朝ドラ【おちょやん】第6週26話、三楽劇場での山村千鳥一座の公演はその客が減り続け、ついには座本からあと半月で打ち切りと言い渡されてしまい…。
清子が改めて、人気となっている4コマ漫画「正チャンの冒険」を舞台でやろうと提案。絶対に嫌だという千鳥に対して、座員皆で頭を下げてお願いすると…。
そこまで言うんならどれだけ客が呼べるか お手並み拝見さしてもらうわ。
かくして、「正チャンの冒険」を千鳥以外で上演することになり、千代も「ネズミ3」の役を貰い、そのセリフはこの一言。
「モウ大丈夫デチュウ」
「正チャンの冒険」に興味津々だった洋子の息子・進太郎は「スカーレット」武志の子役だった又野暁仁君です。
【おちょやん】第6週26話セリフ書き出し
●新京極・三楽劇場
♪「お前の池なる」
山村千鳥一座はここ三楽劇場で月替わりにこうした演目を上演しておりました。中でもこの「清盛と仏御前」という演目は千鳥のおはこでございました。
千鳥:私はもう故郷に帰ってやぶ草の中に埋もれましても名残惜しいとは思いませぬ。今日のお目見えを一生の思い出といたします。
いつか役が貰えると信じて山村千鳥の世話係に戻った千代ちゃんやけど…。
千代:お疲れさんだす。
千鳥:疲れてない。
険しい道のりやなあ。
(OP)
千鳥:何なの 今日の芝居は…。
清子:すみません。どこがあかんかったんでしょうか?
千鳥:知らないわよ そんなこと!
清子:すみません!
千鳥:でも駄目なものは駄目! 千代!台本!
千代:はい。
<千代の心の声:また投げんの!?>
千鳥:シゲ!うすのろ!あんたよ あんた! 汗ダラダラ流して声 必死に張り上げて いい芝居した気になってんじゃない!
シゲ:す…すんまへん!けど勝手に汗が…ハハハハ…。
(悲鳴)
千代:あきまへん! あきまへん!
●山村家
千代:私はただ もう上様の大きな光に包まれてほかのものは何も目に入りませぬ。そうして私はだんだんと上様に捨てられていくのでございましょう。おはようさんでございます。
千鳥:セリフ いつ覚えたの?
千代:お稽古見てるうちに自然と。
千鳥:いさとなったら 代役もできるってこと?
千代:はい!
千鳥:できるわけないでしょ!あなたのその下手なセリフ ずっと聞かされてたらこっちまで芝居が下手になる。二度と声に出さないで。
●新京極・三楽劇場
♪~(三味線)
千鳥:違う!
清子:すんまへん。
♪~(三味線)
千鳥:何べん言ったら分かんだ!
シゲ:すんまへん!
千鳥:シゲじゃない!美鈴!
美鈴:すんまへん!
千鳥:千代!
千代:はい。
千鳥:艶子!
艶子:はい!すいません!
千鳥:全員やり直し!
(悲鳴)
千鳥:何なの これ。
千代:何だす? それ。
千鳥:これ 私の大切な…大切な…。
千代:すんまへん すんまへん。
こうして千鳥さんはものを投げ続け…。
●山村家
千鳥:だいぶ上達したわね。
千代:ありがとうございます!
千鳥:まさか こんなに…見つけられるようになるなんて。
千代:コツがありまして。
千鳥:こういうものは めったにないからうれしいの。私の喜びを奪わないで!
千鳥さんの不条理にもだいぶ慣れてきた千代ちゃんやったけど 四葉が増える一方で…。
●新京極・三楽劇場
あなたには死んでもらいたい!
右大将様!
千鳥:私はまだ死にませぬ。生き栄えてゆかねばなりませぬ。ごめんあそばせ 右大将様様。
(柝の音)
お客さんの数は日に日に減っていきました。そしてとうとう千鳥さんのもとに三楽劇場の座本さんがやって来ました。
●新京極・三楽劇場楽屋
座本:昔から あんさんのひいきやったしなあ 座本のわしも今日まで見て見んふりしてきたんやけど さすがにもうあかんわ。あと半月…そういうこっちゃ。頼むわな。
清子:どないするんですか?
千鳥:ほかを探すだけよ。
清子:どこ行ってもおんなじだす。私たちみたいな女だけの劇団 快う受け入れてくれるとこなんてありません。
千鳥:あんたたちの芝居が下手だから。自業自得よ。
清子:前にも言うた「正チャンの冒険」あれ やってみませんか?
回想・清子:私たちでやりませんか?今 子供から大人にまでえらい人気の「正チャンの冒険」って漫画です。台本も書いてみました。読んでみてください。
この「正チャンの冒険」は当時の新聞に掲載されていた4コマ漫画です。宝塚少女歌劇団でも舞台化され 子供たちにえらい人気やったそうです。
千鳥:あんなもの私のやりたい芝居じゃないって前から言ってるでしょ。客にこびを売るような芝居するつもりはない!
シゲ:けど このままやったら…。
千代:うちからもお願いします。
千鳥:あなたの出る幕じゃない。
千代:けど…。
艶子:お願いします!
美鈴:やらしてください!
シゲ:お願いします!
一同:お願いします!
千代:このまま お芝居する場所のうなったら 千鳥さんのやりたい芝居もできへんようなってしまうのと違いますか?
千鳥:誰が何と言おうとそんなものするつもりはない!あなたたちだけで勝手になさい。
千代:それて…。
千鳥:そこまで言うんならどれだけ客が呼べるか お手並み拝見さしてもらうわ。
一同:ありがとうございます!
千代:ありがとうございます。
●カフェー「キネマ」前
男:待てや!
<<(猫の鳴き声)
男:待て コラ!
<<(猫の鳴き声)
●カフェー「キネマ」店内
真理:それで やることになったがけ?「正チャンの冒険」。
千代:うん ほんでな…うちも出ることになったんだす。
平田:ほんまか!?
千代:セリフもちゃんとありますねん。
純子:すごいやんか。
真理:おめでとぉ。今度こそぉ 本当の役者になったがやねえ。
京子:ほいで どないな役なんよ?
千代:うちの役はこれ。
京子:ネズミけ?
平田:「モウ大丈夫デチュウ」。これだけ?
純子:何でネズミがしゃべっとんねん。
真理:あいそんないねぇ。せめてネズミ1か2ならよかったがに。
京子そういう問題やないやろ。
純子:なあ 何でネズミがしゃべっとんねんて。
千代:何だす みんなして! そうだす ネズミだす。1でも2でもないネズミ3だす。ネズミちゃんでもネズミ君でもないネズミ3や!しゃばりまちゅねん ネズミ3は。文句あります!?
真理:千代ちゃん 落ち着かれま。
洋子:これ 正チャンが山賊にさらわれたお姫様 助けに行くいうお話やろ。ネズミも正チャン助ける大事な役やないの。
千代:さすが洋子さん よう分かってはるわ。…って 何でそないに詳しいに?
洋子:何でて それは…。
宮元:やかましいな もう。進太郎が起きてしもたやないか。
千代:店長 お子さんいてはったんだすか?
宮元:僕の子やないわ。洋子の子や。
千代:あっ 何や 洋子さんの…。えっ!
洋子:進太郎 帰るえ。荷物取ってき。
進太郎:はい。
宮元:よし。
<<(猫の鳴き声)
洋子:あの子 常は別れた夫と広島で暮らしてんのやけど 向こうがしばらく仕事で地方に行かなあかんらしゅうて ちょっとの間こっちで預かることなったんや。
千代:そうだすか。
洋子:たまにしか会われへんさかい なかなか懐いてくれへん。まあ 子供より仕事取ってしもた母親さかい しゃあないけどな。
進太郎:あっ「正チャンの冒険」や!
洋子:この子 好きやねん。
千代:ほんで洋子さん よう知ってはんのやぁ。
純子:このおねえちゃんな 今度「正チャンの冒険」お芝居でするんやて。
進太郎:ほんまに?僕もみたい!
千代:えっ?
京子:ほんでよ 芝居はいつからすんよ?
千代:来週だす。
洋子:あ~…ちょっと間に合わんな。そのころには広島帰ってわ。
進太郎:嫌や 見たい。
洋子:わがまま言わんといて。お父ちゃんには3日で帰るて約束したんやろ?お母ちゃんかて仕事があるんやさかい。
宮元:進太郎 あのな このおねえちゃんな お芝居めっちゃ下手やねん。せやから見てもちっともおもろないで。なあ。
千代:はあ?
宮元:(小声で)進太郎 諦めさせなあかんやん。
千代:せやねん。しょうもない しょうもない。もう見ん方がええわ~。
(笑い声)
洋子:ほな 帰るえ。はよしい。おで。お先。
千代:お疲れさんだす。
平田:お疲れさまでした。
真理:お疲れさまです~。
宮元:お疲れさ~ん。
●カフェー「キネマ」住込み部屋
真理:役貰えてよかったにか 千代ちゃん。
千代:おおきに。
真理:舞台に出ること知らせたい人 おらんがけ?
千代:おるよ。おるけど 今はまだやめとくわ。もっとちゃ~んとお芝居して喜んでもらえるようになるまでな。
真理:頑張られ。
千代:おおきに。
●新京極・三楽劇場
座員:今 逃げ出せる絶好の機会なのに。
清子:ここでネズミ3 出てくる。
いよいよ「正チャンの冒険」の稽古が始まりました。千代ちゃんにとって初めての舞台稽古です。店長が「下手くそや」言うたんは…。
千代:もう大丈夫でチュ~!
案外当たってました。
清子:力み過ぎや。もっと肩の力抜いて 深呼吸し。
千代:はい すんまへん!
清子:千代のとこから もっぺん。はい。
千代:(蚊の鳴くような声で)もう大丈夫でチュ~。
清子:力抜き過ぎや。
千代:はい すんまへん!
清子:もっぺん やってみて。
千代:はい。もう大丈夫でチュ~。
清子:何やっとんねん。
(笑い声)
清子:もっぺん。
千代:はい。もう大丈夫でチュチュチュ~!
千代ちゃん 頑張り。
(つづく)
●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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