朝ドラ【おちょやん】第3週13話、千秋楽をもって役者を辞めるする延四郎は、かつて恋仲であった岡安のシズと20年ぶりの再会を果たした。
道頓堀の夜店で、その現場を見ていた福富のお茶子たちが「シズが不義密通していた」との噂を広め、道頓堀中に悪い評判が…。
客足が遠のく岡安であったが、千代は福富の椿を一喝。
岡安には火のないとこに煙立たすような“いちびり”は一人もいてしまへんよって。
“いちびり”とは、目立ちたがり屋、お調子者という意味。
そんな千代を街中で引き留めた延四郎は、手紙をシズに渡してくれと頼んで明日に続くです。
【おちょやん】第3週13話セリフ書き出し
●岡安・住み込み部屋
千代:私には神聖な義務がほかにあります。どんな義務というのだ。私自身に対する義務ですよ。どないだす?
玉:すごいな~。千代ちゃん。なあ。
里子:へ…へえ。千代さん 年季明けたら役者さん なりはりますの?
回想・百合子:一生一回 自分が本当にやりたいこと やるべきよ。
回想・シズ:;自分がどないしたいのか もっとよう考えはなれ。そうせな後悔する。
千代:そんなん なれるはずあれへんやんか~。無理や無理や無理や無理や~。
●道頓堀・夜店
延四郎:シズ…。
シズ:ほな ごめんやす。
延四郎:千秋楽の明くる日の朝 ここで待ってる。
この2人 どないな間柄なんでしょうか?
●岡安・住み込み部屋
千代:私には神聖な義務がほかにあります。どんな義務…。
●道頓堀・夜店
(回想)
シズ:延四郎さん。
延四郎:シズ…。千秋楽の明ける日の朝 ここで待ってる。
(回想閉じ)
みつえ:お母ちゃん。お母ちゃん これ見て。
シズ:ああ よう似合てるわ。
宗助:ほな 行こうか。
みつえ:♪「いのち短し」
宗助:ええなあ。
みつえ:♪「恋せよ おとめ」
宗助:ええやんか。
みつえ:♪「朱き唇」
ああ~福富のお茶子さんたちや!
千代:荻野堂はん。ええとこで会うたわ。
荻野堂の丁稚:岡安さん。今 お持ちするとこだした。きなこ3つに よもぎ2つ みたらしも おまけさしてもろてます。
千代:おおきに。どないしたん 気前ええやんか。
荻野堂の丁稚:岡安さんには いつもひいきにしてもろてるし こないな時に何も力になられへんけどって 旦さんが。
千代:こないな時?
●岡安・軒先
千代:姐さん。
富士子:あんたも聞いたんか ご寮人さんのこと。
●岡安
節子:不義密通!?
玉:すんまへん。
千代:すんまへん。道頓堀中で噂になってます。役者の早川延四郎さんと そないな間柄やて。
節子:あれへんわ。あのご寮人さんに限って。
里子:フギミッツウって何だす?
富士子:あの いけずがな 2人がこっそり会うてるとこ見たんやて。
●福富・軒先
椿:まさか岡安のご寮人さんがなあ。
2人:なあ。
椿:早川延四郎さんと あないなことなあ。
近所の男:ええ?
近所の男:えっ?
菊:ちょっと清水家さんにご挨拶に行ってきますわ。
3人:へえ。
♪
福助:あれ 絶対 岡安のこと笑いに行きよったんやで。
福松:はあ~くわばら くわばら。
(トランペットの音)
●岡安
節子:福富の椿かあ…。
千代:し~っ! どうせあることないこと噂して 岡安の客 引き抜こいう魂胆だすやろ。
かめ:今回ばっかりはそうやないかも分かれへんなあ。
♪
みつえ:お父ちゃん どない…。
宗助:し~っ!
♪
千代:駆け落ち!? ご寮人さんとあの延四郎さんがだすか?
かめ:そや。もちろん 旦さんと出会うず~っと前の話やで。
里子:フギミッツウって何だす?
節子:はよ続き。
かめ:延四郎さんはな 岡安継ぐためにお茶子修業してはったご寮人さんを大層ひいきにしてくれてはってな。ほんで2人はそないな仲に…。ご寮人さんは周りの反対押し切って東京へ出ていく延四郎さんについていことしはったんや。
節子:駆け落ちやんか。それ駆け落ちやんか。
かめ:けどな すんでのとこでお家さんが ご寮人さんをひっつかまえはってな。結局 ご寮人さんは待ち合わせの場所に行かれへんかった。ほんで延四郎さんは1人で東京へな。
●道頓堀・街中
菊:こら びっくりやなあ。わてやったら 恥ずかしゅうて 家に閉じ籠ってしまうわ。
シズ:別に人さんに後ろ指さされるようなこと何もしてまへんよって。
菊:そやけどな…昔のことがあるさかいな。
●岡安
富士子:今も昔も お茶子と客の色恋沙汰はご法度やさかいな。
里子:何でだす?
かめ:ここは芝居の街や。芝居茶屋は役者さんと芝居小屋のおかげで商いさせてもろてる。そんなわてらが役者さんと色恋沙汰起こしたりしたら 芝居茶屋そのもんの信用を失いかねん。昔のこと知ってる人も道頓堀にもぎょうさんいてはる。あらぬ噂やとしても 岡安から脚が遠のくお客さんが出てくるかも分かれへんな。
玉:ほんまにただの噂やねやろか…。ご寮人さんかて女や。もしまだ未練残してはったとしたら…。
(そしゃく音)
シズ:何してはんのだす こないなとこで。
みつえ:お帰りなさい。
宗助:お…お帰り。
シズ:どないしたんや。まだ仕事は終わってまへんで。
宗助:わしも え~っと…。
(湯飲みが割れる音)
シズ:里子! 何べん言うたら…。
かめ:すんません。
シズ:わてと早川延四郎さんのこと あんたらにははっきりさしといた方がよろしわな。わてとあのお人は お茶子と役者いう間柄にもかかわらず 昔 確かに恋仲になりかけたことがおました。旦さん お母ちゃん みんな…。岡安の看板に泥塗るようなことになってしもてほんまに申し訳ない。堪忍やで。このとおりだす!
●道頓堀・川べり
シズ:小次郎さん ちょっと火ぃ借りますわな。
●えびず座
椿:あら~。岡安さん1升だけかいな。
(笑い声)
椿:どないしたん。今日はえらいお客さん少ないのと違う?うっとこは ひい ふう みい よ…いや~もう分からんなあ。4升20人かそこら来はりますねん。忙しいなあ。
ぼたん:忙しい忙しい。
千代:どっかの誰かさんに ありもせえへん噂 流してもろたおかげだす。
椿:火のないとこに煙は立たんっていうしなあ。
ぼたん:そうだす。アハハハハハ。
千代:福富さんは大事おまへんか?
椿:ん?なんのこと?
千代:乞食の頭領の小次郎さんに聞きましたんやけど そちらのあやめさんが千日前のカフェー辺りで 新派の二枚目さんと何やら あいびき繰り返してはるて…。
あやめ:あれは うちをごひいきしてくれてはる人にいっぺんだけごちそうになっただけや。あいびきちゃう!
千代:ぼたんさんが万太郎一座の若いのと活動写真見てたいう話も聞いたような…。
ぼたん:し…知らんわ! 人違いやわ!
千代:椿さんは…何もあれへん。
(笑い声)
千代:そら ひがみもしますわな。
椿:どういう意味やの!
千代:気ぃもまんといておくれやす。岡安には 火のないとこに煙立たすような いちびりは一人もいてしまへんよって。
千代ちゃん 一本!
千代:ほな。
千代ちゃん 一本!一本! ぽんぽん ぽぽぽぽ ぽん!
椿:ぼたん あいびきしてんの? あやめ あいびきしてんの?
あやめ:違いますねん。
椿:何で うちにはないのや~!
千代ちゃん 一本!
●道頓堀・街中
千代:おはようさんでございます。
通りの人:おはようさん。
♪
延四郎:ちょっ ちょっ…。
千代:えっ えっ えっ えっ!
延四郎:早川延四郎いいます。
千代:へえ よう知ってます。
延四郎:これ シズに…女将さんに渡してくれへんか。岡安のお茶子さんやろ。頼む!
千代:それは でけしまへん。
延四郎:明日は落日や。あさってには大阪を離れる。最後の手紙のつもりで書いたんや。どうしても伝えたいことがあって。けど そやな…また 私の身勝手や。
千代:すんまへん お役に立てしまへんで。
延四郎:あ~ちょっと待って! 話 聞かしてくれへんか。10分でええよって。
千代:もう戻らな。
延四郎:5分!
♪
延四郎:旦那さんは宗助さんといいはんのか。
千代:へえ。ちょっとのんびりしてはりますけど ほんま穏やかで優しい旦さんだす。みつえちゃんいう可愛らしい嬢さんもいてはって。昔のことはよう知りまへんけど あんたさんが入り込む隙間なんぞ ちょっこともあれしまへんさかい。
延四郎:何よりや 幸せそうで。どうもありがとう。
千代:もう よろしのだすか?
延四郎:これだけ分かったらええのや。十分や。
千代:あの…何で役者さん廃業しはんのだすか?
延四郎:歌舞伎の世界は 名のある家に生まれんとなかなか出世できへん。私は外から飛び込んだよって 大阪ではなかなかうまいこといかへんかってな…。大阪を出て東京へ行って20年 辛抱して辛抱してどうにかここまでやってきたけどな…。ここらが潮時や。えらい長なってすまなんだな。
千代:あの…。
(つづく)
●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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