朝ドラ【おちょやん】第22週「うちの大切な家族だす」106話、ラジオドラマ「お父さんはお人好し」、舞台は大阪のとある町。そこで果物屋を営む藤森アタ五郎とその女房チヨ子 そして12人の子どもたち。更にはその孫までが一つ屋根の下で巻き起こす喜怒哀楽のホームドラマ。
名前と役名が入り交じり、覚えきれないので役名でお互いを呼び合うことを提案する千代。
そして、このラジオドラマが新聞記事となり、千代の消息を知った岡福と鶴亀新喜劇の面々は安堵の表情。
そして迎えた「お父さんはお人好し」の最初の放送の日、千代はセリフをど忘れするとのことですが、台本を見ながらできるのになぜ?という疑問があり、明日に注目です。
【おちょやん】セリフ書き出し第22週106話
●NHK大阪中央放送局・会議室
千代:うちは役者しかでけへん人間だす。もう二度と辞めるようなまねはいたしません。一生 芝居 気張らしてもらいます。どうぞ よろしゅうお頼申します!
ラジオドラマ「お父さんはお人好し」最初の顔合わせの日がやって来ました。
酒井:アタ五郎とチヨ子の家族 藤森家の皆さんにご挨拶していただきます。長女の京子役の…。
中村:中村律子です。
(拍手)
当郎:うん 頼むで。
酒井:次女 乙子役の…。
根岸:根岸恵子と申します。
酒井:長男 米太郎役の…。
坂本:坂本浩二です。
酒井:次男 清二役の…。
高森:高森久作です。
酒井:四女 豊子役の…。
水野:水野和子です。
酒井:三男 沼吉役の大月正雄君。
僕の役 浜三です。
酒井:えっ…。
沼吉は僕です。
僕は三男 浜三役の大月正雄です。
ほんで僕が四男 沼吉役の松村和也です。
その間にいる五女の静子の島田祥子です。よろしくお願い申し上げます。
<あかん 覚えられへん…>
千代ちゃん いきなり子だくさんやなあ。
千代:多すぎるわ。
(OP)
木村:え~ご両家のご婚儀も無事 滞りなく執り行われ…。
早速 台本の読み合わせが始まりました。この「お父さんはお人好し」どないな物語なんか ちょっとご紹介いたします。舞台は大阪のとある町。そこで果物屋を営む藤森アタ五郎とその女房チヨ子 そして12人の子どもたち。更にはその孫までが一つ屋根の下で巻き起こす喜怒哀楽のホームドラマでございます。その記念すべき第一話目は次男 清二君の結婚式のお話です。それでは現場へお戻しいたしますよ。キュー!
木村:何しろ ご人数が多ございまして 失礼ですが藤森さん あなたからご家族をご紹介くださいませんか?
当郎:あっ はい。まず私が当主の藤森アタ五郎でござります。どうぞよろしゅうお願い申し上げます。ほんで私の横におりますのが 家内のチヨ子でござります。
千代:清二の母のチヨ子でございます。
当郎:子供を12人も産んだ張本人でござります。
千代:いらんこと言いなはんな。
(笑い声)
当郎:え~続きまして 子供らの紹介でござりますが まず初めに 名前の由来からご説明さしてもらいます。
千代:お父さん そないなこと どないでもよろしがな。
当郎:ええことあれへんがな。ちゃんと言うといた方が覚えてもらいやすいやろが。
千代:せやかてな お父さんも こないな場所で…。
当郎:黙って!
(笑い声)
当郎:長女は京子といいます。この京子と申しますのは 私が京都におります時に生まれたものでして 京子と名付けたのでござります。次女の乙子ができました時に…。
千代:ちょうど あんさん その時にこの人が東京へ行く用事がございまして 汽車の時刻表を見ておりましてな。
当郎:そうですねん。京都で京子やよって ちょっと向こうにしたれと思いまして。
千代:京都の向こうは大津やいうので。
当郎:それで大津。大津子やとおかしいので 甲乙の「乙」の字にして 乙子。
…と まあ こないな具合に藤森家の子供たちの名前は みんな東海道線の駅名から取れれたもんなんやそうで。京都の京子ちゃん 大津の乙子ちゃんに加えて 長男の米太郎君は米原 次男の清二君は清州 双子の熱子ちゃんと豊子ちゃんは熱田と豊橋やな。三男 浜三君は浜松 五女静子ちゃんは静岡 沼津の沼吉 横浜の横之助 品川の品子 新橋の新子で終点です。はあ~ こりゃしんどいわ。
当郎:我ながら よう東海道線の名前にしたこっちゃ。短い支線の名前やったら 乗り換えせなあかんとこでした。
(笑い声)
富岡:はい ほな 一旦 休憩しましょ。
米太郎:長澤先生 当郎さん 竹井さん これからよろしくお願いします。足引っ張らんよう 頑張ります。
千代:こちらこそ。え~…。
米太郎:長男 米太郎役の坂本浩二です。
清二:次男 清二役の高森久作です。お願いします。
千代:お願いします。
新子:お父ちゃん お母ちゃん。新子です。
千代:それや。今 新子ちゃんが言うたみたいに これからみんな 役の名前で呼んだらどないやろか。その方が覚えやすいし ほんまの家族みたいだすやろ。
米太郎:ああ…ほんまや。なあ。
清二:それ よろしいですねえ。
当郎:ちょうど 今 僕も同じこと思てたんや。
(笑い声)
千代:調子ええなあ もう お父さんは。
当郎:ほんまやで。ほんまにやで。
乙子:(小声で)中村さん…あっ やない 京子姉ちゃん このドラマがうまいこといけへんかったら所属してる映画会社 クビになるかも分かれへんそうで。
当郎:ほんで あないに必死なんやな。
千代:よっしゃ。うちも京子 見習うて もっとちゃんとセリフ入れとかな。
ちなみに この当時のラジオドラマは生放送が当たり前でした。
乙子:お母ちゃん セリフ覚えんかて よろしんですよ。台本見ながら本番やれますさかい。
千代:ああ そうなんやけどなあ…。台本読むのと お芝居するのとでは 何や ちょっと違う気がしますのや。
長澤:竹井さんの言いはるとおりや。連続ラジオドラマは 毎週新しい話を放送していかないかん。まあ 毎回セリフを完璧に覚えるのは難しいかも分かれへん。せやけど1から10まで脚本に頼ってたらええ芝居はでけませんよ。文字を追ってたらでけへん 間や呼吸。そないな息遣いを音でしか伝えることがでけへんラジオドラマやからこそ大事にしてもらいたい。藤森家はほんまにおる家族なんやて そない思わせるぐらいの芝居で日本の家庭をあったこうしてほしい。
●京都・栗子の家
千代:どっからでもおいで。
春子:長男。
千代:米太郎。
春子:五女。
千代:静子。
春子:次女。
千代:乙子。
春子:…の息子は?
千代:息子は…。あ~あかんなあ。昔やったら こんなん すぐ覚えられたのに。
春子:惜しかったなあ。
栗子:えらいこっちゃなあ 大勢おって。
千代:ほんまだすわ。もう どないしょ。
栗子:嘘言い。いっこもえらいことには見えへんで。むしろ 楽しそうや。
千代:そうだすな。なかなか覚えられへんのも 何や楽しい。
栗子:フフッ…。
●鶴亀株式会社・稽古場A
千兵衛:花車当郎やないですか。
熊田:そやのうて その下。
千兵衛:あっ…。
香里:千代…。
寛治:千代さんがこのラジオドラマ出るいうことですか?
熊田:そうみたいやな。
天晴:よかった~。まだ役者続けてたんやな。
万歳:続けてたどころやあれへん。これ全国放送ですやん。すごいわ千代さん。
●うどん屋「岡福」
宗助:わて 喜ぶで。喜んでまうで。ええか?ええな? 千代や~!千代がラジオドラマて すごいことやで!
みつえ:うち行ってくるわ。
シズ:どないする気だす?
みつえ:放送局行って 千代の居場所聞いてくる。
シズ:やめとき。うちらが行って 思い出したないことまで思い出さしてしまうかも分かれへん。きっと千代は1年以上かかって やっとまたお芝居やる気になりましたんや。今はまだそっとしといたげなはれ。
宗助:だんない。会えるようじなったら 向こうから じき 帰ってきますて。
みつえ:せやな。その時はまた おいしい うどん 食べさしたげるわ。
シズ:うん。
●鶴亀株式会社・稽古場A
万歳:台本 書き直すて 今からですか?
千兵衛:本番までそない 日ありませんよ。
徳利:俺は十分 おもろい思うで。今までどおり 笑えるし泣けるし…。
一平:今までどおりのことやっても いっぺん離れてしもたお客さんは戻ってきてはくれはれへん。何かが足れへんのや…。もっと見た人の心をわしづかみするような何かが…。何十年後もお客さんに見てもらえるような本物の喜劇を作りたい。
●NHK大阪中央放送局・収録スタジオ
酒井:大丈夫や大丈夫や。
長澤:おはようございます。
いよいよ「お父さんはお人好し」の最初の放送の日がやってまいりました。
●NHK大阪中央放送局・会議室
横之助:あ~もうあかん。ちょっとくれ。
一郎:それ 僕のや。僕かて 喉渇いてんのに 返して!
新子:ちょっ…何やってんの。危ないから やめて。あっ…! ぬれたあ~!
(新子と一郎の泣き声)
熱子と豊子:ちょっと静かにしてくれへん!
千代:横之助 一郎…新子に謝り。
♪
千代:ほな お父さんが謝るから よう見とき。
当郎:えっ? 何で僕が。
千代:お手本 見せたげとくなはれ。
当郎:ええっ? どういう展開やねん…。しゃあないなあ。堪忍。
千代:声が小さい。
当郎:堪忍!
新子:おおきに。
千代:ほな みんなも一緒に。よ~い はい!
一同:堪忍!
千代:もっぺん 大きい声で。
当郎:みんな 手もつけてな。
千代:よ~い はい!
一同:堪忍!
桜庭:どないしました!?
当郎:だんない。本番前の発声練習や。
(笑い声)
千代:どない? ちょっとは気もほぐれましたやろ。
米太郎:あっ 言われてみたら…。
清二:えっ 嘘やん。
米太郎:嘘かも。
(笑い声)
桜庭:そろそろスタジオの方 お願いします。
当郎:ほな 行こか!
千代:行きまひょ。
当郎:よ~い はい!
一同:堪忍!
千代:お父さん もうそれはよろしい。
回想・乙子:京子姉ちゃん このドラマがうまいこといけへんかったら所属してる映画会社 クビになるかも分かれへんそうで。
千代:京子。あんた 顔色悪いで。ゆうべも遅うまで台本読んでたんと違いますのか?
京子:うち 鈍臭いから ちゃんとやらな みんなの足引っ張ってしまう思て…。
千代:あったこうて落ち着くやろ。こないするとな 血の巡りもようなって顔色明るくなりますのや。女優なんやさかい ちょっとでもきれいにして笑てなな。
京子:おおきに…お母ちゃん。フフフフ…。
●NHK大阪中央放送局・収録スタジオ
千代:お願いします。
桜庭:間もなく本番です。
(時計の秒針の音)
(つづく)
●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。
●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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