【おちょやん】セリフ書き出し第3週15話|2代目早川延四郎逝去と大正14年に年季明け

朝ドラ【おちょやん】第3週15話、組見当日、大勢の芝居客の接待をする岡安の面々。一方、女将のシズは延四郎に会い、20年の歳月を経てお互いの胸の内を語り合っていた。

やがて別れの時、シズは延四郎に「どうぞお健やかに」と言ったのだが、この一月後…。

「訃報。去る12月28日 2代目早川延四郎 逝去つかまりつり候。ご推察申し上げるとともに長らくごひいきくだされし皆様方に心より御礼申し上げつかまつり候。鶴亀株式会社 社長」。

熊田が読み上げる訃報に唖然とする千代、そして涙するシズであった。そして年が明けて大正14年の1月、数えで18となった千代は年季明けとなるが、このまま岡安で働きたいとシズと宗助に頭を下げているところに、あのテルヲが姿を見せて来週につづくです。

【おちょやん】第3週15話セリフ書き出し

●鶴亀座

富士子:お昼のお弁は茶屋の方でご用意さしてもろてます。

千代ちゃんたち岡安のみんなは シズさんがおれへん中 団体客のお相手に奮闘しておりました。

客:そういえば 女将さん どないしたんや?

千代:ちょっこと体の調子が。

客:大事あれへんか?

千代:おおきに。大事おまへん。

●寺の境内

延四郎:何で!? 何でいてるんた!?

シズ:何でて…あんさんがここで待ってるって 言わはったんやあれしまへんか。

延四郎:ほんま よう来てくれた。ほんまにうれしい。

●えびず座

熊田:荷物 それだけでええのんか?

百合子:この身一つあれば役者はできるから。

熊田:今日は別れの日やな。

百合子:え?

熊田:今朝 延四郎さんも出ていきはったわ。

百合子:私はまだまだ辞めるつもりはないわ。

●岡安・二階の客間

(笑い声)

千代:お待っとさんだす。どうぞ。

かめ:いつもおおきに。

千代:どうぞ。すんまへん。

●屋台のうどん屋

シズ:はあ~。

延四郎:ほんまにこないなもんでええんかいな。

シズ:これがええんだす。昔 ようあんさんと食べましたなあ。

延四郎:そやったな。

シズ:ほんで?わてに話ししたいことって何だす?

延四郎:それやねんけどなあ…。顔見てたら もうどうでもようなってしもた。

シズ:何だす それ。あほみたい。

●寺の境内

シズ:20年前のあの日 わてが約束破ってここに来えへんかったこと 恨んではりますか?

延四郎:あん時 あんたが来えへんかって ほっとしたんや。私もな 会うて あんたに別れ話しようと思うてたんや。そやから恨むも何もない。あんたが私に負い目を感じることは何もあれへんのや。

シズ:相変わらず 板の上以外では芝居が下手くそやこと。わては自分でこの人生を選んだんだす。芝居茶屋の女将になったこと 悔やんだことなんかいっぺんもあれしまへん。せやさかい おおきに。今のわてがあんのは あんさんが支えてくれはったおかげだす。何としても それだけは言うときとうて…。おおきに 延四郎さん。ほんまにおおきに。

延四郎:私の方こそ おおきに。

シズ:フッ…。

延四郎:ハハハ。

●岡安・二階の客間

♪~(歌声)

酔客:チエちゃん。

千代:おおきに。

酔客:チエちゃ~ん!

千代:お待っとさんだす。

●岡安・玄関

ハナ:何だす。また どこぞから逃げてきはったんかいな。ハハハハハ。

百合子:その節はありがとうございました。

ハナ:活動の方へ行かはんのやてな。

百合子:はい。

ハナ:千代に御用だすやろか?

百合子:ええ。最後にちょっと顔を見ようと思いまして。

●岡安・二階の客間

千代:お待っとさんだす。

酔客:チエちゃん。チエちゃん! チエちゃん こっちもお酒。熱燗な。

千代:へえ ただいま。誰がチエちゃんや。

●岡安・玄関

百合子:やっぱり このまま行きます。

ハナ:向こうでのご活躍 期待してますさかいな。

●道頓堀・街中

百合子:♪「カチューシャかわいや」「わかれのつらさ」「せめて淡雪」

チンドン屋:♪「カチューシャかわいや」「わかれのつらさ」「せめて淡雪とけぬ間に」「神に願いをララかけましょか」

●岡安・二階の客間

千代:お待っとさんだす。

玉:お待っとさんだす。

酔客:おい ヨシヲ。お前 何か歌え。

ヨシヲ:あほ。

玉:どないかしたん?

千代:ううん 何でもあれへん。

酔客:チエちゃん お~しゃ~け~。

千代:へえ。(小声で)せやさけ 誰がチエちゃんやっちゅうねん。

酔客:何て~?

千代:いえ 何も。ただいま すぐに。

●寺の境内

延四郎:ほな ここで。

シズ:どうぞ お健やかに。

●岡安

宗助:おお~!ちょうどお帰りかいな。わしもちょうど あれや え~っと 何やったかな…。何や もっとゆっくりしてきたらよかったのに。

(いびき)

<<千代:お帰りやす。

シズ:ご苦労はん。

里子:お帰りやす。

シズ:どないだした?

千代:お客さんたち 満足してお帰りになりはりました。

シズ:そうか。

宗助:冷えてきましたなあ。かめ ちょっと1本 つけてんか。

かめ:へえ~…。

シズ:千代。

千代:へえ。

シズ:おおきに。あんたのおかげだす。おおきにな。

千代:へえ!

こうしてシズさんは延四郎さんとの悔いを残すことなく 別れを果たすことができました。

千代:明日もええ天気や。見てみい さっちゃん。

玉:うわ~きれいなお月さんやなあ。

そして そのひとつき後…。

●岡安・玄関

熊田:「訃報。去る12月28日 2代目早川延四郎 逝去つかまりつり候」。

鶴亀の大山社長からシズさんに言づけが届きました。延四郎さんが亡くなりはったと。

熊田:「ご推察申し上げるとともに長らくごひいきくだされし皆様方に心より御礼申し上げつかまつり候」。

重い病を患うてた延四郎さんは それを隠して最後の舞台を努めはりましたんやなあ。ほんで どないしてもシズさんに別れを告げたかったんやなあ。

熊田:「鶴亀株式会社 社長」。

シズ:最後の最後に すっかりだまされてしもたがな。

大正14年(1925)1月

そして年が明け 千代ちゃんは数えで18となりました。

●岡安・床の間

宗助:これで晴れて年季明けやな。

千代:旦さん ご寮人さん 改めてこれからもよろしゅうお願い申します。

宗助:それでよろしいのやな。

千代:へえ。うちはこれからもここ岡安にいてたいんだす。

シズ:やるからには途中で投げ出すことは許しまへん。しっかり励んで一人前のお茶子になるますのやで。

千代:へえ!おおきに ありがとさんでございます。

<<(戸をたたく音)

千代:失礼します。

●岡安・玄関

千代:じき開けますよって。

(戸をたたく音)

テルヲ:すんまへん。あの竹井いうもんやけど ここの奉公人に…。千代け?えっ! お前 相変わらず 背ぇ 小こいのう。ハハハハ!元気そうで何よりや。おお。おお。いや ほんまによ。ほんまにやで。ハハハハハ!元気そうやのう。元気やなあ。いや元気や。ハハハハハ。なあ 千代。

(つづく)

●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。

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