朝ドラ【おちょやん】第3週14話、延四郎からの手紙をこばむシズであったが…。
ご寮人さんに言われて うちは生まれて初めてちゃんと考えました。岡安にずっといてたいとか芝居が大好きやとか いろんなことがごちゃ混ぜになってもう訳分かれへんかったけど もしかしたらその芝居茶屋もそのうち のうなってしまうかも分かれへんて聞いた時に分かったんだす。うちがしたいのはそないなことやあれへん。うちはご寮人さんに恩返しがしたい。ただそれだけなんだす。ご寮人さん 言うてはりました。延四郎さんに救われたて。今のご寮人さんがあんのは延四郎さんのおかげやて。うちもおんなじだす。8年前ここに来た時うちはご寮人さんに助けてもらいました。ご寮人さんがいてはれへんかったら今頃 うちはどないなってたか。ご寮人さんにとっての延四郎さんはうちにとってのご寮人さんなんだす。せやさかい分かりますのや。ご寮人さんが延四郎さんのことどんだけ大事に思てはんのか。どうか会いに行っとくれやす。うちはもうご寮人さんに後悔してもらいとないのだす!
千代を演じる杉咲花ちゃんは絶対に大女優になると確信したこの長台詞。そして脚本の八津弘幸さんは役者泣かせの脚本家だと認定です。
【おちょやん】第3週14話セリフ書き出し
客:延四郎!
♪
シズ:わてとあのお人は昔 確かに恋仲になりかけたことがおました。
♪
延四郎:これをシズに…女将さんに渡してくれへんか。
♪
延四郎:えらい長なって すまなんだな。
千代:えの…。
●岡安
千代:すんまへん。ほんで結局 これ預かってきてしもて。
シズ:せっかくやけどな ほかしといて。
千代:ご寮人さん。あの…読みはるくらい ええのと違いますかやろか?
シズ:あんた さっき言うたわな。ええ人や。あんたとおんなじくらいの年の頃や。岡安継ぎますってお母ちゃんに言うて お茶子修業始めたんやけど 何やってもうまいことでけへん。お茶子なんか辞めたる。後継ぎなんでごめんやて思た時にな あの人が言うてくれましたんや。ちょっとくらい鈍臭い方が私はほっとするて。そないな子が頑張って一人前になっていくのを見ると自分も励まされるって。ありがたかった。助けられた。あの人がいてはれへんかったら今のわてはあれへん。わてにとってあの人は恩人だす。せやさかいな 読んでしもたら会わんといてられへんようなってしまいます。わてのことよりあんた 年季が明けたあとのこと ちゃんと考えなはったか?
千代:それは…。
シズ:人のこと気ぃもんでる場合と違いますやろ。
千代:へえ。
シズ:この話はこれでしまいだす。
●えびず座前
熊田:本日 千秋楽でございます。早川延四郎最後の艶姿 とくとご覧あれ。
♪
みつえ:行くで。
千代:へえ。
●道頓堀・川べり
みつえ:大体 何であんたと踊りのお稽古 行かなあかんの。
千代:しょうがおまへん。明日に組見控えて ご寮人さんも旦さんもお忙しいのだす。子供やあるまいし我慢しなはれ。
みつえ:「我慢しとくれやす」や。
組見というのは役者の後援会などが団体で芝居を見ることです。組見を受けた芝居茶屋はその前の日から火事場の大騒動みたいに走り回ることになります。
(トランペットの音)
みつえ:へたくそ!
福助:何やね いきなり。
みつえ:あんたんとこのお茶子がけったいな噂流してくれたせいで うっとこ えらいことになってますねんで。どないしてくれんの。
福助:僕のせいちゃうわ。
みつえ:福助 あんた 福富の跡取りやったわな。
福助:そないなこと知らん。僕はこれで生きていくさかい。
(トランペットの音)
みつえ:あんた その腕前でよう そないなこと言えんな。
福助:芝居茶屋は もうのうなるで。
みつえ:どういうこと?
福助:この10年かそこらで どんだけの芝居茶屋が潰れた思てんの。前は一日中やってた芝居も 今は昼と晩に分かれて短なったやろ。お客さんは茶屋を通さずに芝居だけを見てさっさと帰りはる。芝居茶屋いう商いはもう時代に合うてへんのや。
千代:嘘やろ…のうなりますの?岡安が?
みつえ:のうなれへん。
福助:のうなるて。時間の問題や。
みつえ:岡安がそない簡単に潰れるはずあれへん!うちはお母ちゃんみたいな女将になんねさかい。このあほ! 何や こないなもん!
福助:ええ~っ!えっ ちょっ…おい 拾うの手伝え!
(福助の泣き声)
福助:僕のトランペットやで。なあ どく行くんや どこ行くんや!なあ! ええんですか。こんなんで拾えるわけないやろ!
●えびず座
<<いずみや!
<<延四郎!
<<延四郎!
客:延四郎!
(拍手)
(拍手と歓声)
●岡安
シズ:明日の鶴亀座 組見のお弁だすけど 柴富はんの鰻32。松川の幕の内15。残りが丸千のお寿司。間違いのう注文してくれてますやろな。
富士子:へえ。
シズ:それぞれの好み間違えんようにな。
一同:へえ。
シズ:あとは…。
千代:ご寮人さん。明日の組見はうちらに任してご寮人さんは延四郎さんに会いに行っとくれやす。
節子:あんた いきなり何言いだすねんな。そないなことしたら また周りから何言われるか…。
千代:構しまへん。人の噂なんぞ たったの75日だす。もし行けへんかったらご寮人さんはこの先ずっと後悔しはんのと違いますか? うちに言うてくれはりましたよね。「自分がどないしたいかちゃんと考え」て。「そないせな後悔する」て。あれはご寮人さんご自身のことやったのと違いますか?
シズ:あんたの気持ちはうれしいけどな 明日の組見は岡安の将来を左右する大事な仕事だす。わてがいてへんかったら誰が仕切りますのや。
千代:富士子さんがいてはりますさかい大事あれしまへん。
富士子:えっ?
千代:節子さんやお玉さんや うちも かめさんやさっちゃんもいてます。せやさかい ご寮人さんは安心して延四郎さんに会いに行っとくなはれ。
(机をたたく音)
シズ:千代… ええかげんにしなはれ!
玉:千代ちゃん千代ちゃん千代ちゃん・
富士子:もうええやろ千代。
千代:ご寮人さん。
富士子:千代!
千代:ご寮人さんに言われて うちは生まれて初めてちゃんと考えました。岡安にずっといてたいとか芝居が大好きやとか いろんなことがごちゃ混ぜになってもう訳分かれへんかったけど もしかしたらその芝居茶屋もそのうち のうなってしまうかも分かれへんて聞いた時に分かったんだす。うちがしたいのはそないなことやあれへん。うちはご寮人さんに恩返しがしたい。ただそれだけなんだす。ご寮人さん 言うてはりました。延四郎さんに救われたて。今のご寮人さんがあんのは延四郎さんのおかげやて。うちもおんなじだす。8年前ここに来た時うちはご寮人さんに助けてもらいました。ご寮人さんがいてはれへんかったら今頃 うちはどないなってたか。ご寮人さんにとっての延四郎さんはうちにとってのご寮人さんなんだす。せやさかい分かりますのや。ご寮人さんが延四郎さんのことどんだけ大事に思てはんのか。どうか会いに行っとくれやす。うちはもうご寮人さんに後悔してもらいとないのだす!
富士子:節子!玉! もっぺん組見の段取り さらおか。
節子:せやな。ご寮人さんがいてはれへんせいや なんて言わせへんようにな。
玉:へえ!
富士子:ご寮人さん あとはうちらに任しとくれやす。
シズ:分かった。
千代:富士子さん うちもいてます。
富士子:あんたに一番 気ぃもむわ。
(笑い声)
♪
シズ:一日だけ お暇 もらわれしまへんやろか。このとおりだす!
ハナ:宗助さんがええんやったら わては構しまへんで。
宗助:ええで。あんたがちゃんと休むんは わしらの祝言の日以来やろ。一日 ゆっくりしてきたらよろし。
シズ:おおきに。
♪
シズ:ほな 頼みましたで。
千代:へえ 行っといでやす。よっしゃ!
♪
宗助:ほんまに行ったんか?行ったんやな?
みつえ:そない気ぃもむねやったら行かせへんかったらよかったのに。
宗助:あほ。そないなこと かっこ悪いやんか。
みつえ:どないな時代になったかて おばあちゃんからお母ちゃんへ引き継がれてきた岡安ののれんは そない簡単にはのうなれへん。そやろ。
宗助:もちろんや。
<<千代:ごめんやす。
千代:今日はこの部屋も使わしてもらいますさかい。
みつえ:千代。今日はうちも手伝います。
千代:みつえちゃん!そうこな!
みつえ:「いとさん」や!
千代:すんまへん。ほな いとさん。このお座布 並べといて。
みつえ:「並べておくれやす」や!
●えびず座
鶴蔵社長:延四郎はん。
延四郎:社長。大阪にご恩返しする機会を作っていただきありがとうございました。
鶴蔵社長:えらい早いやないか。もう東京に戻りはんのか。
延四郎:この道頓堀は いてたらいてるだけ名残惜しゅうなってしまいます。
鶴蔵社長:ご苦労はんだした。
(倒れ込む延四郎)
(つづく)
●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
NHK連続テレビ小説・第103作【おちょやん】のネタバレあらすじと各回の全セリフ、そしてキャスト紹介を最終回まで書き続けています。朝ドラ【おちょやん】は女優・浪花千栄子さんをモデルに、その生涯を再構成してフィクションとして作られたド[…]