【おちょやん】セリフ書き出し第1週1話|大正5年、大阪・南河内のちいちゃい村の竹井家

朝ドラ【おちょやん】第1週1話、初回の口上からスタート。

(柝の音とチンドン太鼓の音)

黒衣:東西東西!

千代:全国のお茶の間の皆々様方 本日はかくも賑々しくお集まりいただき恐悦至極に存じまする。今回の物語は僅か9つで親に捨てられ何かもなくした私 千代が大阪は道頓堀を舞台に やがて大阪のお母さんとまで呼ばれるほどの大女優になるまでの一代記に…。

テルヲ:あかん!あかん!全部言うたらあかんて!

ほな ここでほかの面々からもひと言ご挨拶を。まずは小さい頃の千代ちゃん。

子役・千代:千代でございます。最初の2週間だけやけど一生懸命やらしてもらいます。

一平:天海天海と申します。あっ本名ちゃいます。親から継いだ芸名ですわ。

テルヲ:いや 別に誰もツッコんでへんて。

シズ:岡田シズでございます。私は芝居茶屋の女将という役どころでございます。この芝居茶屋と申しますのは…。

テルヲ:長い長い!番組終わってまうわ お前!

まあ まあ まあ。

子役・千代:お父ちゃん!

テルヲ:大体 お前誰やねん。

見てのとおり 黒衣です。

テルヲ:はっ?

ご存じない?お芝居で役者さんらのお手伝いさしてもろてんの。つまり わてはこの物語の黒衣ですわ。そこにおってもおらんいうことになってましてな。

テルヲ:いや おうるやないけ。

千代:おらん。

テルヲ:どね見てもおるて。

いてません。

テルヲ:どね見てもおるて。

いてません。見えません。

テルヲ:いやいや 待て!

子役・千代:お父ちゃん!

(騒ぐ声)

千代:…というわけで 私ども一同 皆様方に涙あり笑いありの楽しいひとときをお届けできるよう誠心誠意努めてまいります。今後ともごひいき お引き立てのほど…隅から隅までずずず~っと…。こっちや! 

子役・千代:座れ!

千代:願い上げ 奉りまする~! あっ 申し遅れました。タイトルは「おちょやん」だす。

【おちょやん】第1週1話セリフ書き出し

時は大正5年。大阪・南河内のちいちゃい村で千代ちゃんは生まれ育ちました。河内っちゅうのは この辺りの…。あっあら…あっ すんません 黒衣です。そういうわけで これからこの物語の司会進行を努めさせていただきます。

●竹井家:養鶏場

(鶏の鳴き声)

<<千代:ヨシヲ そっち行っこったで!

千代:恨むなや。いちらも生きてかなあかんさけな。

●竹井家:家の中

テルヲ:ありひんやん。

●竹井家:養鶏場

千代:今までようけ餌やったやろ。今度はわれがうちらを食べさす番や!

●竹井家:家の中

<<(鶏の鳴き声)

(悲鳴)

テルヲ:酒あれへんのか 酒…。おお 千代 酒や酒。

千代:はあ? あるか そねなもん。

テルヲ:何であれぃんね。

千代:それより こいつ卵もう産みよれぃんさけ 町で売ってきて。

テルヲ:われ そいつ捕まえる時 わいの流星丸に何もしやぃんかったやろな!

この流星丸は観賞用の鶏でびっくりするくらいの金額で取り引きされることもあるっちゅう話ですわ。ほんまかいな。

千代:はあ?お父ちゃん…流星丸とうちらと どっちが大事やねん!

テルヲ:そねなもん決まっとるやないけ 流星丸や。

千代:このどあほ! あねなもんに有り金全部使いさらして うちら今日食べるもんもあれぃんちゅうのに何が流星丸じゃ!

テルヲ:じゃかあしい! 親に偉そな口たたきさらすな!

千代:うちは…うちは…うちはお母ちゃんと約束したんや。ヨシヲを守るて。この家を守るて!親やったら親らしいことさらせ!

テルヲ:たっ…!くそ~! 邪魔くさいのう もう! 売ってきたらええねやろ 売ってきたら!売ってきたら! フッ…。どえらい土産 買うてきたらあ。待っとけ!ヘッ!

千代:はあ…ほんま 生きるて しんどいなあ。お母ちゃん…。

千代ちゃんは5つの時にお母ちゃんを亡くして それからはお父ちゃんのテルヲ 弟のヨシヲの3人でちっちゃな養鶏場を生業に細々とほんまに細々と暮らしておりました。

●山道

子どもたち:シラミ~!シラミ~!

千代:何や うるさいねん ボケ!

●竹井家:養鶏場

ヨシヲ:おなか減ったなあ…。

(おなかが鳴る音)

千代:あかん! 鶏の餌食うたら鶏になってまうてお父ちゃん いつも言うとるやろ。

テルヲは10日たっても帰ってきませんでした。

●山道

ヨシヲ:おなか減った…。

千代:ええさけ 行こ。

(ヨシヲのおなかが鳴る音)

ヨシヲ:おなか減った…。

千代:分かったさけ。はよ行こ。

ヨシヲ:おなか減っ…。

●小林家

辰夫:しゃあないやっちゃな テルヲは。

千代:どうせ 稼いだ金 全部酒と博打で使てしもて 帰るにも帰られぃんねやろ。

ここはお隣の小林さんとこの家です。お隣いうても歩いて30分はかかりまんねんけど 遠っ!

きみ:おおけに。そうや 晩飯食うてけや。

千代:ええんけ!?

きみ:うん。

辰夫:おお そねせえ そねせえ。ヨシヲも腹減ってんねやろ。

ヨシヲ:うん!

きみ:なあ 気ぃ遣わんと好きなだけ食いや。

千代:おおけに。頂きます。ん~…。

辰夫:どねしたんや?

勝次:一緒に食いたいない。

辰夫:何ぬかす!

勝次:そいつら シラミわかしとんねんで。うつってまうやんけ。

辰夫:隣同士やないけ 仲ようしやなあかん!

勝太:みんな言うとる 貧乏やからシラミやて。そやさけ 学校にも来られぃんのやて。

千代:嘘や!確かにシラミはわいたけど もうおれぃんわ!

勝次:そねやったら何で学校来やぃんねん。

ウメ:今日は賑じゃかで何よりのこっちゃ。

辰夫:千代ちゃんの家はな お母ちゃんがおれぃんやろ。千代ちゃんが家のことしたり ヨシヲの面倒見んとあかん。そやさけな 学校にも行かれぃんねん。かわいそうやと思わへんけ?

きみ:勝太 勝次。千代ちゃんに謝り。

勝次:しゃあけど お母ちゃん…。

辰夫:コラッ!

ウメ:うるさいな もう。

辰夫:しゃあけど お母ちゃん…。

きみ:堪忍な 千代ちゃん。なっ。

千代:しやぃん…うちはかわいそやない!去ぬで!

辰夫:千代ちゃん…。帰んのけ?

ヨシヲ:まだ食うてんのに。

きみ:ちょっと ちょっと待って 千代ちゃん!

(戸の開閉音)

ウメ:今日は賑じゃかで何よりのこっちゃ。

●竹井家:家の中

ヨシヲ:ええなあ 勝っちゃんら。お母ちゃんがおって。

千代:あんたには うちがおるやん。

ヨシヲ:姉やんは お母ちゃんやない。

●山の中

(風の音)

(回想)

サエ:ほら 見てみい 千代。あんたが生まれた時もな あねなお月さんが出てたんやで。あんたはなぁ よう夜泣きする子やったけど ここに来たら何でか泣きやんですぐ寝てくれてな。お母ちゃん あんたほんまにかぐや姫かと思たわ。明日もきっと晴れやなあ。

サエ:千代…。ご褒美や。お月さんみたいやろ。

(回想閉じ)

千代:うちはかわいそやない。明日もきっと晴れやな。

●竹井家:養鶏場

(鶏の鳴き声)

千代:みんな おはようさん。今日もようけ産んでくれたなあ。おおけに おおけに。

ヨシヲ:姉やん おなか減った。

千代:おかいさん出来たさけ お椀持ってって。

<<テルヲ:戻ってで~!

千代:あほんだらあ! われ どこまで鶏売りに行っとったんじゃ ボケ!

テルヲ:言うたやんけ どえらい土産買うてきたるて。

栗子:こんにちは。

テルヲ:この人が今日からお前のお母ちゃんや。

千代:はあ~っ!?

はあ~っ!?

(つづく)

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●このセリフ書き出しは、聴覚に障がいのある方や日本語を勉強されている方々等の要望に基づいて行っております。
●字幕を追って書いておりますが100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。