それでその家を飛び出したの。私が役者になった理由はただ一つ 全く別の自分に生まれ変わって私を見下した世の中を見返してやるためよ。高城百合子のまぶしさが妬ましいわ。彼女が太陽なら さしずめ私は夜の暗闇ね。ちょっと勘弁してよ。あなたに同情されるほど落ちぶれてないわよ 私は。
千代:違うんだす。うちも昔 おんなじような目に遭うて…。そのことを思い出してしもて…。すんまへん。
●カフェー「キネマ」店内
千代:戻りました。
宮元:しっ!
千代:どないかしたんだすか?
♪
洋子:見られへんもんはしゃあないやんか。
進太郎:嫌や。見るまで帰らん。
洋子:何でも あんたの思いどおりになる思たら大間違いえ。
♪
平田:どないしても「正チャンの冒険」が見たい言うて聞けへんねんて。
純子:けど お父さんとこ帰んの明日やろ。
♪
洋子:勝手にしよし。
千代:あの…。
洋子:何や!口挟まんとって。
千代:進太郎君 ほんまは「正チャンの冒険」はただの口実なんと違いますか?ちょっことでも長う一緒にいてたいだけなにゃろ お母ちゃんと。うちも小さい頃はいつも思てた。母ちゃんと一緒にいてたいて。そうなんやろ?
(進太郎の泣き声)
洋子:そやったら そう言うたらええやないの。
進太郎:だって お母ちゃんといてたい言うたらお父ちゃんに悪い…。お母ちゃんかて困るやんか…。
洋子:あほやなぁ! そんなん…そんなん…。
(進太郎の泣き声)
洋子:本番は3日後やったな。
千代:はい。
洋子:それまで こっちにいてられるよう お父ちゃんに話してみるわ。
進太郎:ほんまに?
洋子:そのかわり お母ちゃんがお仕事している間はいい子にしてるんえ。
進太郎:うん 監督と遊んでるさかい 平気や。
宮元:おいおい 僕にかてな いろいろ予定がな…。ないわ。ないで。ない。
洋子:そういうわけやさかい 2人分予約頼むわ。
千代:はい。
●新京極・三楽劇場前
千代:皆々様 次の山村千鳥一座の公演は新作…。
一同:「正チャンの冒険」です!
大人も子供も…。おじいちゃんもおばあちゃんも…。
艶子:み~んな楽しめます!
美鈴:リスも牛 ネズミも出ます~!
千代:絶対 面白おます。見とかな一生後悔しまっせ。
通行人のおっさん:うちの孫が好きやねん。見に行かしてもらうわ。
千代:おおきに ありがとうございます。
通行人のおばちゃん:楽しみにしてるえ。
「正チャンの冒険」は前評判も上々 今までにないくらいの予約が入りました。
●山村家
千代:今日も誤字脱字ありまへんだした。
千鳥:えっ!もう終わったの!?
千代:はい。だいぶはよう読めるようになりましたやろ。
千鳥:ちょっと…いいかげんにやってるんじゃないでしょうね。
千代:ちゃんとやってます。おかげさんで難しい言葉もぎょうさん覚えられたし 世の中にはまだまだうちの知らん面白いことがあるなあて勉強になります。ありがとうございます。
千鳥:別にあなたに勉強させるためにやらせてわけじゃないわよ。
千代:えっ ほな 何でこないなこと…。
千鳥:決まってるでしょ。嫌がらせよ。あなたの困った顔を見るのが楽しいからやってるだけ。もっと困りなさいよ。
千代:むちゃくちゃや…!
千鳥:んっ。
<<(戸が開く音)
<<シゲ:ごめんやす!
千鳥:シゲ。
シゲ:座長 えらいことです!
●新京極・三楽劇場
千代:どないしはったんだす?
稽古:お稽古中に くじいてしもて…。
千鳥:どれ。
清子:痛っ!
千鳥:あ~…。
シゲ:どないしましょう?
千鳥:ハッハッハッハッハッハッ…。やっぱりこうなる運命だったのよ。さあ 演目を「松風村風」に変えなさい。あれなら今からでもできる!
千代:待っとくなはれ。「正チャンの冒険」見たいて 前売り買うてくれはったお客さん どないしますのや。
千鳥:できないもんはしょうがないじゃない。
千代:けど…。
清子:シゲ…私の代わり できへん?
シゲ:無理です。本番 明日ですやん。さすがに今からではセリフ覚えられしません。
清子:そやな…。
この展開は もしかして まさか…。
清子:千代…私のセリフ覚えてる?
千代:はい 一応。けどただ覚えてるだけやさかい。
清子:正チャン…あんたやって。
千代:えっ!?
来た~!
(つづく)
●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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