【おちょやん】セリフ書き出し第3週12話|高城百合子と千代、延四郎とシズが再会

朝ドラ【おちょやん】第3週12話、大女優・高城百合子と偶然にも再会した千代は岡安で百合子をかくまうことに。

高城百合子はこの時、所属していた鶴亀株式会社の方針で、舞台役者から映画へ転向するように命じられていた。

百合子はそれに抵抗し逃亡。当時の日本映画界はまだまだの状態で、百合子の求める演技は映画の世界にはないと思っていたのだ。千代はそんな事情を知らず、ただ百合子を励ましたかったのだが逆に…。

千代ちゃん…そんなにお芝居が好きなら 自分でやってみたら?一生一回 自分が本当にやりたいこと やるべきよ。

こう言葉をかけられ、キョトンする千代。その頃、道頓堀の夜店では、シズが延四郎と20年ぶりに再会し、明日に続くです。

【おちょやん】第3週12話セリフ書き出し

千代:ああ~っ!高城百合子! …さん。

それは紛れもなく かつて千代ちゃんが心を奪われたあの女優 高城百合子でした。

●福富の店先

椿:ちょい待ち!

千代:椿さん ぼたんさん あやめさん こんにちは。

椿:何や そのけったいな生き物は。

千代:えっ?

椿:あっ!

千代:えっ?

椿:新しいお茶子さんか!

千代:へえ。ほな さよなら。

椿:待ち。よう そないなお茶子 雇うわ。

千代:おかげさんで毎日忙しゅうて 人手はなんぼあっても足れしまへん。

椿:行くで!

ぼたんとあやめ:へえ。

あやめ:ふんっ。

千代ちゃんは何かから逃げてるらしい高城百合子さんをかくまうため ひとまず岡安へと連れてきました。

●岡安

千代:かめさん。かめさん。

かめ:どこで油売ってたんや。富士子が追加のお茶箱 えびす座に持ってこさして言うてたで。

千代:ご寮人さんは?

かめ:さっき 旦さんといとさんと 出ていきはったわ。高津さんお参りして夜店行く言うてはったさかい 遅なりはんのと違うか。

千代:困ったなあ こないな時に。

かめ:どないしたんや? 千代 この人…。

千代:びっくりしたやろ。

かめ:どちらさん?

千代:知らんの!? 大女優の高城百合子さんやで!

かめ:知らん。

千代:あかん。

ハナ:ほう こらまた えらいお客さんやことなあ。

千代:お家さん。

ハナ:あ~なるほどな。先前から 鶴亀の熊田はんらが あっちゃ行ったりこっちゃ行ったりしてはったん そういうことかいな。

千代:お家さん 実は…。

●岡安・二階の客間

<<千代:ごめんやす。

(戸を開ける音)

千代:お茶 置いときます。

<千代の心の声:やっぱり きれいやなあ>

ハナ:何だす あんた まだここにいてたんかいな。

千代:せやった。お茶箱 えびす座に持ってかな!

ハナ:あんたさんの板の上での あの美しい立ち姿 目に焼き付いてます。ここ道頓堀は役者さんと共に生きる街だす。また ええお芝居 見せておくれやす。

●えびず座・客席

客:後でな うまいもん食わしたるさかいな。

<千代の心の声:あかん 気になってしゃあない>

客:あっつ! あっつ!何をすんねん! あっつ~!

●えびず座・入り口

回想・百合子:私には神聖な義務がほかにあります。

千代:熊田さん どないしはったんだす。

熊田:朝からずっと人捜してのやけど 見つからへんのや。大山社長と話 してはったんやけどな いきなり飛び出してそのまま行方知れずや。参った。

千代:どなたさんだす?いてはれへんようになったお人て。

熊田:隠してもしゃあないさかい言うけどな 高城百合子いう うっとこの役者や。詳しいことは言われへんけどやな 役者辞めてしまうかも分からへんなあ。早川延四郎といい高城百合子といい まだまだやれんのにもったいないわ。ほんまに役者っちゅうもんは…。

<<(拍手と歓声)

熊田:お…ハネたな。

●道頓堀・街中

千代:ごめんやっしゃ!ごめんやっしゃ!ごめんやっしゃ!ごめんやっしゃ!

●岡安

千代:ただいま戻りました!

4人:お帰り。

<<(ドアを閉める音と足音)

かめ:どないしたんや。

●岡安・二階の客間

よかったなあ 高城さん まだいてはって。…って この人 行った時のまんまや。

千代:あの…。

百合子:はあ…。おなかがすいちゃったんだけど お食事 まだかしら。

千代:へえ!

百合子:ん~。

千代:お酒 お持ちしましょか?

百合子:ぶどう酒 頂ける?

千代:えっ?

百合子:私 あれしか飲まないのよ。あの真っ赤な血のようなお酒を飲むと こう気分が高ぶってくるの。

千代:へえ…。

<千代の心の声:女優さんて みんなこないなもんなんやろか>

百合子:あなた 何でお茶子さんになろうと思ったの?

千代:えっ?

百合子:ああ いきなりでごめんなさい。私 そういうの すごく気になっちゃうの。

千代:なろ思たいうより それしかあれへんかったんだす。

百合子:ん~じゃあ 本当は違うことがしたかったってこと?

千代:いや そういうことやのうて…。高城さんは何で役者さんになろ思いはったんだす?

百合子:私?う~ん…。

節子:何で高城百合子がここ いてんの?

富士子:ほんで何で千代と仲よう しゃべってんの?

百合子:理由はいろいろある。男に負けたくなかったし 家族とか親戚とか 誰も頼る人がいなかったから私は自分の力だけで生きていかなくちゃならなかったの。でも一番の理由は…そう言われたから。

千代:誰にだす?

百合子:自分自身に。こう 自分の体の内側からそうしろ そうしろっていう声が聞こえたの。分かる?

千代:さっぱり分かりまへん。

百合子:あっ…アハハ。そう。フフフ。

千代:ほんなら 今は辞めいう声が聞こえてんのだすか?

千代:すんまへん 今の忘れとくなはれ。

千代:私はただ しようと思うことは是非しなくちゃならないと思ってるばかりだす! これ うちが初めて百合子さん見た時のお芝居だす。ちょっこと待ってておくれやす。

(戸を閉める音)

(人形の家の台本を手に取る百合子)

千代:うち それ読みとうて 一生懸命 字ぃ覚えたんだす。正直 今でも意味はよう分かれしまへんけど あの時のことは忘れられへん。百合子さん 覚えてはりますか?

百合子:すっかり忘れてた。でも思い出したわ。私には神聖な義務がほかにもあります。

千代:どんな義務というのだ。

百合子:私自身に対する義務ですよ。

(拍手)

千代:それや!それだす! やっぱり ちゃうなあ ほんまもんは。何より 第一にお前は妻であり母である。

百合子:そんなことは もう信じません。

高城百合子さんはこの時 所属していた鶴亀株式会社の方針で 舞台役者から映画へ転向するように命じられていたそうや。百合子さんはそれに抵抗しはった。当時の日本映画界はまだまだの状態で 百合子さんの求める演技は映画の世界にはないと思たんやな。千代ちゃんはそないな話は何も知りません。知らんけど とにかく百合子さんを励ましたかったんや。

百合子:ああ もう奇跡なんか信じない!

千代:私は信じるよ。

百合子:さようなら。

(拍手)

百合子:もう行くわ。

●岡安・店先

百合子:あなた 名前は?

千代:千代だす。竹井千代。

百合子:千代ちゃん…そんなにお芝居が好きなら 自分でやってみたら?一生一回 自分が本当にやりたいこと やるべきよ。

●道頓堀・夜店

店主:旦那さんにお似合いの帽子もありますよ~。

みつえ:そや うち 髪留め欲しい。

宗助:ああ それやったら さっき向こうで売ってたわ。買いに行こうか。

シズ:旦さん みつえに甘すぎます。無駄なもん買うたらあきまへん。

宗助:無駄なもん ちゃうもんなあ。髪留めやもんなあ。

みつえ:お母ちゃん お願い。

シズ:しょうおまへんな。わて しんどなったさかい ここらで腰掛けて待ってますさかい。
宗助:そうしとき。行こ行こ。

みつえ:行こ行こ。

芸子:延四郎はん うち あれ欲しい。

延四郎:さっき買うたばっかりやがな。

芸子:そや 今度はうちの番や。

延四郎:あんたは その前に買うたわ。

芸子:延四郎はん こっちにいてはったこと あんの?

延四郎:まあ…。あんな 2人とも これで好きなもん買うてき。

芸子:延四郎はん おおきに。

延四郎:ああ 行ってき。

延四郎:分かるもんやな。あれから20年たってるいうのに。

この方は あの歌舞伎役者 早川延四郎さんです。

延四郎:何べんも手紙書いたんやけどな…。

シズ:相すまんことだすけど みんな読まずに捨てております。

延四郎:シズ…。

シズ:ほな ごめんやす。

延四郎:千秋楽の明くる日の朝 ここで待ってる。

(つづく)

●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。

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